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第11号 “製造業”のための全員営業の活用法【問題提起編】

社長のための“全員営業”

 

 製造業の営業現場は技術力が高いことをアピールしがちだが、営業相手先の経営者が求めているのは違う内容である。

 
 第11回コラムからは、会社が置かれている状況別ではなく、各業種の特徴に応じて全員営業を活用するポイントについてお話します。
 
 まず最初は、製造業についてお話します。製造業とひとくくりにすると、紙コップのような日用品から、半導体などの超精密機械まで千差万別です。ゆえに、ここでは、他社と同じ内容の商品を作っていて価格でしか勝負できない会社ではなく、技術力や商品品質の良さで勝負している会社を前提とします。
 
 製造業の営業強化のコンサルティングでは、「自社の技術力は高いのだか、それが相手にうまく伝わらない」あるいは、「品質の良さをどうアピールするかが難しい」という相談をよくうけます。
 
 営業では、その道の専門家が陥る落とし穴というのがあります。製造業でいえば、品質の最も良いものが一番売れる(選ばれる)というのが代表的なものです。
 
 確かに、もととなる技術・品質が良くなければ売れ続けることはできませんが、一定水準をこえた場合、営業契約に至る決め手がその優劣ではなくなることがあります。
 
 わかりやすく言えば、100点満点はあきらかに違うが、97点と98点では、どう違うのかという話です。
 
 もし、営業マンが面談しているのが、営業先の技術・購買部門ばかりで、かつ以前、類似の自社商品か競合商品を購入し、使用しているのであれば、その違いを説明すれば理解できるかもしれません。
 
 しかし、大きな取引になればなるほど、その最終の意思決定を行うのは、技術現場を離れてから10年~20年経っている経営者です。ましてや、面談ではなく、企画書で見せるだけで、果たして、それが通じるでしょうか?
 
 営業マンが、営業先から「値下げしろ」といわれて辟易しているのと同様に、逆の立場から見れば、営業相手先の経営者は、営業マンからの「うちの商品の技術・品質は良いです」との説明に慣れきっていて、それだけでは何のインパクトも相手に与えることはできません。
 
 営業相手先の経営者の立場からすれば、技術・品質が良いことなど当たり前のことであり、そういった説明よりも、もっと重要で関心の高いことが他にあるというのが本音です。
 
 山頂から見る景色と、山の中腹から見える景色が違うように、営業先の相手のポジションによって、見えている景色、意思決定するポイントは明らかに違うのです。
 
 製造業の場合は、この営業上の誤解が、他の業界に比べても大きい傾向があると感じています。
 
 次回は、そういった製造業が抱える営業上の落とし穴について、全員営業を活用して解決するためのヒントをお伝えします。
 
 
・今回のポイント(〆の一言)
 製造業が技術力をいくらアピールしても、営業先の経営者にすれば、それは当たり前の話。同じ技術力を説明するのでも、相手によって、かえないと伝わるものも伝わらない。
 

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