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本最新刊

会社にも社長にもおカネをのこす

公私混合経営マニュアル

　オーナー社長はおカネの損得を会社と社長の合算で考えよう！

　オーナー社長は会社と一心同体、銀行も会社の財産と社長の財産を一体として見て判断しています。
　本書は、おカネの損得を会社と社長の合算で見て、明快に判断基準を示すものです。とくに、多くの社長が判断に迷う、

　「現預金は会社でもつほうがいいか、社長個人でもつほうがいいのか」
　「不動産は会社で買ったほうがいいか、社長が買ったほうがいいのか」

〈会社と社長の間のさまざまなおカネの駆け引き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・〉について、合算から見た的確な判断を、具体的な事例をあげて、わかりやすく解説します。
　数字の苦手な方でも、本書の手順に従えば、簡単に〈会社の財産〉と〈社長の財産〉を合算することができます。まさにオーナー社長必読の実務マニュアルです。

　【読者特典ダウンロード資料５点】
　　　①資産リスト（Excel）　
　　　②負債リスト（Excel）
　　　③［流動・固定別］資産リスト（Excel）
　　　④［流動・固定別］負債リスト（Excel）
　　　⑤［完成］社長のバランスシート（Excel）　　　

(注意)本書は公私混同をおすすめするものではありません。

　　　　　　　　　　　　　　　

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本の概要

発刊年: 2020年

ISBN: 書籍 978-4-89101-454-4

A5判上製　　本文カラー480ページ

著者紹介

海生裕明 (かいおひろあき)公認会計士

　「会社のおカネ」と「社長個人のおカネ」を合算しておカネの損得を考えることを提唱す
る、オーナー経営に精通した公認会計士。　
　学習院大学経済学部卒業後、数種の仕事を経て、経営コンサルティング会社を設立。
　１９８５年公認会計士試験に合格後、３年間大手監査法人にて監査実務を経験。
　２０００年、ＩＴ企業の創業に携わり、ＣＦＯ（最高財務責任者）に就任。上場を目指すも
ＩＴバブル崩壊により断念。２００６年証券会社において株式公開引受及び投資銀行担当
役員を経て、現在、水素発電事業会社を起業し、また中小企業に対して再生支援をおこな
うとともに全国各地で講演・セミナーをおこなっている。１９５８年生まれ。
　主な著書に、「連結バランスシート経営で会社を強くする」「手形ゼロ・無借金の強い経営」
「小さくても強い会社にする30法則」「銀行の貸し剥がしから会社を守る法」等がある。

セミナー情報

セミナー

2024年3月27日（水）4月19日（金）5月17日（金）6月19日（水）

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目次・まえがき

まえがき──著者／海生裕明

　本書の『公私混合経営マニュアル』のタイトルを見て、「公私混合」を「公私混同」と読み間違えた人は、一瞬「アレッ？」と思ったかもしれません。
　一方、本書タイトルを間違えずに文字どおり読まれた人も、「混合」の意味がすぐにピンとこなかったかもしれません。

　なぜ本書タイトルに「公私混合」という言葉を使ったかといえば、オーナー社長の場合、会社の財産と社長個人の財産を合算してはじめて、つまり、公私混合してはじめて、財産の本当の実態がわかるからです。

　ところで、この混合情報を誰がいちばん見たがっているか、おわかりでしょうか？
　そうです！　それは取引している金融機関です。
　なぜなら、この混合情報こそが、貸したおカネが回収できるかどうかの判断材料になるからです。言葉は悪いですが、金融機関は会社がどうなろうと、とにかく返済してもらえればいいので、いちばん欲しい情報が混合情報なのです。
　さらに、この混合情報は、後継者に事業を引き継ぐときと家族に財産を分けるときにいちばん重要な情報となります。つまり、混合情報は極秘中の極秘情報なのです。ですので、安易に他人に見せることはできません。混合情報の作成は基本的に社長一人でおこない、社長一人で静かに眺めて分析する必要があります。

　実は７年ほど前に、『連結バランスシート経営で会社を強くする』という本を日本経営合理化協会より出版しました。本書はその本の〝実践篇〟です。
　前著で「合算作業が難しい」というご指摘をいただきましたので、本書では「社長個人のバランスシートの作り方と合算の手順」をマニュアル化して、簿記のルールをまったく知らない方でも、一人で作成できるように工夫しました。

　さらに、合算した混合情報をもとに、「社長と会社の現預金の駆け引き」「社長と会社の不動産の駆け引き」について詳しく述べました。これも前著で触れなかった部分です。
　オーナー社長の多くは、会社が安定してくると、「現預金は会社でもつほうがいいのか、社長個人でもつほうがいいのか」あるいは、「会社で不動産を買ったほうがいいのか、社長個人で買ったほうがいいのか」など、いろいろと会社と社長のあいだで迷います。
　また「創業期」「成長期」「安定期」など、会社が置かれている状況によっても、駆け引きの判断は異なってきます。

