【新春・全国経営者セミナー】事業家・若手起業家…日本最大級、経営者700名が集う3日間 

日本経営合理化協会の関連サイト
社長の命題 ドラッカー流経営の実践 | 社長の経営セミナー・本・ダウンロード・CD&DVD【日本経営合理化協会】

文字の大きさ

日本経営合理化協会 BOOK&CD・DVD
お電話でのご注文も承っております:03-3293-0041

第9号「第2の質問 われわれの顧客は誰か」

第9号「第2の質問 われわれの顧客は誰か」

第二の質問

「われわれの顧客は誰か」



「『われわれの事業は何か』を知るための第一歩は、

『顧客はだれか』という問いを発することである。

現実の顧客・潜在的な顧客は誰か、顧客はどこにいるか、

顧客はいかに買うか、顧客にいかに到達するか…、

を問うことである。」

(P.F.ドラッカー著『現代の経営』上 上田惇生訳・ダイヤモンド社刊)

http://tinyurl.com/8tsr7

http://drucker.diamond.co.jp/bs/index.html



年が明けて、何が変わるというのでもないかもしれないが、
日本人は、つとにこの時期、心を新しくすることに専念するように習慣づけられているのではないだろうか。



季節感が薄れてきた昨今ではあるが、やはり来し方を振り返り行く末を思う、よい機会であると思う。



2006年は、どんな時代に位置しているのだろうか。
ずっと先々になって、どんな時代であったと言われるようになるだろうか。

長かったバブル後のデフレ不況だが、最近なんとなく風向きが変わってきたと感じておられる方々も多いのでは
ないだろうか。中には プチバブルなどという話しも聞かれたりする。
その一方で、やはり現実は苦しく、勝ち組・負け組の二極分化であると感じておられる方もいらっしゃるだろう。

しかし、それは全て、マクロ経済的な捉え方でしかない。今この時に起こっている事柄が、
自分たちにどんな影響を与えているのか、 そして今後さらにどんな意味を持っていくのかを考えるのが
マネジメントの仕事である。

そして、この環境下において、自分たちが、本当に考えるべきことは何であるのか、
やらなくてはならない事は何であるのかを決定す るのがトップの仕事である。

そうした意味を踏まえて、ドラッカー博士の5つの質問に立ち返ってみたい。
今回は、「われわれの顧客は誰か」である。



自分達の顧客(非営利組織の方々には顧客という言語は、少し違和感があるだろうか。
よろしければ、クライアントなど他の言語に言い換えていただいても良いと思う)について、
日頃、どんな事を考えておられるだろうか。



少しでも多くの顧客を獲得し、シェアを伸ばしたい、そのためにはどうすればいいのかということだろうか、
ライバルたちの動向に敏感であることや、愛顧 客にさらに購買してもらうには、どんな新製品を出せば良いのかと
いうことだろうか。どれも必要なことではあるが、「われわれの顧客は誰か」という問いは、もっと深い。

この問いの中には、顧客を奪い合うことよりも、
顧客を創造することを教えてくれたドラッカー博士の知恵が詰まっている。



われわれの「顧客」を決定する時、私たちは事業のありようを決定することになる。



例えば、同じ婦人服メーカーであっても、若い勤め人の人たちのためなのか、ミドルエイジの主婦層のためなのか、
チャイドルに憧れるティーンのためなのか、中高年のお嬢様方のためなのか、
あるいは、洋服を買うことに大変な財力とエネルギーを注いでいるセレブの方たちのためなのか、
着心地が良くて長く着ら れる物を選んでいるしまりやさんのためなのか、
安くて流行に乗れているおしゃれなものを大量に欲しい人たちのためなのか…。



どんな人たちを顧客に考えるのかによって、
品揃え、縫製・製造、企画・宣伝方針、サービス、店舗設計、流通チャンネル等、
何から何まで違ってきてしまうのである。



まさに「顧客」が事業を決定するのである。



そうした意味でも、「事業と使命」の決定と「顧客」の選択は連動していなくてはならないし、
二つがちぐはぐであっては、成功でき得ない。



トップマネジメントの人々は、誰よりも自分達の顧客について理解しているつもりでいるのが普通である。
しかし、規模が大きくなればなるほど、顧客と接する機会は少なくなってしまうのもまた、常である。



当たり前に自分達の顧客であると思っていた人々は、とうの昔に顧客でなくなっているかもしれない。
あるいは、自分たちにとって、いい顧客であると思い 込んでいる購買筋は、実際にはそれほどでもない上に
コストばかりかかっていて、このままでは、事業を危うくする可能性すらあるかもしれない。
反対に自分た ちにとって、非常に大きな飛躍のきっかけとなってくれる購買層を見逃している場合が、
さらに勿体ないし、大きな逸失である。



