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<事例―36 ホワイトローズ(B2BとB2C)>政治家から皇室まで愛用する高品質ビニール傘を製造販売する中小企業...それが「ホワイトローズ」だ

酒井光雄 成功事例に学ぶ繁栄企業のブランド戦略

経営戦略・経営戦術

2016.12.06

酒井光雄(ブレインゲイト代表)

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 ●転機は、選挙用に「大きくて、丈夫で、透明な傘を作って欲しい」という相談
 
 海外製の安価な商品によって国内のビニール傘メーカーが淘汰されていた1982年、台東区選出の都議会議員がホワイトローズ(株)〔須藤宰代表〕を訪ねてきた。選挙期間中に、激しい風雨の中で車上演説しても安心して身を任せられる頑丈さと大きさ、聴衆からよく見え、上から目線に思われない透明の傘が欲しいという注文だった。
 
 当時、ホワイトローズは埼玉県警から交通事故の現場検証時保護のために、大判反射テープ付の傘を生産しており、ここで使用していた65cm10本骨の手開き傘骨(鉄製)を用いてこの注文に対応し、「カテール」という名の商品が誕生した。
 
 カテールを進化させた現在の「シンカテール」は真正面からの風を受け流し持手を守るソフト強化バージョンで、FRP(グラスファイバー)素材を使用し、強くしなやかな中棒はそのままにFRPの弾力性が生かされている。そして傘に『穴』が空けられ、これが『逆支弁』となって外からの雨は通さず、内から入る風は通すつくりになっている。
 
 選挙の度にクチコミでシンカテールの存在は知られるようになり、選挙用はもとよりSP(シークレットサービス)用から、マスコミ・報道用としても使用されるようになった。選挙が行われる際には数百本が売れるビニール傘になり、安倍晋三首相始め歴代総理の手にも渡るようになった。
 
 ●天皇皇后両陛下がお使いになるビニール傘
 
 2010年5月に神奈川県で全国植樹祭が催された際、天皇皇后陛下は雨の中で植樹をされることになった。そこで県の関係者が急遽雨傘を両陛下にご用意することになり、これが前述したホワイトローズ製のビニール傘だった。
 
 皇后陛下は以前から遠くからでもお顔がよく見えるビニール傘に関心を持っておられたようで、ヨーロッパの王室ではお洒落なビニール傘をお使いになっていらっしゃることもご存じのご様子だった。植樹祭でビニール傘に出会われた皇后陛下は側近にご相談され、このビニール傘の製造先であるホワイトローズにオーダーメイドの話が持ち込まれた。
 
 グラスファイバーを骨に使いビニール3枚重ねのビニール傘「シンカテール」を改良し、皇后陛下のご要望を踏まえた「縁結(えんゆう)」が誕生した。この商品は、ハンドルには防水サテン生地を用いて皇室に相応しいフォーマルな高級感を表現し、程よい丈のタッセルでグリップの安定感と優雅さを高め、持ち易いデザインに仕上げられた。
 
 生地には濡れてもべトつかない「3枚重ね・多層オレフィン生地」を使用し、骨は直径3.5mmのホワイトグラスファイバー樹脂を起用、しなやかで折れにくく風の力を吸収する。また各骨のダボ上部位置に「逆支弁穴開き加工」が施され、内側から風が入っても吹き抜けることで強度を高めている。 
 
 現在市販用としても生産されている「縁結(えんゆう)」の価格は8,640円(税640円)、カラーはゴールド・シルバー・ピンク・ネイビーの4色で、それぞれポリエステルサテンの収納袋がついている。
 
 
<「ホワイトローズ」の事例に学ぶこと>
 
 使い捨て発想でなく、ホワイトローズは特定の用途に絞込んで新たな需要を創造し、量産品にない高付加価値化により、ビニール傘の新市場を誕生させた。
 
 当初は政治家の選挙演説用だったものが、雨天の際に遠くからでもお顔が良く見えることを大切にされる皇后陛下のご愛用品になったことで、そのブランド価値は一気に高まった。
 
 ネットで検索すると自社サイトからアマゾンまで同社の製品は全て在庫切れ表示がされており、注文生産で対応しているようだ。価格訴求の量産品市場にない価値づくりの視点として、参考にしたい取組みだ。
 
 
 
 
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