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製造業

第309号 自社の実力は、モノづくりの6段階のレベルで把握せよ(5)

柿内幸夫─社長のための現場改善

 今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実例を挙げて解説します。  

 【急所64】自社の実力は、モノづくりの6段階のレベルで把握せよ。(5)(152頁)

 《最強のモノづくり 6段階》
 ・レベル1 工程内の流れ
 ・レベル2 工程間の流れ
 ・レベル3 工場内の流れ
 ・レベル4 工場間の流れ
 ・レベル5 お客様への流れ
 ・レベル6 一気通貫の流れ
 
 「最強のモノづくり」の6段階のレベルを書きました。レベル1の「工程内の流れ」から、レベル6の「一気通貫の流れ」まで、すべて流れのレベルで評価されるしくみです。
 
 さて、先回はレベル2についてご説明して来ましたが、今回はレベル3についてお話しいたします。
 
 レベル2では工程間に流れを持ち込みました。そして、レベル3ではそれで培った実力を商品別に細分化して更なる流れを作るということになります。
 
 もし一つの工場内に少品種大量生産のモノと、多品種少量生産のモノが両方あった場合、工場を二分して、大ロット生産ラインと小ロット生産ラインを別々に持っている会社はけっこう普通にありますよね。私の指導先の会社にも、たくさんその例を見ることができます。
 
 レベル3はこれに近いです。すなわち、お客様を意識してそれぞれのお客様ごとにラインを作って、工場内に何本も流れがあるというのがレベル3の工場内の流れです。
 
 もし自動車部品を何社かの自動車会社に生産・納入している会社があるとしましょう。自動車会社をそれぞれA社、B社、C社とすると、レベル3のその工場の生産ラインは、1本の混流ラインではなく、A社ライン、B社ライン、C社ラインと各納入先自動車会社別に3本の生産ラインがあるのです。
 
 そしてもし、今日が休日でA社とB社は休みだけれど、C社は休日出勤しているとすると、C社ラインだけはいつもと同様に稼働していることになります。
 
 しかし、ライン一本の場合なら一台の設備で済むものが、ラインを3本にしてしまうと三台必要になるのでお金がかかります。よほどの生産台数がなければ決断できないと考えるのが普通でしょう。
 
 そこで必要になるのが、設備の内製化です。内製化についてはまた別途お話をいたしますが、例えばトヨタ元町工場で最近開発されたハイテン材をプレスする設備は、これまでの設備の10分の一の大きさだということです。
 
 費用もそれに沿って大幅削減とあります。これまでと同じ設備をもう一台買うとなれば場所もお金も大変ですが、自分たちで作るという考えです。下記サイトに設備の説明が載っています。大変に参考になる情報です。
 
 
 ところで、先日友人と昔の話をしていて、話題が受験勉強のことになりました。振り返るともう50年近く前のことなのですが、意外としっかり覚えていました。
 
 そして受験の鉄則として「100点を取る必要はない。8割できればいい。だから解けるやさしい問題から着手する」と言われてたよね…という話になりました。皆さんもそういう覚え、ありませんか? 
 
 これは入学試験に合格する方法としては正しいのですが、会社の改善は易しいことから順番に8割できれば大丈夫ということは絶対にありません。
 
 残りの難しい2割が勝負です。受験では8割できれば目標達成だったかもしれませんが、生き残りの勝負の時は最後の2割を実現するために、最初のやさしい8割を実行するのです。
 
 ただ、自分一人の入学試験と違って、会社の改善は助け合いありです。あと、いろいろな方法で情報を仕入れて参考にすることはもちろんOK。これは言い方によってはカンニングもOKということです。
 
 5年後の未来を明るくする準備です。流れはレベル6に向かってますます高くなりますが、みんなで頑張りましょう!
 
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※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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