顧客自身も顧客を取り巻く環境も常に変化しているのである。



常に最新の実態を現場で調べることが必要である。
なんとなく、そんな感じがしたり、当たり前と思ったりしていることと、
具体的な数字や調査結果が大きく異なっている事例は多い。



私自身、コンサルティングや調査リサーチの場面では、「顧客」について考えていて、
目から鱗のようなケースによく出くわす。



下請け仕事に明日はないと考えて、一念奮起し、自分たちの技術を高く評価してくれるクライアントを探すために、
売上の70%以上を棒に振って耐えた工場がある。
そのままいけば、潰れていたであろうに、今では技術力も更に向上し、会社は希望で一杯である。

ある時、美容関係の企業で、クライアント調べをしていたら、自分たちの主力製品の顧客には、
他方で、非常な手間とコストがかかっていて、事業を圧迫していたことが数字上明白になってしまったことがあった。
すぐさま、他の商品サービスに力を入れ、事なきを得た。



会社が大きくなって、経理や事務処理が複雑化すると、見えない事実も増えてくる。
どの数字や統計を使って、事実を把握するのかという事自体を、賢く考 えないと大変な事になる。

また、「予期せざるもの」(イノベーションの項をご参考になさってください。)の中で、
予期しない顧客からの問い合わせ電話を集めていた、土木建設業の会社が、
巷で広がるガーデニングの需要に気づいて成功した事例もある。

実際、顧客を考える、つまりマーケティングを考える時にも、イノベーションの視点が役立つことがたくさんある。



非営利組織でも、同じである。
旧ドラッカー財団(現リーダートゥリーダー)の会長、フランシス=ヘッセルバイン氏が、
かつてガールスカウトのトップに 就任した際、ガールスカウトの活動は盛り下がっていた。



そこで活動を活性化するために、地域の現場の声を実際に調査して回った結果、
それまでガールスカウトが団員として、受け入れてきた年齢層よりも更に低年齢の女の子達を受け入れて欲しいという
ニーズが非常に高いということがわかったのである。

そこで、それまでの伝統を破って、5才児から参加できるプログラム、デイジースカウトを作り、
多大な成果を上げることができた。
(P.Fドラッカー著『非営利組織の経営』上田惇生+田代正美訳・ダイヤモンド社刊)



われわれの顧客は一体誰であるのか、どんな顧客なら、われわれの最上の製品・サービスを理解し必要としてくれるのか。
どんな顧客に奉仕すること が、われわれの使命を果たすことになるのか。



曇ない目で現実を見つめ、事実を科学的に把握し、自由な発想と使命を持って、
顧客のためになることを考えていただきたい。

そのことをないがしろにして、一時的に大成功をしたつもりになっても、本当に社会に貢献することによって、
ずっと成功しつづける、エクセレントな組織をつくったことにはならないのであるから。
 



 
参考:国永秀男

『ドラッカー流マネジメント 経営革新5つの質問』CD集 (弊会刊)

バックナンバー

2010.06.11
第12号「第5の質問 われわれの計画は何か」(最終回)
2010.06.11
第11号「第4の質問 われわれの成果は何か」
2010.06.11
第10号「第3の質問 われわれの顧客は何を価値と考えるか」
2010.06.11
第9号「第2の質問 われわれの顧客は誰か」
2010.06.11
第8号「恩師ドラッカー先生を悼んで -神と共にゆきたまへ-」
  1. ≫記事一覧

経営コラムニスト紹介

国永 秀男氏 Port of Effective Mnagement (株)ポートエム 代表取締役

国永 秀男氏
Port of Effective Mnagement (株)ポートエム 代表取締役

経営指導歴20年。“正しいマネジメントの導入こそが、企業繁栄への近道”と主唱し、
経営者と膝づめで創り上げる「揺るぎぎない経営理念」の確立から、
会社の成長段階や後継体制に合わせた「トップマネジメントチーム」の構築、
経営戦略の革新、具体的戦術の策定に及ぶまで、
幹部社員をも引き込む親身な指導に定評がある。

毎年、定期的に米国・クレアモントの自宅にドラッカー教授を訪ね、
自らが実際の経営コンサルティングの現場で遭遇した経営課題を問答。
教授よりの直接のアドバイスを次の指導にフィードバックする、
ドラッカー公認の “マネジメント理論”伝承の第一人者である。

1962年、大阪工業大学卒業。大手経営会社に10年間在職の後、
情報サービスを手掛けるコンサルティング会社をパートナーとして設立。
1999年11月、マネジメントを高度に学べる場の提供を創業の理念に、
ポートエムを設立。現在、P.F.ドラッカー教授のアドバイスのもと、
全国の大中小企業の経営指導、講演活動等を繰り広げている。

『株式会社 ポートエム』

国永秀男氏の経営コラムに関するお問い合わせ