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(48)カエサルの後継者選び

(48)カエサルの後継者選び

  専制的な権力集中を進めるカエサルが胸中秘かに「この男ならどうか」と思い描いたもう一人の後継者候補は、17歳のオクタウィアヌスだった。
 
 妹の孫だが、男児のいないカエサルは養子にとり育てていた。
 
 しかし、身内とはいえ、周囲の噂にも上らなかった。何より若い。しかも、ひ弱だ。
 
 だれもが、「アントニウスで決まりだろう」と考えた。何より偉丈夫である。若い養子にはない軍事的才能もある。
 
 アントニウス自身がそう考え、頑固さを増して、だれもが扱いにくさを痛感し始めるカエサルに寄り添い支えた。
 
 カエサルの意中については、想像するに、こういうことだったのではないか。
 
 「確かにアントニウスは使えるが、エジプト遠征中に任せたローマでの政治的センスの無さはどうしようもないな。彼を据えても必ず挑戦者に潰される」
 
 「確かにわが養子は若すぎる。しかし、俺も帝国の新秩序を確立するまでに、10年や20年はかかるだろう。まだ死ねぬ。13年経てばオクタウィアヌスも30歳になる…」
 
 非力であっても、政治力なら、俺譲りだ。「ならば」、と考えたか。
 
 この年、カエサルはスペインに遠征し、ポンペイウスの遺子を擁立する反乱軍を打ち破り、帝国の東端安定のため遠くパルティアへの遠征を計画する。
 
 その陣営に軍経験のない、ひ弱な養子を送り出すことにした。一人の勇猛な兵士、アグリッパを後見として付けて。「軍の指揮を実際に経験しろ」と。
 
 前後して、翌年紀元前44年の五回目の執政官の相方にアントニウスを起用する。
 
 そして矢継ぎ早に、内政の改革に乗り出した。属州民に広く市民権を与え、定員を増やした元老院に、異民族でも属州代表を加えた。
 
 何よりも、現代に暮らすわれわれも恩恵に浴している改革が暦法の改正だ。月の巡りに基づく太陰暦から、太陽運行により、一年を365日とするユリウス暦に切り替えたのだ。
 
 「おい、これはエジプトの暦じゃないか。クレオパトラにたらし込まれたか」と、市民たちは、属州民の市民権獲得とともに、異族の風習導入への反発が募る。
 
 さらに、「カエサルは王になろうとしている」の噂は広がるばかり。再び、共和制護持の政体論が政争の焦点に持ち上がってくる。
 
 この年、カエサルは、秘かに「遺言」をしたためた。死後、だれもが驚くその内容が公開されるのは翌年3月のこと。暗殺の日が近づいていた。
 
 ※参考文献
  『ローマ人の物語(Ⅴ)』塩野七生著 新潮社
  『カエサル』長谷川博隆著 講談社学術文庫
  『プルタルコス英雄伝・下』ちくま学芸文庫
  『ローマの歴史』モンタネッリ著 中公文庫
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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経営コラムニスト紹介

宇惠一郎

宇惠一郎氏  元読売新聞東京本社国際部編集委員



 早稲田大学卒業後、商社を経て、1978年読売新聞社入社。社会部、外報部、95~98年ソウル支局長。帰国後、解説部次長、2007年編集委員。2011年4月〜2012年8月ソウル支局長(専任部長)、2012年9月編集委員、現在フリージャーナリストとして活躍している。

 主な著書と受賞歴
 「理解と誤解 特派員の読む金大中の韓国」
  1997年「第1回 サムスン言論大賞特別賞(海外部門)」受賞

連絡先 ueichi@nifty.com
 

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