「あなたは、今月、CDを買いましたか?」
あるいは、「今年、CDを買いましたか?」
と、人に会うとなるべく聞くようにしている。
すると、たいてい、老若男女にかかわらず、10人のうち9人までが、「買ってない」と答える。
しかし、10代~20代前半までと、それ以上の年齢の人たちとでは、まったく理由が異なる。
若者たちは、「今時、CDなんて買わないよ。ダウンロードするもん」と言う。
つまり、曲を、CDではなく、ネットを通じて入手しているからだ。
そして、それらのダウンロードされた曲は、合法的に購入されたものだけとは限らない。
2012年10月1日より、インターネットに違法にアップロードされた音楽や映像を、
本来は有料で提供されていると知りながらダウンロードする行為に対し、
2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科す改正著作権法が施行された。
しかし、実際の違法ダウンロードの撲滅は緒に就いたばかりだ。
一方、大人は、「昔はよく買ったけどね。今は聞きたい曲がないからね」と言う。
そして、「たまに家とかクルマで昔のCDをかけて聞いたりはするよ」
「あとはYouTubeで聞くこともあるかな。やっぱり、昔の曲はいいね」
「喫茶店とかで、偶然、思い出の曲を聞くとグッとくるね」と話が続く。
でも、青春時代に聞いて歌った昔の曲ばかりしか受け付けないのかと言うと、そうでもない。
いい曲はいい。いい曲は世代や時代を超えて感動を呼ぶのだ。たとえば・・・
秋川雅史さんの「千の風になって」
秋元順子さんの「愛のままで…」
坂本冬美さんの「また君に恋してる」
植村花菜さんの「トイレの神様」
といった曲は、大人が楽しめる、言わば、"本物音楽"なのだと言える。
懐メロでも新曲でも、大人が聞きたい曲がないわけではない。
人間は習慣の動物だ。やり始めると、それが当たり前になる。
しかし、しばらくブランクがあると、その行為自体が億劫になる。
あるいは、レコード店に行ってCDを買うという行動そのものを、日常の中で忘れてしまっている場合が多い。
昨今、男女の熟年ランナーやおやじバンドが増えているが、
ふとしたことがきっかけとなり、若い頃に興味を持ったことに再び夢中になることもある。
従来は、音楽のマーケットと言えば、若者が中心だった。
しかし、40歳以上の大人人口は7000万人もいる。
基本的に音楽が嫌いという人などいない。
そして、CDを購入するお金も持っている。
つまり、大人の音楽市場は無限大にあるのだ。
今、この大人が楽しめる"本物音楽"にスポットライトが当たりつつある。
「TSUTAYA」を運営をするカルチュア・コンビニエンス・クラブも、
創業時から若者文化をリードしてきたが、2011年末、東京・代官山に、
メーンターゲットを50~65歳の「プレミアエイジ」に設定した
新たなコミュニケーション空間、「代官山T-SITE」をオープンし、成功を収めている。
※参考:フジサンケイビジネスアイ【西川りゅうじんの元気な会社・地域の創り方】
「森の中の図書館で森羅万象の知に触れる」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/111206/bsl1112060500001-n1.htm
※参考:「代官山T-SITE」
http://tsite.jp/daikanyama/
若年人口が減少の一途をたどる今後、「オトナ」こそが、コンテンツビジネスのメインターゲットとなり得るのだ。
◆オトナのための音楽=「エイジフリーミュージック」
こういったオトナのための音楽を盛り上げようと、レコード会社16社(2012年10月現在)がタッグを組んで、
「大人の音楽キャンペーン」を展開している。
http://microsites.universal-music.co.jp/otonaongaku/
その名は「Age Free Music」(エイジフリーミュージック)だ。
時代の空気を先取りし、上述したようなコンセプトで、
音楽評論家として長きにわたり第一線で活躍している
富澤一誠(とみさわ いっせい)さんがプロデューサーとなって仕掛けている。
富澤さんとはもう20年以上の古い御縁だが、偶然、東京・恵比寿のレストランで再会し、いつまでも変わらない、
その熱い想いに打たれた。
富澤一誠さんは述べている。(2010年6月)
時代は今、オトナの音楽 <Age Free Music> を必要としています!
