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第126話 今後の賃金動向と中小企業の賃金政策を考える(4)

第126話 今後の賃金動向と中小企業の賃金政策を考える(4)

 

文筆: 賃金管理研究所 取締役副所長 大槻 幸雄 氏

 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情」(平成30年版)によれば、「賃金表のある会社」は全体の39.6%、「賃金規程はあるが賃金表のない会社」は50.0%となっている。賃金水準が日本一高い東京都ですら、中小企業で賃金表を持たない会社は半数に達しています。

 実際、私どもに賃金制度づくりを依頼される企業にも、賃金規程(給与規程)はあるが、賃金表は用意されていないという会社が多いのです。そのような会社では、賃金規程上で昇給について定めが一応は存在するものの、「毎年4月期に、会社の業績および個人の勤務成績を勘案して、昇給を行なう(ことがある)。」という、実に曖昧な表現のものが目立っています。

 賃金表がないうえに、昇給額や昇給率がわかるルールが全く書かれていないのですから、社員としては将来の給料がどうなるのか、年毎に不安が募ることでしょう。生活の糧である自分の給与額が、将来どう上がっていくのか見通せないのですから、仕事のできる社員ほど転職を意識するようになっても不思議ではありません。一方、賃金表があっても昇給ルールが守られていない会社にも、同じようなことが起こります。

 確かに、昇給ルールを賃金規程上でオープンにすれば、それは社員に対する約束となりますから、社長の立場からすれば「業績の良し悪しに関係なく全員を昇給させるなどとんでもない。」とか、「業績が悪くなったらどう抑えたらよいのか」という心配から、曖昧なままにしておきたいとの想いに駆られることはあるのでしょう。

 でも、昇給運用をあいまいにしたままで、社員の定着など望めないのです。

 賃金管理研究所の会員企業の中には、「社員を大切にする会社」として表彰を受けられた会社が何社もありますが、本当に社員を大切にし、活気あふれる会社は、例外なく賃金処遇の決め方を社員全体にオープンにしています。

 「自分の給料がどのように決まっているのか、はっきり分かるように説明してほしい」と社員の誰しもが心の底で思っています。この要請に応える「合理的な賃金制度の確立」なくして、社員のやる気を引き出すことはできません。

 もし、自社の賃金処遇の決定方法が確立されておらず、社長の経験と勘に頼っているようであれば、直ちに合理的な賃金制度の構築に向けて、最初の一歩を踏み出していただきたいと思います。また、これまで運用してきた賃金制度が、平成不況と呼ばれた時期を経て、社員相互の賃金バランスに歪みが生じていたり、支給基準が不明な手当などが乱立していたりするようであれば、これも早急に正すべきでしょう。

 判りやすい賃金表の活用、初任給決定、昇給運用、評価制度とその処遇への反映、賞与配分、各種手当の支給等の賃金施策を通して、社員のやる気が常に最大になるように運用していくことができれば、社員の定着は高まり、社業の発展の礎になるのです。

 もし、わが社の給与制度や評価制度の運用について、少しでも心配な点や問題点があるなら、なるべく早めに見直されることをお勧めします。

 

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経営コラムニスト紹介

弥富拓海
賃金管理研究所所長

賃金管理研究所所長。昭和44年武蔵大学卒。ティアック等を経て平成4年入所。主な指導先に、大倉工業、産能大学、日東光器、アムコ、日本情報センター、福山商工会議所、他多数。 主な著書に、「強い会社をつくる賃金の決め方」はじめ、「賃金管理データブック(共著)」他。

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