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(47)カエサルの苦悩

(47)カエサルの苦悩

 揺るがぬ権力を手に入れたカエサルは苦悩を抱えていた。53歳、組織トップなら誰しも行き当たる後継問題にまつわる悩み時である。
 
 版図を地中海世界全域に広げたローマ帝国に必要な新しい秩序と支配、それはおのれ一代で完成するものではあるまい。権力を安定させるためにも、理想を継ぐ後継者が必要だ。
 
 さて、それを誰に委ねるべきか?
 
 四たび、妻を娶った彼だが、息子に恵まれなかった。息子ならば、エジプトでのロマンスで、クレオパトラとの間にカエサリオンを授かった。
 
 あるいは、愛人の子、ブルートゥスがいる。彼がカエサルの子であることは、当人も含めて誰もが知っている。しかし…
 
 カエサリオンもブルートゥスも嫡男ではない。彼らへの権力継承では納まりがつくまい。
 
 軍事に才能を見せ、右腕として忠誠を尽くしてきたアントニウスはどうか。34歳。次世代のホープで、脂も乗り切った働き盛り。
 
 だがしかし、その政治力には不安がある…。悩みは尽きない。
 
 第10軍団の反乱を処理したカエサルは、北アフリカに陣取るポンペイウス残党の総帥スキピオを打ち破り、「専制」志向のカエサルに「共和制護持」を訴えて刃向かい続けるカトーを自殺に追い込む。
 
 事実上の権力掌握を待って、カエサルはローマに戻り4日間の凱旋式を挙行する。
 
 ガリア時代から息つく暇のなかった戦いの日々に一息ついて、ガリア戦役、エジプト、アジア、北アフリカの戦いの勝利を祝った。
 
 その象徴として、ガリアの英雄、ウェルキンゲトリクスも6年ぶりに牢獄から引き出され市中を引き回されて首を切られた。
 
 久々に訪れた平和を祝して、カエサルは市民に酒と食事を振るまい、誰もが酔いしれた。
 
 凱旋式に続く神への感謝祭に招待されたクレオパトラと幼いカエサリオンの姿に市民たちは不信を募らせる。
 
 女神ウェヌス像の隣に、クレオパトラの像を立てる計画が示されるに及んで、それは増幅された。
 
 「まさか、エジプト娼婦の子にローマの将来を託すつもりであるまいな」。
 
 「後継候補なら、いま一人いるぞ」と言ったかどうか、カエサルは、ある10代の男の姿を脳裏に浮かべ、口さがない噂を心の中で一笑に付した。
 
 カエサルはこの年、三度目の執政官になったのに続いて、前例のない10年任期の独裁官に就く。権力は一身に集中してゆく。
 
 ※参考文献
  『ローマ人の物語(Ⅴ)』塩野七生著 新潮社
  『カエサル』長谷川博隆著 講談社学術文庫
  『プルタルコス英雄伝・下』ちくま学芸文庫
  『ローマの歴史』モンタネッリ著 中公文庫
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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経営コラムニスト紹介

宇惠一郎

宇惠一郎氏  元読売新聞東京本社国際部編集委員



 早稲田大学卒業後、商社を経て、1978年読売新聞社入社。社会部、外報部、95~98年ソウル支局長。帰国後、解説部次長、2007年編集委員。2011年4月〜2012年8月ソウル支局長(専任部長)、2012年9月編集委員、現在フリージャーナリストとして活躍している。

 主な著書と受賞歴
 「理解と誤解 特派員の読む金大中の韓国」
  1997年「第1回 サムスン言論大賞特別賞(海外部門)」受賞

連絡先 ueichi@nifty.com
 

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