　いずれにしても、オーナー社長がしっかりとおカネをコントロールしなければ、会社と社長双方におカネを残すことはできません。その判断の基準となるものが、混合情報なのです。
　本書がオーナー社長の良き相談相手となれるよう、「合算のやり方」と「分析の仕方」、さらに「会社と社長のおカネの駆け引き」について、私の知人のＴ社長とＴ社を事例にあげながら、わかりやすく解説します。

　なお前著では、会社と社長のバランスシートの合算を「連結バランスシート」と呼んでいましたが、本書では「合算バランスシート」と呼ぶことにしました。そのほうが誤解をまねかないので呼び方を変えました。その点だけが前著と違うところです。
　では、さっそく新しい世界の扉を開けましょう！

　　2020年10月吉日
　

■本書の目次

序　おカネの損得は会社と社長の合算で考えよう

オーナー社長は総合口座で損得を考えよう！
合理的な行動ができない理由
心の錯覚の典型例
社長のメンタルに合った魔法のツール
合算の発想

１　社長個人のバランスシートを作ってみよう！

１. 社長のバランスシートの作り方〈５ステップ〉
　　社長個人のバランスシートを作るにあたって
　　【作成ステップ１】自分の資産をリストアップする
　　【作成ステップ２】負債をリストアップする
　　【作成ステップ３】資産をさらに「流動資産」と「固定資産」に分ける
　　【作成ステップ４】リストアップした負債をさらに「流動負債」と「固定負債」に分ける
　　【作成ステップ５】バランスシートを完成させる

２. 社長のバランスシートからわかること
　　社長のバランスシートのパターン
　　オーナー社長のおカネの使い方

２　社長と会社のバランスシートを合算しよう！

１．合算バランスシートの作り方【３ステップ】
　　合算バランスシートを作るにあたって
　　【作成ステップ１】単純に合算してみる
　　【作成ステップ２】社長と会社との間の取引を相殺する
　　　　相殺① 「会社への投資」⇔「資本金」
　　　　相殺② 「会社への貸付金」⇔「社長からの借入金」
　　　　相殺③ 「会社からの借入金」⇔「社長への貸付金」
　　　　相殺④ 「会社への未払金」⇔「社長への立替金」
　　【作成ステップ３】単純合算バランスシートを完成させる
　　　〈合算①〉「社長の流動資産」と「会社の流動資産」を合算する
　　　〈合算②〉「社長の固定資産」と「会社の固定資産」の合算のやり方
　　　〈合算③〉「社長の流動負債」と「会社の流動負債」の合算のやり方
　　　〈合算④〉「社長の固定負債」と「会社の固定負債」の合算のやり方
　　　〈合算⑤〉社長と会社の純資産を合算する

３　合算バランスシートの全体を見てみよう！

全体を俯瞰してみよう！
　　【ステップ１】資産が負債を上回っていますか
　　【ステップ２】資産が負債を上回っている場合

俯瞰ポイント①　一番大事な「現預金」が指標以上かどうか
　　「総合口座」が指標以上の場合
　　「総合口座」が指標以下の場合

俯瞰ポイント②　純資産は十分ありますか？
　　【ステップ３】合算バランスシートが債務超過になっている場合
　　〈パターン１〉社長のバランスシートが債務超過で、会社はそうではない場合
　　〈パターン２〉会社のバランスシートが債務超過で、社長はそうではない場合
　　〈パターン３〉社長、会社ともに債務超過

会社が債務超過になるメカニズム
　　会社の債務超過の主な原因　①赤字が原因で債務超過になる
　　会社の債務超過の主な原因　②借りたおカネを人件費などの費用の支払いに使う
　　会社の債務超過の主な原因　③設備投資の失敗で債務超過になる
　　〈パターン１〉新設した設備が稼働できずにいる状態
　　〈パターン２〉設備を安い金額で処分した場合
　　〈パターン３〉設備投資の償却期間と借入返済期間、返済金額と償却前利益のバランスが崩れた場合
　　会社の債務超過の主な原因　④投資の失敗で債務超過になる
　　債務超過になりやすい負債となりにくい負債
　　借入金が債務超過の主要因となるケース
　　過去のツケが原因で発生した借入金
　　創業期で債務超過になっている場合
　　急成長期で債務超過になっている場合
　　安定成長期で債務超過になっている場合

４　会社のバランスシートを見直そう

会社の実力を示す本当のバランスシート

１．流動資産の見直し
　　【現金預金】
　　【受取手形・売掛金】
　　【有価証券】
　　【商品・製品・仕掛品・原材料】
　　【その他の流動資産】

２．固定資産の見直し
　　【建物・車両運搬具・機械装置・器具備品】
　　【土地】
　　建設仮勘定・社長への貸付金・リース資産・投資有価証券・定期預金・その他の固定資産】

３．負債の見直し
　　２つの負債

４．最終合算
　　会社のバランスシート修正後、もう一度、社長のバランスシートと合算する

５　■会社と社長におカネを残す■ バランスシート格言集

６　社長と会社の現預金の駆け引き

　　バランスをとるのは難しい
　　現預金の指標は高く設定すべき
　　社長と会社の現預金の駆け引き

１．創業期
　　売上１億円以下
　　「会社口座」と「個人口座」の行き来が激しい時期
　　社長の「個人口座」が少ない場合
　　「会社口座」がピンチで社長の「個人口座」に余裕がある場合