邦楽は<J-POP>系と<演歌・歌謡曲>系と大きく2 つのジャンルに分けられますが、
最近この2 つのカテゴリーに入らないニュー・ジャンルが生まれつつあるようです。
たとえばミリオンセラーとなった秋川雅史の「千の風になって」は<演歌・歌謡曲>とは言い難いし、
さりとて<クラシック>でもありません。
同様に、すぎもとまさとの「吾亦紅」は<演歌・歌謡曲>に近いけれども断定はしにくいし、
秋元順子の「愛のままで…」もなんとなく<演歌・歌謡曲>に入れられてはいるが、何か引っかかるものを感じてしまいます。
最近出てきたアーティストだけではありません。
森山良子、加藤登紀子、高橋真梨子、谷村新司、さだまさし、布施明などキャリア・アーティストも
<J-POP><歌謡曲・演歌>と呼ぶにはしっくりこないものがあります。
そこで私は考えぬいて命名することにしました。
彼らのような大人の歌を歌える実力派アーティストを<AgeFreeArtist(エイジフリー・アーティスト)>と呼ぶことにします。
年令なんか関係ありません。アーティストは実力が全てなんです。
そんな意味もこめて<エイジフリー・アーティスト>です。
そして彼らが作り出す" 成熟した大人の歌" を <Age Free Music(エイジフリー・ミュージック)>と名づけます。
私を含めて<シニア>と呼ばれることに抵抗感を持つ人が多いのは事実ですが、
だからこそ「年令なんて関係ない」と思っている"エイジフリー" な人たちが増えているのです。
現在40 歳以上64歳までの人口は4282 万人だそうです。
40 歳以上はというとなんと7000万人です。
私もそんな中のひとりです。正直言って、私は59歳になりますが、年令なんて関係ない、と思っています。
まさに"Age Free"です。そんなエイジフリーな人たちが求めているのが<エイジフリー・ミュージック>なのです。
エイジフリー世代が好んで聴く" オトナの音楽"<エイジフリー・ミュージック>が
「J-POP」「演歌・歌謡曲」と並ぶニュー・ジャンルになることは必然です。
私たち大人は今こそ宣言すべきです。「We love Age Free Music!」と。
富澤さんは、「あの素晴しい曲をもう一度」(新潮社)を出版。
フォークからJポップまで、現場で見つめ続けてきた彼だから綴れる日本の音楽五十年史を執筆している。
そして、富澤さんの監修の下、各レコード会社が、いつまでも色あせない大人の名曲を集めたコンピレーションアルバムを
続々とリリースしている。
また、彼は、2009年4月から、FM「NACK5」で、毎週木曜日24時~25時、
その名も、<Age Free Music!>という番組を司会している。
http://www.nack5.co.jp/program_594.shtml?date=2012-10-18
さらに、「ニコニコ動画」(原宿)でも、「エイジフリーミュージック"大人の音楽の世界"」と題し、
ビリー・バンバン、秋川雅史さん、秋元順子さんといったアーティストをゲストとする番組も配信している。
http://www.nicovideo.jp/tag/%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%83%E3%82%AF
◆由紀さおりさんが「全米iTunesジャズチャート」で1位獲得!
大人ミュージックが復権を遂げつつある中、由紀さおりさんが、2011年、アメリカの音楽シーンでノーベル賞並みの
快挙を成し遂げた。
きっかけは、日本からアメリカまで流れ流れた中古レコードだった。
1994年に、アメリカのオレゴン州ポートランドで結成され、世界的に活躍している、
ピンク・マルティーニ(Pink Martini)という12人編成のジャズオーケストラがある。
このグループのリーダーの、トーマス・M・ローダーデールさんが、ある時、
地元ポートランドの中古レコード店で、ジャケットに魅かれて、由紀さおりさんの名曲『夜明けのスキャット』のLP盤を購入した。
由紀さんの透明感のある歌声に魅了され、2009年にリリースされたグループの3枚目のアルバム『Hey Eugene!』で、
LP版の中に収録されていた曲「タ・ヤ・タン(Taya Tan)」(作詞:山上路夫さん/作曲:いずみたくさん)をカバーした。
そして、この曲のライブ演奏がYouTubeにアップされていた。
この事実を、由紀さんをプロデュースしていた佐藤剛さんが知る。
佐藤さんと言えば、1970年代に甲斐バンドのマネージャーを担当し、
独立後、ザ・ブーム、宮沢和史さん、喜納昌吉さん、小野リサさんらをプロデュースしてきた実力派の音楽プロデューサーだ。
