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第81回 「ひとりで行きたくなる」サービスを提供する「ワンカラ」

第81回 「ひとりで行きたくなる」サービスを提供する「ワンカラ」

 

ワンカラ

 

「ひとりで行きたくなる」サービスを提供す

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ブースの広さは1畳程度。広くはないが、その分、
他の人が「一緒に歌おう」などと入ってくる心配がない

 

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高感度のコンデンサーマイクを使用。フリーハンドでプロさながらに歌える。
通常のマイクも用意している。

 
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歌う姿を男性に見られたくない女性のために女性専用エリアを設けている
 

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ヘッドホンは有料レンタル制。
最も安い300円でも市価1万円、900円の品は市価9万円の高級品だ

 

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ミキサーを使って音質を細かく調整できるのもワンカラの楽しさの一つ。
店内でCD(1000円)を買えば、自分の歌の録音もできる(設備のある部屋のみ)

 

 

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朝は30分250円なので、「ドリンクバーを使える静かな個室」として
仕事などに利用する人もいるそうだ

●おひとりさま専用のカラオケボックス
カラオケボックスの市場は飽和状態。『カラオケ白書2013』によると、2012年のカラオケボックスの施設数は9,280施設、とピーク時の1996年の14,810施設と比べ、2/3に減っている。

そんな厳しい市場環境で急成長しているカラオケボックスが、「ワンカラ」だ。
2011年11月に東京・神田に1号店を開店すると、連日、1~2時間待ちの人気ぶり。2014年3月現在、新宿や池袋、仙台など8店舗に拡大した。

ワンカラの最大の特徴は、「おひとりさま」専用のカラオケ店であることだ。

「友人に遠慮することなく好きな歌を思う存分歌いたい」から一人でカラオケに行きたいが、「他の客の視線が気になる」「忙しい時に行ったら、店に迷惑だと思われる」とためらう人は少なくない。

「しかし、一人専用のカラオケ店なら、お客様が好きな時に、気兼ねなくご利用いただけます」と同店を運営する(株)コシダカ・ワンカラ営業部の矢野斉営業部長代理。

(株)コシダカは、全国300店舗以上を構えるカラオケチェーン「カラオケ本舗まねきねこ」を運営する企業だ。ワンカラ出店のきっかけは、「まねきねこ」に一人で来店する客が増えていたこと。2011年夏にオープンした新宿店で一人客が多く見られたことから、「潜在需要は大きいのではないか」と考えたそうだ。

店内のブースの大きさは、多少の違いはあるが、おおむね1坪程度。このぐらいの小さなブースに音を響かせると、ハウリング(キーンと大きな騒音が鳴る現象)を起こす可能性が高い。そこで同店では、ヘッドホンで曲や自分の歌声を聞きながら歌うスタイルを採用した。「違和感があるかもしれませんが、実は、部屋の音場設計に左右されないので、音質が良いのです。また、一般的なカラオケではハウリングを起こすので使えない、レコーディングスタジオにあるような、高感度のコンデンサーマイクが使えるので、自分の歌が上手に聞こえます。慣れると、『普通のカラオケよりヘッドホンカラオケの方が良い』という方も少なくありません」

●終了時間を電話で知らせない理由とは?
もっとも、一人でヘッドホンをして歌っていると、外の音が聞こえなくなるので、「誰か入ってこないか」と気になり、落ち着かない面もある。ワンカラでは、そうした顧客心理をくみ取り、カラオケに没頭できる工夫を随所にこらしている。

たとえば、終了時間は、電話で知らせるのではなく、モニター画面に表示するようにした。また、飲み物は、スタッフが持ってくるのではなく、ドリンクバーにお客様が自ら取りに行くシステムにした。いずれも、スタッフによって、歌うのをジャマしないためだ。「スタッフが飲み物を持ってきたのに気付かず、熱唱しているのは恥ずかしい。すると、いつ来るかと気をもむことになり、歌に集中できなくなります。ドリンクバーにすれば、それが防げるわけです」

ブース内をドアに背を向けて歌うつくりにしたことも、気持ちよく歌うのをジャマしないための配慮だ。「防犯上、中が見えるようにしなくてはいけませんが、歌っている姿が外から見られると、集中できなくなります。背を向けていれば、それがなくなります」

ドアはオートロックにしているので、急に、人が入ってくる心配もない。「ドリンクバーに行っている間、他の客にお金や持ち物を盗まれる恐れもなくなります」

●団体で来る「おひとりさま」も
このような店づくりをした結果、多くの客に利用されるようになったわけだ。

利用料金は、都内の店舗は30分400~450円。これに、ヘッドホンのレンタル料(300円~)が加わる。一般的なカラオケボックスと比べ、昼間はワンカラの方が料金が高くなることもあるが、それでも、ワンカラを選ぶ人は少なくない。

来店客は20代半ば~50代の社会人と幅広い。男女比は6:4で、20代後半の男性が最も多い。「『まねきねこ』ではおひとりさまは女性の方が圧倒的に多かったので、意外でした」。常連客も増えていて、すでに200回以上来ている人もいるそうだ。録音設備もあるので、自分の歌声を録音する人もいるし、防音が行き届いているので、楽器を練習している人もいる(管楽器は不可)。

「驚いたのは、一人ではなく複数で連れ立って来る人が少なくないことです。同僚をつれてくる仕事帰りの会社員の方、友人同士で連れだって来る方、親子、姉妹……。パターンはさまざま。それぞれおひとりで楽しまれるわけです」。「誰かと一緒にするより、ひとりの方が楽しい」からこそ、こうした客が訪れるのだろう。

このように、既婚未婚などを問わない、広い意味での「おひとりさま」のニーズは、カラオケ以外にもありそうだ。たとえば、遊園地、ボーリング、バイキングなどなど。そうしたサービスがひとりで利用しやすくする環境(たとえば、ひとり客だとお得なプランをつくる)を整えれば、潜在顧客を広くつかめるかもしれない。(カデナクリエイト/杉山直隆)


◆社長の繁盛トレンドデータ◆
『ワンカラ』
東京・神田、新宿、池袋、宮城・仙台などに8店舗を展開(2014年3月10日現在)

http://www.1kara.jp/

※文中の料金は2014年3月現在のもの。4月以降変更の予定

 

 

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雑誌、書籍、PR誌の編集プロダクション。『月刊ビッグ・トゥモロウ』(青春出版社)、『週刊東洋経済』(東洋経済新報社)などで執筆。その他、PR誌、社内報などの制作を手がけている。著書『小資本で、でっかく儲ける法則』『「イベント」で繁盛店』(同文舘出版)。執筆協力には『大失業時代の勝ち残り経済学』(青春出版社)『とげぬき地蔵経済学』(メディアファクトリー)『かけがえのない「スキル人間」になる』(光文社)をはじめ多数。

株式会社カデナクリエイト ホームページ
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