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第100回 「天地の間は、それなお橐籥のごときか」

第100回 「天地の間は、それなお橐籥のごときか」

(最終回)存続発展し続けるコツ

 老子、荘子の思想から企業経営の要諦を導き出してきた本経営コラムもおかげさまで100回を迎えました。今回が最終回となります。

 最後は、2300年以上の長きにわたって読み継がれている老子と荘子にあやかり、「存続発展し続けるコツ」と題してお届けしたいと思います。

 老子はこう言いました。

 

天地の間(かん)は、其(そ)れ猶(な)お橐籥(たくやく)のごとき乎(か)。虚(きょ)にして屈(つ)きず、動きて愈(いよ)いよ出(い)ず。

〔意味〕天と地の間のこの世界は、風を送り出すふいごのようなものであろうか。からっぽだが尽き果てることなく、動けば動くほど、ますます万物が生まれてくる。(『老子』第5章)

 

老荘の頃、時間は今よりもゆるやかに流れていたとは思いますが、彼らが生きた中国の春秋戦国時代というのは諸侯や各国の王が相争って領土を奪い合い、内部の人事抗争も尽きることがなく、庶民は環境の変化に敏感でなければ生きることの難しい時代でした。

天と地のあいだ、つまり人間の世で次から次へと新しい変化が起きるのは、当時も現代も同じ。まずこの認識を強く持たなければなりません。

そのような中で老子は、「為(な)す無きを為さば則(すなわ)ち治まらざること無し」(無為によって事を処理していけば、治まらないことはない)(『老子』第3章)と説きます。「無為」とは何もするなということではありません。

私欲を捨てて、為すべきことを為せ

ということです。

 では、その為すべきこととは何か。

 「難(かた)きを其(そ)の易(やす)きに図(はか)り、大なるを其の細(ちい)さきに為す」(難しいことは、それが易しいうちに手がけ、大きいことは、それが小さいうちに処理する)(『老子』第63章)と、問題が易しく、小さいうちにやれといいます。「孫子の兵法」に「勝ち易きに勝つ」という思想がありますが、これと通ずるものです。

 大雨が降りそうなら小降りのうちに帰宅した方がよいのは当たり前。現在の商品が売れなくなりそうなら次に求められる商品を準備しておく必要があります。そうやって問題が小さいうちに対処し、勝ち易い相手に勝つには普段から情報を集めておかねばなりません。

 荘子には、黄帝(伝説の聖王)が馬追いの童子に天下の治め方を尋ねたところ、童子が「馬を追うのと変わりない。自然にまかせて何もしなければよいのです」と答えたという話(徐無鬼篇)があります。

 ここでも「何もしない」と出てきますが、馬を追うことはしています。馬を追う際に地形の変化や馬の状態という情報をつかむのは当然のこと。それらに応じて馬追いは適切な行動をとりますが、それがすなわち「無為」であり「自然」なことなのです。

 企業経営においても、経営者は私欲を捨て、環境の変化をなるべく早くつかみ、問題が小さく易しいうちに対応すれば、長く存続発展することができるのです。

変化といえば、日本人の誰もが必ず感じさせられるものに四季の変化があります。それに合わせて昼間は服を替えますが、寝ている間の布団を替えることも体調に関わる重要事。

夏は薄く、冬は厚くするのに加え、季節の変わり目は微妙な調整を行わねばなりません。これに失敗したら寒くて風邪をひいたり、暑苦しくて睡眠不足に陥ったりし、生活に支障をきたしてしまいます。

ニトリは、布団の材料である羽毛の価格が安定しないことから、代わりになるものを探していました。

数年かけてドイツのベンチャー企業が出している特殊繊維を見つけ出した同社は、2010年、「温度調整掛ふとん スマートセル」を発売します。

この繊維は植物性で、寝床内の温度に合わせて形状を液体や固体に変化し、温度を一定に保とうとする優れもの。同社では「一枚でオールシーズン 心地よい眠りを楽しめる」と訴えたところ、たちまち人気商品になりました。

考えてみれば、季節に応じて布団を替えるのは当たり前のことで、誰も不満を口にしません。

しかし、心の奥底では「面倒だなぁ」とつぶやいているのです。このように不満が小さいうちに、温度調節という面では羽毛より優れた機能をもつ繊維を見つけ出し、いち早く世に出すことで人気をつかんだニトリ。

こうした動き方を継続できれば、同社は間違いなく、長く発展し続けることでしょう。

 

温度調整掛け布団

http://www.nitori-net.jp/shop/category/category.aspx?category=p142

 

老子、荘子の思想は古代中国の血で血を洗うような激烈な社会に登場し、多くの人の共感を得ましたが、この厳しいビジネス社会に役立つ部分もたくさんあります。

ぜひ、今後も多くの経営者に親しんでいただきたいと思います。長い間、ご愛読いただき、心より感謝いたします。ありがとうございました!

 

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経営コラムニスト紹介

兵法経営コンサルタント 濱本克哉

濱本克哉氏 兵法経営コンサルタント

「孫子の兵法」はじめ数多くの「兵法」を経営指導に活用して、抜群の成果をあげる兵法経営コンサルタント。

「社長は、月に400時間お客様を回れ!」という現場主義を徹底指導し、事業計画づくりにも僅かな甘さも許さない厳しさに、「経営の軍師」との異名を持つ。
関西学院大学を卒業後、大手流通業に入社。その後、不況にあえぐ中小企業を間近に見て、小さくても強い、「利」と「義」を兼ねそろえた企業を育てなければ日本に未来はない、として、経営コンサルタントを志して独立。 経営指導で日夜奔走する中、「孫子の兵法」との運命的な出会いを機に、その応用活用に傾注。様々な実戦での効果検証を繰り返して、「孫子の兵法」を活かす独自の経営コンサルティング手法を確立。以来、兵法経営として抜群の効果をあげている。 氏は、一貫して「王道経営」を基本に掲げ、儲け主義や浮利を追う経営に警鐘を鳴らす一方、どんな逆境にも決して諦めず、指導先の生き残りのために起死回生の戦略・戦術を練りあげることで定評がある。その情熱的なコンサルティングに、全国から多くの経営者が氏を慕って集まり、指導依頼が絶えない。 著:「孫子の兵法」─社長が経営に活かす70の実務と戦略

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