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第19回 従業員の声を聴く「最善の方法」は?

第19回 従業員の声を聴く「最善の方法」は?

「従業員の声を聴く最善の方法は何ですか」とよく質問されることがあります。正しい答えは「会社による」でしょう。あるいは「聴くための方法は多ければ多いほどよい」とも言えるかもしれません。職場の環境や業種によっても、従業員の性質や働き方が変わってくるため、従業員の声を聴くための「最善の方法」は変わってきます。例えば従業員の多くが毎日PCの前で仕事をしているような職場なら、メールによるアンケート調査や社内ポータルへの投稿が有効でしょう。反対に、多くの人がPCを触らないような職場なら、よりアナログな方法を考えなくてはなりません。昔ながらの「ご意見箱」や、定期的に従業員を集めて行う「タウンミーティング」などが効果を発揮するかもしれません。
 
インドを本拠とするグローバルITサービスの会社、HCLテクノロジーは、その再建の立役者である元CEOヴィニート・ナイヤー氏がその顛末を書いた著書『社員を大切にする会社』でも有名ですが、社内の変革プロセスの柱として「社員の声を聴く」ということを徹底的に行いました。社員がCEOに自由に質問できる社内ポータル、またはCEOが経営上の課題に関して社員の意見を聞けるフォーラム、社員用のサービス・デスク(社内の改善のための提案や苦情が、まるで顧客問合せのようにシステム化されて処理される)、役員が年間の戦略原案を発表して社員のコメントを募るポータルなど、列挙してみると、いずれもテクノロジーを活用した仕組みであることがわかるでしょう。同社がグローバル企業であり、世界各国に社員がいること、そして、「ITサービス」という業種から、社員のほとんどがテクノロジーに精通していることから、同社には適したやり方であることが推察できると思います。
 
反対のケースとして、従業員のほとんどがPCを触らない「アナログな職場」も想定できるでしょう。少し前に聞いた話で長野の中央タクシーの例があります。長野中央タクシーはその「常識はずれ」とも言えるとびぬけた顧客サービスでも有名ですが、もうひとつ大切にしていることとして「仲の良い職場をつくる」ということがあります。しかし、長野中央タクシーの場合、従業員さんのほとんどがタクシーの乗務員さんで占められていて、全員が一堂に会する機会というのがなかなかありません。また、PCを触るような職種でもありません。そこで、ボイスメールを活用したコミュニケーション・システムを思いついたというのです。携帯電話なら誰でも持っている。日の終わりに各自が気づいたことや業務に役立つ情報をボイスメールに録音して、仕事を始める前に皆が録音したことを聴くことによって皆の輪をつくることができる。コミュニケーションが円滑になる、という「タクシー会社」の職場環境の事情を汲んだ素晴らしく創意工夫に富んだ仕組みだと思います。
 
より「いまどき」の方法だと、スマホを活用するという手もあるでしょう。近年、アメリカで注目されているものとして、スマホのアプリによるアンケート・システムがあります。そういったシステムを専業で開発している会社が数社ありますが、従業員にアプリをダウンロードしてもらって、毎日のように職場の「感触」を聞くのです。「今日のムードは?」「上司との関係は?」「オフィスの環境は?」といった簡単な質問に、「笑顔」から「しかめ面」まで五段階の絵文字で答えてもらいます。また、気温メーターを模したインターフェイスに触れて「温度(最低⇒最高)」を表すものもあります。いまどきスマホは誰でも携帯していますから、従業員がどこにいても手軽に質問に答えられるというのがミソです。脈を計って職場の「健康診断」を行うようなイメージから「パルス(脈)サーベイ」とも呼ばれていて、職場に潜んでいる問題を早期に感知して対処できる方法と、テクノロジー・スタートアップの会社を中心にもてはやされています。
 
どういう方法なら意見が言いやすいか、は個人差もあります。面と向かってのほうが言いやすいという人もいれば、デジタルかつ匿名のほうがいいという人もいるでしょう。何が当たるかはわからないので、できるだけバラエティに富んだ方法を試してみること、こまめに聴く努力をすること、そして、聞きっぱなしにしないできちんとフィードバックすることをお勧めします。
 
 

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ダイナ・サーチ、インク代表 石塚しのぶ氏

石塚しのぶ氏(ザッポスの奇跡の著者/ダイナ・サーチ、インク代表)

米国で日々生まれている優れたビジネスモデルや事業アイデアを収集、分析し日本企業へ提供する日米間ビジネスコンサルタント。幾度の経済危機を乗り越え躍進続ける米国最強中小企業群の経営手法を研究し、会社が強く結束する「コア・バリュー経営」を開発し発表。指導先が採用したところ「社員の働き方が変わった」、「社員に言葉が伝わりやすくなった」、「売上利益が伸びた」…と経営者から反響を呼び、導入指導、戦略立案アドバイスに飛び回る。南カリフォルニア大学卒業後、アポロ11号が成し遂げた人類初の月面着陸に衝撃を受け、コニックスバーグ・インストゥルメント社でNASAプロジェクトに従事した後、独立。日米間のビジネス・コンサルティング会社、Dyna-Search, Inc.をロサンゼルスに設立。 主な著書に「売れる仕組みに革命が起きる」、「ザッポスの奇跡」、「未来企業は共に夢を見る」他。

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