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【特別コラム】「社長の覚悟」は必ず社員に伝わる-日本レーザー近藤流《人を大切にする会社》の極意

【特別コラム】「社長の覚悟」は必ず社員に伝わる-日本レーザー近藤流《人を大切にする会社》の極意

 1994年、債務超過・倒産寸前に陥り、主力銀行からも見放された子会社の日本レーザーに、親会社の命を受け代表取締役社長に就任。“人を大切にしながら利益を上げる”経営改革を進め、就任初年度から黒字化、以来25期連続黒字、12年以上離職率ほぼゼロへ導いた近藤氏。
 「経営は修行である――。」氏の修羅場の歴史を紐解き、人を大切にする経営の原点について伺いました。
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―― 「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞について教えてください。

 法政大学大学院教授であった坂本光司先生が始められた賞です。

当社はありがたいことに、第一回大賞を受賞させていただきました。
この賞に選ばれる条件はなかなか厳しく、5つの条件があります。

①人員整理を目的とした解雇や早期退職を行っていない
②外注、協力企業、仕入先に無茶なコストダウンを要求していない
③障害者雇用2.2%
④黒字経営
⑤重大な労働災害の発生が無い

 基本的にはこの条件を5年以上満たした企業だけが応募できるものになります。まさに厳しい中でも人を大切にして利益を上げる。これが継続してできている会社ということになりますね。

 私はこの条件の中でも、黒字経営を続けることが特に大事だと感じています。

―― ある意味、無理してでも黒字経営にしなければならないと。

 私は、中小企業は「赤字は犯罪」と肝に銘じて社長の仕事をせよ、と言っています。

 中小企業は一度でも赤字になると、銀行の融資態度や取引先の態度など、一気に変わります。だから経営者は覚悟を持って、黒字にしていかなければなりません。
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―― 当時倒産寸前だった日本レーザーの立て直しに入られた経緯を教えてください。

 日本レーザーは、親会社である日本電子株式会社の100%子会社でした。3年連続赤字で債務超過となったことで、バブル崩壊後だったせいもあり、親会社も保証できず破綻処理を迫られていました。

 日本レーザーのビジネスモデルは、海外から輸入して国内に売る輸入商社です。私はアメリカから帰ってきた直後。国内営業や、米国親会社での再建経験もあったので、私が抜擢されました。49歳の頃のことでした。

 そこで見た日本レーザーの状態は酷いものでした。バブル崩壊で深刻な顧客離れが進む中、業績の悪化も外部環境のせいにして対応が遅れた。さらに歴代社長は全て親会社出身でしたが、子会社軽視の傾向が強かった。結果、最大で2億円近い赤字になっていました。技術者は多くいましたが、本当の意味での「経営者」が不在だったことが原因だと思います。

 バランスシートはボロボロでした。まず私が手掛けたのは、モチベーションを上げるために、損益計算書の方を黒字にするということです。まず利益を出す。そして復配できれば仕事に誇りがもてると思ったんです。

 次に利益が出るたびに、大量の不良在庫、回収不能な売掛金等を処分、処分、処分…地道にバランスシートを綺麗にしていきました。実質的には4年かけてなんとかキレイにしましたが、対外的には2年で復配のV字回復を実現できた形になりました。
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―― 素晴らしいV字回復ですが、なぜたった2年で復配まで達成できたのでしょうか?

