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第10号「第3の質問 われわれの顧客は何を価値と考えるか」

第10号「第3の質問 われわれの顧客は何を価値と考えるか」

第三の質問
「われわれの顧客は何を価値と考えるか」
“顧客が価値と考えるものはあまりに複雑であって、
彼らだけが答えられるものである”
(P.F.ドラッカー著『現代の経営』上 上田惇生訳・ダイヤモンド社刊)
http://tinyurl.com/8tsr7
http://drucker.diamond.co.jp/bs/index.html


私達が仕事をする。組織が動く。
――― そうした活動の結果、商品やサービスあるいはソリューションが生まれるが、
それが行き着く先が顧客(クライアント)である。

従って、本当の結果は顧客(クライアント)の側にあるのであって、私達の内にはない。


顧客がわれわれの製品やサービス等を購入したり、選んだりしてくれる時、
顧客の側で何が起こっているのかを知らなければ、
われわれの使命がいかに果たせたのかを正しく知ることはできない。

“商品が飛ぶように売れているから、これでいいのだ。”という経営者も当然いらっしゃるだろう。
しかし、より良い経営を考える時、本当に優れた組織を作ろうとする時、われわれの仕事の結果である、
顧客を見つめることなくして、成功はあり得ない。

実際には、顧客は何故、何を求めて、われわれを選択してくれたのかを言い当てるのは容易な事ではない。

「顧客は何を買っているのだろう?」P.F.ドラッカー博士がとても初歩的で分かりやすい事例を
『現代の経営』で述べている。


キャデラックの生産部門の人々は、自分達は自動車を生産しているGMの
キャデラック部門の人間だと思っているだろうが、キャデラックを買ってくれている人々は
何を思って買ってくれているのだろう、という話である。

交通手段を買っているのか、富のシンボルを買っているのか、格好良さか?
それぞれの場合、キャデラックのライバルは誰なのだろう。
他の自動車メーカーなのか、ミンクのコートやダイヤモンドの指輪か、はたまた、高級クラブの会員権か…?


自分たちが、どんな市場に生きているのか、その市場の現状はどうなっているのかを正しく知らなければ、
成功から遠ざかるのは、どんな経営者の方も認識していらっしゃるだろうが、
自分たちが考慮に入れていなかった市場の枠で、実は自分たちが働いている可能性もあるのだ。


こんな事例もある。ある医療具メーカーが過去の遺物のようになっていた手術用糸の売上が上がったので、
何故だか調べてみたところ、加工食品メーカーが 購入していたことが分かった。

この事例の会社は、自分たちの本当の使命は、人々の命を守る医療に貢献することだから、
そのこと一つに専心するべきだと考えて、 この製品を製造廃止にしてしまった。

それも一つの経営判断であり得ると思う。
もちろん、どの使命のほうがどの使命よりも優れているのかという問題ではないのだ。
「自分達の使命は何か」に対する真摯なこだわりの問題である。


時代は、どんどん複雑になる。顧客の趣味・志向・考え方・こだわりも多様化するし、
購買の仕方や癖も、実に様々になっていく。インターネットやモバイルサイトあるいは双方向放送、といった
流通チャンネルも確立されてきて、顧客はどんどん見えにくくなってきている。

対エンドユーザー向けの商品・サービスを提供している組織だけの問題ではない。
今やついにB to Bつまり組織間のビジネスもネット等を介する時代になってしまっている。

顧客を知る活動に力を入れなくては、じき、顧客の姿を見失い、組織の方向性が見えなくなってしまうだろう。
また、大きなチャンス を捉えることができず、ライバルに先を越され、
またたく間に限界的な存在になってしまうだろう。


ある時、私の講演に来て下さった若い社長さんに再会する機会に恵まれた。
いかがですかとお尋ねしたところ、その方は、

「講演で、顧客の声を聞くことの重要性を強く感じたので、先代から 事業を引き継いだのをきっかけに、
全ての顧客を廻ってみました。 かつてはクライアントであったのにお付合いが途絶えていた会社もお尋ねして、
話を伺いました。それで、本当にいろいろな事がわかりました。
自分達が考えていたのとは全然違っていたこともたくさんあります。
改善すべき点もよくわかったので、さっそく直したところ、売上が増加しました。新たな事業機会も見えています。」

とおっしゃった。

実際には、顧客の声を聞く活動を継続的に行ってくださいと言っても、実行してくださる方は、ほんとの一握りである。
しかし、顧客の事実を知る活動がも たらしてくれる実りは大きい。


以前、ドラッカー教授に、顧客を考えるために、
具体的にどんな活動をするべきでしょうか、といった事についてお話を伺った。


  先生のお答えをまとめてみると、

     1.まずトップ自ら外に出て顧客に接する。

     2.クライアントの属している業界のコンベンション(会合)などに

       出席して、今重要な課題は何であるのかを知る。

     3.(特に離れていった)顧客に対して対面質問を行う。

     4.自社の営業担当者の話を聞く。(営業担当者に、書類でばかり

       報告させるのはいかがなものか。彼らは普段、書く事で顧客を

       獲得しているのではない。書く事が苦手で話す事が得意な営

       業担当者は多いものだ。)である。


大切なのは、顧客の事を理解しようとする真面目な態度であって、
勝手な憶測で顧客を理解したつもりにならない、ということではないだろうか。


さて、最後におまけのお話をお聞きください。

こうして顧客に長く支持してもらいながら、新しい顧客にも興味を持ってもらうことができればよいのであるが、
ただ、顧客を100%囲い込もうとするのは、実際には無理があるし、かえってコストがかかったり、
評判を落としたりすることもあるのだということも気にとめておいていただきたい。

また別の時、ドラッカー博士が教えてくださったポイントである。

「だってね、顧客は(製品・サービスに)飽きるものなんだよ。」

 
P.F.ドラッカー 『顧客を知るための問い』
 
 
 
参考:国永秀男
『ドラッカー流マネジメント 経営革新5つの質問』CD集 (弊会刊)
 

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経営コラムニスト紹介

国永 秀男氏 Port of Effective Mnagement (株)ポートエム 代表取締役

国永 秀男氏
Port of Effective Mnagement (株)ポートエム 代表取締役

経営指導歴20年。“正しいマネジメントの導入こそが、企業繁栄への近道”と主唱し、
経営者と膝づめで創り上げる「揺るぎぎない経営理念」の確立から、
会社の成長段階や後継体制に合わせた「トップマネジメントチーム」の構築、
経営戦略の革新、具体的戦術の策定に及ぶまで、
幹部社員をも引き込む親身な指導に定評がある。

毎年、定期的に米国・クレアモントの自宅にドラッカー教授を訪ね、
自らが実際の経営コンサルティングの現場で遭遇した経営課題を問答。
教授よりの直接のアドバイスを次の指導にフィードバックする、
ドラッカー公認の “マネジメント理論”伝承の第一人者である。

1962年、大阪工業大学卒業。大手経営会社に10年間在職の後、
情報サービスを手掛けるコンサルティング会社をパートナーとして設立。
1999年11月、マネジメントを高度に学べる場の提供を創業の理念に、
ポートエムを設立。現在、P.F.ドラッカー教授のアドバイスのもと、
全国の大中小企業の経営指導、講演活動等を繰り広げている。

『株式会社 ポートエム』

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