２．急成長期
　　売上が前年比２倍以上になる時期
　　急成長期に「総合口座」が指標以下の場合
　　急成長期に「総合口座」が指標以上である場合
　　第三者が忍び寄る時期
　　注意すべき３つの勘定科目

３．不安定成長期
　　創業年数が長い中小企業

４．安定成長期
　　社長の「個人口座」を厚くするチャンス到来
　　新規事業での駆け引き

５．成熟期
　事業承継の準備を始める時期

６．異常時
　　異常時は避けられない
　　支出を最大限に止める
　　バランスシートを熟知している社長は異常時に強い
　　異常時は冷静に

７．Ｔ社長とＴ社の現預金の駆け引き
　　Ｔ社長からの相談
　　社長と会社の現預金を合算するとどうか
　　Ｔ社長に苦言を呈する

７　社長と会社の不動産の駆け引き

会社が所有した方がいいか社長が所有した方がいいか

１．「事業用不動産」の場合
　　事業用不動産の３つの選択
　　法人税と所得税で考える
　　社長が不動産管理会社をつくって不動産を取得し、会社に賃貸するケース
　　社長から賃借するか、第三者から賃借するか、会社にとってどちらがいいか

２．「収益用不動産」の場合
　　社長が賃貸物件を所有する場合
　　会社が賃貸物件を所有する場合
　　不動産を売却する場合

３．「社長の自宅」の場合
　　自宅は会社所有が有利
　　売却した場合
　　１．新たに自宅を買い替える場合の特例
　　２．新たに自宅を買い替えない場合の特例

４．不動産の「生前贈与」
　　　「相続時精算課税」制度を活用する

５．不動産の「相続」
　　　「小規模宅地等の特例」で最大80％減額

６．Ｔ社長とＴ社の不動産の駆け引き

８　会社の財産の守り方・増やし方

１．キャッシュの残高が経営の事実をあらわす
　　「利益」と「現金」の関係
　　現金経営とは
　　現金経営の指標
　　出資した資金がどう運用されているかを見る指標
　　ＲＯＥを分解してわかること
　　中小企業は「ＲＯＥ」よりも「ＲＯＡ」の方が適している
　　全社で取り組む現金経営
　　社長にしか決められない資産売却
　　減価償却を早くすることで現金を増やす

２．金持ち会社になるためのキャッシュフロー
　　キャッシュフローを増やす方法
　　売上に直結しない支出はゼロにする

３．Ｔ社がピンチに陥る
　　Ｔ社長に浴びせた厳しい質問
　　略式バランスシートをその場で書く

４．バランスシートの変化にいちはやく気づく
　　バランスシートの残高の推移を見る
　　バランスシートの残高推移表の作成の仕方
　　変化を読み取る
　　目安となる増減割合

９　社長の財産の守り方・増やし方

１．会社からの報酬を上げる
　　社長の財産を増やす一番の近道
　　社長の報酬はいくらが妥当か
　　おカネに関して幸福度を左右する一番の要因
　　Ｔ社長からの相談
　　報酬の額を抑えて会社でお金を残すほうがいいか

２．自分がコントロールできない資産をもたない
　　今もっている資産をチェックしよう
　　Ｔ社長のバランスシートの問題点
　　今幸せか？
　　Ｔ社長の自宅
　　維持費がかかるクルーザー
　　賃貸不動産は社長が管理しているのか
　　ゴールドは現物で持っていることが前提
　　美術品はないが趣味が変わったのか
　　相続で一番もめるのは不動産
　　Ｔ社長の負債について
　　１千万円の連帯保証は何か
　　社長の個人保証がなくなる条件
　　Ｔ社長のバランスシートの総括
　　Ｔ社長の過去の失敗談

３．会社以外から収入を得る
　　投資するなら社長がコントロールできるものが条件
　　不動産投資に学ぶ企業経営のキャッシュフロー
　　厳しく見守ってくれる人が必要
　　コントロールできる株式投資がある？

４．財産を減らさないための心得
　　所有より利用
　　保証人になってはいけない人
　　おカネを貸す場合の心構え
　　「貸しくせ」「借りくせ」
　　けじめの大切さ
　　身内の借金はどうすれば
　　子供の借金の肩代わりをすべきか

10　最強のバランスシート

１．最強のバランスシートとは
　　全体としてのバランスシートが良くても、実はそれだけでは不十分
　　１．事業を休めるバランスシート
　　２．買掛金が前向きな支払いになっているバランスシートであること
　　３．後向きの支払いがないバランスシート
　　４．維持費のかからないバランスシート
　　５．融資してもらえるバランスシート
　　６．事業承継がうまくいくバランスシート

２．目標バランスシートを作ろう
　　着地を明確にしない経営は危険
　　予想のバランスシートがない会社には投資できない
　　予想損益計算書は嘘を書けるが、予想バランスシートはそうはいかない
　　目標バランスシートの作成
　　資金収支分岐点の出し方