 1年目は、これまで経営者らしい仕事を前任者がしていなかったので、とにかく無駄をなくして利益を出すことに専念したことで、なんとか黒字に持っていくことができました。ただ2年目は、実力以外の「運」の部分でも助けられた面があります。

 経営者が選択に迫られた時に、その決断を支える2大条件があります。1つは、経営者を取り巻く状況を冷静に判断する聡明さ。もう1つが、その状況を判断した上で、どういう手段を取るかの意思決定をするか、ということです。多くの経営者は、「得か損か」で判断します。私はそこに「正しいか正しくないか」で判断する基準も加えて欲しいと思うのです。この判断軸が、私の経営人生を大きく変えました。

 ところがここに落とし穴がある。私は正しいと思ってやるんだけど、内面「自分がやりたいから正しい」と思い込みたがるんです。

―― それはよく分かります(笑)

 そこでもっと踏み込んでみると、「自分にとってその時は損かもしれない」と思う一方「でもこれをやるのがきっと正しいと思う」「でも損だよね」という葛藤があります。その葛藤が生じた時に、「損」を選ぶのが結局正しい道だと分かったんです。

 また「簡単か、困難か」という選択。これも、困難を選ぶ。日本電子と日本レーザーの修羅場を経験してこなければ、なかなか気がつけなかったと思います。

 債務超過の原因となった前社長、会長には退職いただきました。退職金は払う必要は本来は無かったんですが、色々と考えて、やはり退職金を出すのが「正しい」と判断して、しっかり支払いました。

 また、個人株主が辞める時に、普通は親会社が株を買い取るんですが、私が社長として乗り込んできたのに、それをしないと「近藤は決意が足りない」と思われると思った。だから自分で買い取ることを決めたんですが、債務超過の株をいくらで買うのか、という問題がありました。1円でも良かったんですが、元々額面で買った人はいい顔をしないなと思った。そこで考えて、額面の500円。計300万円を自腹で買う事にしました。一見損ですが、破綻したら丸々損するなんて考えてたら経営なんてできませんからね。
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―― 身を削る判断が再建の核になったのですね。その後は順風満帆に進みましたか?

 1年目に黒字を出し、ようやく本格的に再建を進めようと言う段階で、社内の士気は実は下がっていました。「あいつは腰掛けで日本レーザーにきている」「近藤のキャリアのために苦労させられるなんて、やってられないよ」…と、私に対する批判や陰口が聞こえてくるようになりました。

 ふざけるなとも思いましたが、自分がプロパーなら、同じことを思うかも知れないと気づいた。そこで、実際は再建後に親会社に戻る道もありましたが、全て断り日本電子の肩書も捨て、日本レーザーの社長だけに専念することを決めました。「これで同じ船に乗ったわけだから、皆でぜひ力を合わせて頑張ってほしい」と伝えました。ほとんどの社員は驚き、喜んでくれました。ここから流れが大きく変わりました。

 この後、奇跡的な円高で2年目には予想外に大幅増益できたんです。損だけど正しい道を選んできた結果として、運も向いてきた。後付け講釈ですがね(笑)

 でも経営とは運も味方につけることだと信じています。死に物狂いで経営してきた社長なら、誰もがこういう「風が吹き始める」経験をしているんじゃないですかね。

 細かい取組みや手法については本編のCDに譲りますが、とにかく何が正しいかを考えて抜いて、良いと思ったら信じて進む。これが経営者の仕事だと思います。

倒産寸前から25年連続黒字経営、10年以上離職率ほぼゼロを実現!「人を大切にしながら利益を上げる経営」CD

  • 近藤宣之

◎第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞受賞!
日本レーザー近藤会長が説く《人を大切にして利益も上げる》経営のすすめ方


●破綻寸前の会社を再建、《年商4倍》《25期連続黒字》
●親会社から独立、全員株主 ●10年以上、離職率実質ゼロ
●女性社員の3分の1が管理職 ●ギスギスしない実力主義
●学歴・国籍・性別・年齢、関係なし ●70歳まで生涯雇用…

第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の「中小企業庁長官賞」ほか多数受賞の超優良企業、日本レーザー 近藤宣之会長がセミナーで披露した戦略と実行の数々を公開。

さらに講演後、聴講者から届いた質問に答えた特別収録CDを併せて構成したものです。

社員のモチベーションを極限まで高める社長の実務。ぜひ、お聞きください。

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