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【第3回】サラリーマン店長を経営幹部に変える具体的な取組(2)

サラリーマン店長を経営幹部へ

人事・労務・採用

2016.04.06

鳥越恒一(DIC幹部育成コンサルティング株式会社 社長)
 前回に続き、サラリーマン店長を経営者感覚を持った店長に変える取り組みを解説します。

取り組むべきこと1~10のうち6~10

□1) お店の損益計算書を公開している
□2) 人事権(採用や考課、人員配置)を与えている
□3) 販売促進・店内イベント等の提案機会を制度として設け、予算化している
□4) 経営者または経営幹部との面談機会が年に4回以上ある
□5) キャリアプランが明確で将来の展望が見える

■6) 計画的に教育機会(資格取得・社内・社外研修など)を設けている
■7) 成果に応じたインセンティブの制度を設けている
■8) 年間の店舗収支計画を立てさせており、会社の予算に反映している
■9) 会社の中長期経営計画を発表し、毎年進捗のフィードバックがある
■10) 店長の事を未来の経営幹部として捉えている

6.計画的に教育機会(資格取得・社内・社外研修など)を設けている
 人財育成において第一に重要なことは、「どんな人財になってほしいか」を明確にすることです。そうしなければ思いつくままあれもこれも与え求めてしまい、結果なにも残らないことにもなりかねません。人財像を明確にし、ステージごとに、職種ごとに何を学ばせるかを整理しておくことが重要です。必要な教育については社内で実施すること、外部に委託すること、各自で努力してもらうことを決め、一覧にしておきましょう。パートアルバイト、新入社員、店長候補者、店長、それぞれに求めることと連動した教育が必要です。店長については理念、コミュニケーション、計数管理、業態における専門知識などが必須です。どのタイミングでどのくらいのボリュームにするか予め計画し、計画に則った教育を進めていくと良いでしょう。無計画で行き当たりばったりの教育では良い人財=経営者感覚を持った店長は育ちません。

7.成果に応じたインセンティブの制度を設けている
 仕事のやりがいはお金だけではありませんが、働きに見合った報酬は絶対に必要です。給与制度ではカバーしづらいキャンペーンやイベント等による売上獲得はインセンティブ制度を設けて成果報酬として支給すると良いでしょう。インセンティブ制度はスポットで発生し、かつ現場、店長への負担が大きいものを対象とし、都度支給することで店長も現場も苦労を労ってもらった感覚を強く持つことができます。その感覚が次のキャンペーン等に活きてきます。
また、売上の発生しないキャンペーンやイベントでは金銭的な報酬ではなく、精神的な報酬を与えることも有効です。賞状や賞品などでも十分効果を発揮します。店長が現場の士気を高めやすくする為にもインセンティブ制度を設けておくと良いでしょう。

8.年間の店舗収支計画を立てさせており、会社の予算に反映している
 予算は会社が作るもの。そう思っている店長は多く、そのような意識が「予算が厳しい」といった発想を持たせる原因になっています。まずは店長自身に年間の収支計画を立てさせてみましょう。この作業を通して過去の実績、次年度の見通しなど深く考える機会になります。また経営者がどのような考えで年間の計画を立てているかも理解できるようになります。自分で立てた計画が採用されるとその時点で結果に対してのコミットメントが取り付けられたことになります。自分で立てた計画は与えられた計画よりも意欲的に取り組んで貰えます。この作業を毎年繰り返すだけでも店長の経営者感覚はどんどん磨かれていきます。手間はかかりますが一年の会議スケジュールに組み込んでいただく事をおすすめします。

9.会社の中長期経営計画を発表し、毎年進捗のフィードバックがある
 会社として今後どのように成長し、どのように社会に貢献していくか、中長期的な展望を店長に伝える事は、ロイヤリティー向上に大きく貢献します。「5年後、10年後にあのような状態になるために今年はここの部分にしっかり取り組もう」。こんな想いを持ってもらえるのが中長期経営計画です。その為、計画は数値面が前面に出るのではなく、達成したい事、状態が前面に出るべきです。また立てて発表した中長期計画は毎年進捗、修正計画などを発表する事で一歩一歩計画達成に向かっている実感を持ってもらう事ができます。計画にはビジョン、年度ごとのテーマ、各部門のテーマを明確にし、現場での具体的な取り組みについては店長に考えてもらいます。それが計画に反映されていると店長も経営参画しているという意識を持つ事ができるようになります。少なくとも店長には計画書を配布できる状態にしておくと良いでしょう。

10.店長の事を未来の経営幹部として捉えている
 経営者、経営幹部の期待感の有無は隠しても、繕っても店長に伝わってしまうものです。その為経営者、経営幹部はどんな店長でも必ず成長し、いつか会社の幹部になってくれるだろうと強く信じる事が必要です。実際、目立った成績をずっと出せなかった店長が徐々に成長し経営幹部になった例は少なくありません。
一人一人の店長に期待をかけ、成長の機会を与え、うまくいかない時も支え、成長を信じ、成長を共に喜ぶ姿勢が経営者感覚を持った店長を創ります。成長しない店長、幹部になれない店長がいる場合、その責任は経営者にあると考えてください。一人一人の店長はダイヤの原石です。石ころのまま終わらせるか、磨いてダイヤにするかは経営者次第だと覚悟を決めて接していただきたいと思います。その想いは伝わり必ず身を結ぶと約束は出来ませんが、その経営者の姿勢は必ず会社に良い影響をもたらしてくれると信じています。「事業は人なり」です。

「サラリーマン感覚の店長」を「経営者感覚を持った店長」に変える。これは経営者の責任だと思います。

店舗で働く全ての店長が仕事に対してやりがいを持ち、店長という仕事が憧れの仕事になるよう、経営者の皆様と共に今後も店長育成に取り組んで参ります。

お読みいただきありがとうございました。

平成28年1月25日
DIC幹部育成コンサルティング株式会社
鳥越 恒一

講師紹介

鳥越恒一(DIC幹部育成コンサルティング株式会社 社長)

2003年 、(株)ディー・アイ・コンサルタンツ入社後、人財開発研究部の担当役員として部門を統 括。2012年にDIC幹部育成コンサルティング(株)を設立し、社長に就任。上場企業から個人店まで、飲食・小売・サービス業の人財育成を通したコンサルティングに従事。年間4000人の店長の相談を受け、...>もっと見る

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