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第97回 「いずくんぞ吾謂う所の知の不知に非ざるを知らんや」

第97回 「いずくんぞ吾謂う所の知の不知に非ざるを知らんや」

奇抜な発想を生み出すコツ

「何か新しい発想でお客を驚かせることは出来ないか?」

こう考えている社長は多いでしょう。「孫子の兵法」にも「およそ、戦いは正をもって合い、奇をもって勝つ」とあります。

そもそも戦闘というものは、勝つための正しいセオリーを踏まえ、その通りに準備して敵と開戦し、そのうえに奇の戦法を臨機応変に使うことによって敵に打ち勝つのだ、という意味です。

誰にでも意味は分かるはず。しかし、「奇の戦法」を実際にやるのはそう簡単ではありません。

考えてみれば、相手にとって思いも寄らない「奇」というものは、自分にとっても「奇」なのです。

なかなか発想として浮かびにくいからこそ「奇」であるわけで、まず思い浮かべること事態、普通に頭を使っていては出来ません。

 

「荘子(そうじ)」に、ある師匠と弟子の対話が書かれています。

 弟子が師匠に聞きました。

「先生は、万人が一致して正しいと認める普遍的真理をご存知ですよね」

「わしはそんなものは知らないよ」

「では、知らないということはご存知ですよね」

「それも知らないね」

「それではいっさいの物は、何もわからないということでしょうか」

「それもわからん。しかし、せっかくだから試しに話してみよう。

自分で知っていると思っていることが、実は何も知らないことであるかもしれず、知らないと決めていることが、実は知っていることであったりするものだ」

 

 そして師匠は、人間が湿気の多いところで暮らせば病気になるのにドジョウはそうならないこと、人間が高いところでは怖がって暮らせないが、猿は平気で暮らせることを例に挙げ、ドジョウ、猿、人間の三者の住み家に優劣はつけられないと言います。

さらに、人間は牛や豚をご馳走だと思うけれども、鹿は野草が好きだし、ムカデは蛇を好んで食べ、鳶(とび)やカラスは鼠をむさぼることを例に挙げ、この四者の味覚にも優劣がつけられないと説きます。

人間が絶世の美女と思っているような人物でも、魚が見れば恐れて水中に沈み、鳥が見れば驚いて空高く飛び去り、鹿が見れば一目散に逃げ出す、といったことを述べたうえで、こう言います。

「こう考えてくれば、仁義だの是非だのといったところで、わけがわからないほど混  乱しており、さっぱり区別がつかないのだよ」(斉物論篇)

 

   「いずくんぞ吾謂(い)う所の知の、不知に非ざるを知らんや」

(自分で知っていると思っていることが、実は何も知らないことであるかもしれない)

 

 荘子はさまざまな例を挙げて、この世に絶対的な価値など無いと説いています。

 私たちは知らず知らずのうちに、正しいと間違い、美しいと醜い、優しいと難しいなどモノゴトを価値づけてしまっていますが、まず、そのような価値判断から離れることが、「奇」を発想する出発点ではないでしょうか。

 

神戸市に近畿タクシーというユニークなタクシー会社があります。この会社のホームページを見ると数多くの「○○タクシー」という文言が目に飛び込んできます。

同社では、地域の資源とタクシーを結びつけ、地域を発展させることを考えて「地域資源発掘タクシー」「地域課題解決タクシー」「地域資産高揚タクシー」といった言葉を掲げています。

森崎清登社長は、一番に地域の発展を考えておられる様子。

神戸にあるさまざまな資源がタクシーと結びつけば、新たな価値を生み出せます。観光客に不便な場所にある名店や観光名所は、ただそれだけの理由で訪れる人が少なくなりますが、タクシーとセットにしてリーズナブルな料金のツアーを作れば利用者は増えます。地域も客も同社も喜ぶ結果となるわけです。

例えば、須磨ビーチなどに向かう「イルカタクシー」、夜景を楽しんだ後ジャズハウスに向かう「神戸ジャズタクシー」、神戸のロケ地を巡る「銀幕タクシー」など、数え切れないほどのツアー企画がありますが、なかでも2006年に始めた「神戸スイーツタクシー」はヒットしているそうです。2時間かけて神戸を観光しながらスイーツ店を巡るもの。

他にも、タクシーで物を運ぶ「あっとサービス」、天然ガス福祉車両を用いた「エコ福祉タクシー」など、ユニークなサービスが豊富に揃っています。

森崎社長はタクシーを乗り物と思わず集客装置と考えているとのこと。そもそものとらえ方が一般常識とは違うため、「奇」のサービスが生まれるのです。

 

 近畿タクシー⇒ http://www.kinkitaxi.com/

 

自社の商品を「タクシー=乗り物」というような固定観念で見ていたら、奇抜な発想は出来ません。

あなたの商品の根本は何なのか?これまでの見方を捨て、一から考え直してみてください。

その後、新たな商品やサービスに関する発想が無限に広がることでしょう。あなたはまだ何も知らないのです。ゼロからスタートしましょう。

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経営コラムニスト紹介

兵法経営コンサルタント 濱本克哉

濱本克哉氏 兵法経営コンサルタント

「孫子の兵法」はじめ数多くの「兵法」を経営指導に活用して、抜群の成果をあげる兵法経営コンサルタント。

「社長は、月に400時間お客様を回れ!」という現場主義を徹底指導し、事業計画づくりにも僅かな甘さも許さない厳しさに、「経営の軍師」との異名を持つ。
関西学院大学を卒業後、大手流通業に入社。その後、不況にあえぐ中小企業を間近に見て、小さくても強い、「利」と「義」を兼ねそろえた企業を育てなければ日本に未来はない、として、経営コンサルタントを志して独立。 経営指導で日夜奔走する中、「孫子の兵法」との運命的な出会いを機に、その応用活用に傾注。様々な実戦での効果検証を繰り返して、「孫子の兵法」を活かす独自の経営コンサルティング手法を確立。以来、兵法経営として抜群の効果をあげている。 氏は、一貫して「王道経営」を基本に掲げ、儲け主義や浮利を追う経営に警鐘を鳴らす一方、どんな逆境にも決して諦めず、指導先の生き残りのために起死回生の戦略・戦術を練りあげることで定評がある。その情熱的なコンサルティングに、全国から多くの経営者が氏を慕って集まり、指導依頼が絶えない。 著:「孫子の兵法」─社長が経営に活かす70の実務と戦略

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