佐藤さんは、2000年代の前半、デジタルデータの打ち込みによる人工的サウンドが音楽チャートを席巻していた時に、
「世界的にもメロディーの時代が来ている」、「歌謡曲の時代が来る」と確信していたのだという。
そんな音楽とは対照的な本物の音楽が求められるようになる。
そして、由紀さおりさんという"本物シンガー"ならば、それが実現できると考えていたのだ。
佐藤さんは、すぐに、ピンク・マルティーニとコンタクトを取った。
2010年3月に来日公演が実現し、スペシャルゲストとして由紀さんが「タ・ヤ・タン」で彼らと競演した。
これがきっかけとなり、2010年11月、
ピンク・マルティーニが世界に向けてリリースしたホリデーアルバム『Joy To The World』に由紀さんが参加。
日本語で歌う「ホワイト・クリスマス」が収録された。
このアルバムが北米のスターバックスコーヒーの店頭に置かれ、ビルボードで30位以内に入るビッグヒットとなった。
ちょうどその年は由紀さんのデビュー40周年で、デビューした1969年を象徴する曲をカバーするコンサートを開催していた。
この1969年をフィーチャーしたアルバム『1969』の企画が立てられ、ピンク・マルティーニにアレンジとプロデュースを依頼した。
当初、日本のみの発売予定だったのが、共作による日本語カバーアルバムとなった。
これが、アメリカのiTunesで配信され、ジャズチャートで1位を獲得した。
また、カナダのiTunesチャート「ワールドミュージック」でも1位に輝いた。
その後、CDは世界20カ国以上で発売されることとなった。
また、英国ロンドンの「ロイヤルアルバートホール」で開催されたピンク・マルティーニのコンサートに由紀さんが参加。
当日の模様はBBC(英国国営放送)のラジオでも放送された。
また、全米の6カ所のステージにも立つこととなった。
由紀さんには、私も20年前から何度か番組やイベントでご一緒させていただいたことがあるが、日本が生んだ、
まさに本物のエンターティナーに違いない。
「由紀さおり現象」とさえ呼べる彼女の世界的大ヒットは、偶然とインターネットの成せる技ではある。
しかし、由紀さおりさんに代表される日本の本物音楽は、世代はもちろん、国境をも超えることの証左だと言える。
◆韓流ならぬ"和流スター"の本命がついに登場!
かつて、日本の芸能界には、タレントやアイドルではなく、夜空に輝く巨星がごとき「スター」がいた。
しかし、今や、スターと言えば、「ヨンさま」に始まる韓流スターにお株を奪われてしまっている。
往年のスターは、20代のデビュー当時からスターだった。
次世代の芸能界、歌謡界を背負う星であると自他ともに認める実力とカリスマ性を備えていた。
大人ミュージック、エイジフリーミュージックが、徐々に浸透し、広がりを見せるのと時を同じくして、
韓流ならぬ、美しき"和流スター"の本命が、2013年春、満を持して、
ワーナーミュージック・ジャパンよりデビューすることが決まり、音楽業界で話題を呼んでいる。
海外からも、今や日本の文化は"クール・ジャパン"と言われ、注目を集めているが、
日本好きの外国人にとって日本の音楽に関するキーワードは、
女性アイドルが「かわいい」「萌え」であるのに対して、男性は「ビジュアル系」である。
日本の歴史を振り返ってみても、戦国時代のバサラ武将やその後の歌舞伎、幕末の志士たちがごとき
ビジュアル系男子が登場した。
時代の変革期には、自ら印象的なファッションやメイクを施した「ますらお」が現れ、世の中をリードして来たのだ。
今再び国難の時である。
歌謡界においても、妖艶な容姿と官能的な歌声で老若男女を魅了する
「ビジュアル歌謡」とも呼べる日本歌謡界の志士が誕生しつつある。
1984年生まれの27歳。身長180センチ。
10代から、甘いマスクと肉体美、美しいハイトーンヴォイスで周囲から注目を集めていた。
常に新たな才能を探し求めている芸能界の関係者の間で評判を呼び、数多くのオファーが殺到した。
彼は、いぶし銀のような昭和歌謡の魅力に引き込まれ、歌謡曲の名曲を80曲以上もデモ録音してきた。
これらのデモ音源は、業界内で、またたく間に知られるようになり、
いつしか、平成"和流スター"の本命と目されることとなった。
既に始まっている宣伝材料用の写真撮影や関係者によるシークレットライブなどに参加した
音楽業界の女性関係者からは、彼の神々しい姿と歌声から、自然と「大さま!」の声が挙がる。
その人、川上大輔のミステリアスな歌声は、まさに大人が楽しめる本物音楽に違いない。
星の巡り合わせが生んだ"和流スター"の登場は、音楽業界のみならず、日本中に光をもたらしてくれるに違いない。