【新春・全国経営者セミナー】事業家・若手起業家…日本最大級、経営者700名が集う3日間 

日本経営合理化協会の関連サイト
社長のための兵法経営 | 社長の経営セミナー・本・ダウンロード・CD&DVD【日本経営合理化協会】

文字の大きさ

日本経営合理化協会 BOOK&CD・DVD
お電話でのご注文も承っております:03-3293-0041

第98回 「大成は欠けたるが若し」

第98回 「大成は欠けたるが若し」

大いなる満足を与えるコツ

 世の中には余分な機能やサービスを備えている商品がたくさんあります。

 例えば、パソコンの機能まで備えた高機能携帯電話、スマートフォン。ノマドワーカー(会社や家でなくカフェなどで仕事を行う人たち)を生み出すほど便利なものではあるものの、フルに使いこなしている人はかなり少ないようです。

 私自身、スマートフォンの数ある機能のうちの1割程度しか使っていないのではないかと思うくらい、使いこなせていません。ということは、残りの9割の機能は要らないわけです。それなのに「基本料金」はフル活用している人たちと同じ金額を払っているわけで、もったいないことこの上なし。

 世の中には、これと似た例がたくさんあります。新聞は毎日届き、しかも1日分が30ページもありますが、果たしてあなたはどれくらい読んでいますか。必要な分野の情報だけが届いて、いらない情報をカットした分安くなれば、その方がよくはないでしょうか。

 給料からは毎月、社会保険料が引かれますが、ほとんど病気にならない人にとってどれくらい意味があるのでしょう。定年まで病気らしい病気をしなかった人には老後にかなりの額が返ってくるシステムであってもよさそうなもの。

 といった具合に、要らないモノやサービスにお金をかけているケースは少なくありません。その状況に人はなんとなく不満を感じながらも、仕方なく日々を送っているわけです。

  老子はこう言いました。

 

「大成(たいせい)は欠けたるが若(ごと)きも、其(そ)の用(よう)は弊(すた)れず。大盈(たいえい)は沖(むな)しきが若きも、其の用は窮(きわ)まらず。大直(たいちょく)は屈するが若く、大巧(たいこう)は拙(せつ)なるが若く、大弁(たいべん)は訥(とつ)なるが若し。」

 

〔意味〕ほんとうに完全なものは欠けているように見えるが、その働きは衰えない。ほんとうに充実したものはからっぽのように見えるが、その働きは窮まらない。ほんとうの直線は屈折しているように見え、ほんとうの技巧は拙劣なように見え、ほんとうの雄弁は口べたのように見える。(『老子』第45章)

 

スマートフォンも新聞も社会保険も立派なものですが、立派すぎて人々に不満を与えている部分があります。老子の、

 

  「大成は欠けたるが若きも、其の用は弊れず」

 =ほんとうに完全なものは欠けているように見えるが、その働きは衰えない

 

という言葉からすると、一見、立派に見えないけれども、いざ使う際には十分に働くものこそが本物といえるでしょう。そういう商品を作ることが出来れば、長期間に渡って購入者を満足させられるはずです。

 キングジムが20141月に発売した感熱式プリンター「ココドリ」は、パソコン画面に表示された画像やグラフ、文章など必要な部分だけを印刷できるという、従来なかった印刷機です。

 ここ数年、手帳やノートなどを使う手書き派が増えていますが、彼らはインターネット上などの情報をプリントアウトし、その一部分だけを切り貼りすることがよくあります。しかし、その作業そのものが面倒ですし、印刷した紙の不要な部分を捨てるのもエコ意識に反する行為で抵抗があるようです。

 その点、「ココドリ」ならば、マウスで選択したパソコン画面の範囲だけを75ミリメートル幅のロール紙に印刷するため、切る手間が省けます。「ふせんタイプ」のロール紙を使えばのり付けも不要。

多くの印刷機に出来ることが「ココドリ」には出来ません。しかし、手書き派の欲しい機能だけはしっかり持っており、彼らを十分に満足させているのです。

 

ココドリ⇒ http://www.kingjim.co.jp/sp/cc10/

 

 どこから見ても立派ですばらしい商品を出せば、多くの人に受け入れられるでしょう。しかし、それが「帯に短し」ということはなくても「たすきに長し」だと不満を生み出すばかりとなりかねません。

 逆に単機能で貧相に見えても、ある一部の人のニーズにピタリと合っていれば、その商品は長く使う人に満足を与え続けられるのです。

 ターゲットを明確化し、そのニーズに応えていくことが、大いなる満足を与えるコツ。あれもこれも狙わず、的を絞りましょう。

 

バックナンバー

2014.04.22
第100回 「天地の間は、それなお橐籥のごときか」
2014.04.08
第99回 「意は至る所有りて而も愛は亡う所有り」
2014.03.25
第98回 「大成は欠けたるが若し」
2014.03.11
第97回 「いずくんぞ吾謂う所の知の不知に非ざるを知らんや」
2014.02.25
第96回 「小を見るを明と曰い、柔を守るを強と曰う」
  1. ≫記事一覧

経営コラムニスト紹介

兵法経営コンサルタント 濱本克哉

濱本克哉氏 兵法経営コンサルタント

「孫子の兵法」はじめ数多くの「兵法」を経営指導に活用して、抜群の成果をあげる兵法経営コンサルタント。

「社長は、月に400時間お客様を回れ!」という現場主義を徹底指導し、事業計画づくりにも僅かな甘さも許さない厳しさに、「経営の軍師」との異名を持つ。
関西学院大学を卒業後、大手流通業に入社。その後、不況にあえぐ中小企業を間近に見て、小さくても強い、「利」と「義」を兼ねそろえた企業を育てなければ日本に未来はない、として、経営コンサルタントを志して独立。 経営指導で日夜奔走する中、「孫子の兵法」との運命的な出会いを機に、その応用活用に傾注。様々な実戦での効果検証を繰り返して、「孫子の兵法」を活かす独自の経営コンサルティング手法を確立。以来、兵法経営として抜群の効果をあげている。 氏は、一貫して「王道経営」を基本に掲げ、儲け主義や浮利を追う経営に警鐘を鳴らす一方、どんな逆境にも決して諦めず、指導先の生き残りのために起死回生の戦略・戦術を練りあげることで定評がある。その情熱的なコンサルティングに、全国から多くの経営者が氏を慕って集まり、指導依頼が絶えない。 著:「孫子の兵法」─社長が経営に活かす70の実務と戦略

兵法経営コンサルタント濱本克哉の経営コラムに関するお問い合わせ