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第55回 『この機に学ぼう!LGBTの基礎知識』

第55回 『この機に学ぼう!LGBTの基礎知識』

スーパーマーケットを経営する伊藤社長が、賛多弁護士に本題の法律相談を終えた後、世間話をしています。
 
* * *
 
伊藤社長:うちの甥っ子は、外資系企業に勤めているのですが、その甥っ子が、会社でLGBTに関する研修を受けたとかで、「おじさんの会社もLGBTに関する理解を深めた方がいいよ」なんて言ってくるんですよ。
 
賛多弁護士:ほう。なんとも先見の明のある甥っ子さんですね。
 
伊藤社長:え、そうなのですか。そもそも、私は、「LGBT」の意味もイマイチ分からないのですが。
先生、簡単に教えて頂けませんか。
 
賛多弁護士:はい、喜んで。
「LGBT」は、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシャル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)のそれぞれの頭文字をとった単語です。性的少数者(セクシャルマイノリティ)の総称として使用されている言葉ですよ。
 
伊藤社長:なるほど、性的少数者の総称ですか。
レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)は知っていますが、トランスジェンダーとはどういうものですか?
 
賛多弁護士:多くの人は身体的性別(身体の性)と性自認(心の性)が一致しています。
しかし、「身体は男であるが、心は女である」というように、身体的性別と性自認が一致せず、自身の身体に違和感を持つ人たちもいます。
このような、自身の身体に違和感を覚える人々を総称する言葉が、トランスジェンダーです。
 
伊藤社長:身体の性と心の性ね、考えたこともなかったな。勉強になります。
ただ、性的少数者というくらいですから、LGBTに該当する人は少ないんでしょう? 
 
賛多弁護士:色々な調査結果があるのですが、株式会社電通の「LGBTQ+調査2020」 (*1)によれば、日本のいわゆるLGBT層の割合は、8.9%、つまり11人に1人という計算になります。
これは、左利きの人の割合とほぼ同じということです。
 
伊藤社長:ええー、そんなにいるんですか。左利きの人は、私の友人にも、もちろん、職場の従業員にもいますよ。
同じ割合なのかぁ、意外だなぁ。思った以上に多い印象です。
 
賛多弁護士:そうですよね。
日本では、まだまだ、LGBTに対する無理解による差別や、偏見が存在します。
そのため、自身がLGBTであることを公にすることができず、LGBTであることを隠して生活をすることを強いられている現状があります。
 
伊藤社長:それは良くないですね。
     私の経営するスーパーマーケットのお客様の中にもLGBTに該当する方がいらっしゃるということですもんね。
     私のような経営者がLGBTへの理解を深め、応援することで、本業の利益につながりそうな気がするな。
 
賛多弁護士:さすが、社長!大変鋭くていらっしゃいますね!
      経団連の提言(*2)にも、企業がLGBTへの理解を深めることで、「LGBT当事者である優秀な人材のみならず、当事者の周囲にいる人材を獲得し得る」とか、「自社のブランド価値向上につながる」とか、「ビジネスの拡大につながる」などと書かれています。
      
伊藤社長:甥っ子が言っていたのは、そういうことだったのか。
具体的には、どのような取り組みを行えばよいのでしょう?
 
賛多弁護士: 先ほどご紹介した経団連の提言(*2)には、例えば、社内に相談窓口を設ける、研修を行う、LGBTに関連する社外のイベントへ協力するなど、具体的な取り組み例が紹介されています。
また、厚生労働省からも分かりやすいリーフレット(*3)が出ていますよ。
 
伊藤社長:ありがとうございます。
     「善は急げ」だ。早速これらを読んで、実行に移すようにします!
 
* * *
 
 これまで、日本には、LGBTに関する差別を禁止する法律はありませんでした。
 しかし、令和3年1月18日からの第204回通常国会では、「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」が提出されており、報道によれば、同年5月14日には与野党で合意したこと、今後は、各党内の手続きを経て、同国会での成立を目指すということです。
 LGBTに関する差別を禁止する法律案は、野党が過去5年のうち、二度にわたり提出してきましたが、与党が議論に応じず、宙吊り状態でした。今回の法案について、与野党で合意したことは注目に値します。
 近年、LGBTに関する理解が広がり、LGBTを理解し支援する人を「アライ(Ally)」と呼んだり、LGBTに配慮した取り組みを行う企業を「LGBTフレンドリー企業」と呼んだりするようになりました。これらの人や企業は、社会で好意的に受け止められています。
 この機会に、御社もLGBTへの理解を深められてはいかがでしょうか。
 
 
*1 株式会社電通、「LGBTQ+調査2020」
 
→同社は2012年、2015年、2018年と3回にわたり「LGBT調査」を実施しています。4回目となる2020年の同調査では、「LGBTQ+調査」と名称を改め、LGBTだけでなく、多様なセクシュアリティ(クエスチョニング(性自認もしくは性的指向が決められない、分からない)、アセクシュアル・アロマンティック(他人に恋愛感情を抱かない)、エックスジェンダー(性自認が男性・女性どちらとも感じる、どちらとも感じない)など)の内訳についても詳細な分析を行っています。
 
*2 一般社団法人 日本経済団体連合会「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」
 
*3 厚生労働省「多様な人材が活躍できる職場環境づくりに向けて~ 性的マイノリティに関する企業の取り組み事例のご案内 ~」
 
 
以上
 
 
執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 木元 有香

 

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経営コラムニスト紹介

鳥飼重和
鳥飼総合法律事務所 代表弁護士

「社長を守ることが、会社を守ることにつながる」との信念で、自由競争社会で最強の武器である法律を活用し、「戦わずして勝つ」経営参謀型の弁護士。

 企業法務の弁護士として、勝訴が困難と言われている税務訴訟で、2008年から10年の3年間で、35事件中25件を勝訴、輝かしい実績をもつ税務訴訟の開拓者。現在は、「変革期の現在、社長と会社を守るには、想定外の事態への事前対応・準備が必要」と、従来からの訴訟中心の紛争解決型ではなく、経営と法務を統合したリスク想定回避型の戦略提案を活動の中心に据えている。
 日本経済新聞社が調査した「企業が選ぶ弁護士ランキング」の「税務部門」の第1回の2013年及び第2回の2016年で、いずれも総合1位。さらに、2017年の「金融・ファイナンス部門」でも、5位に選ばれている。また、世界の法曹界や企業が注目する評価機構チェンバースの2018年弁護士ランキングでは、「税務部門」の筆頭に選出。
 1947年福岡県生まれ。中央大学法学部卒業。税理士事務所勤務後、90年弁護士登録。94年鳥飼総合法律事務所開設、代表弁護士に就任。一部上場企業から急成長のベンチャーまで、数多くの社長と会社の用心棒的経営参謀になっている。
 現職のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス社外取締役のほか、日本税理士会連合会顧問、日本内部統制研究学会会長などの公職を数多く歴任。
 主な著書:『豊潤なる企業』『社長のための残業時間規制対策』『幸運の法則』『幸せの順番』『新たな税務調査手続きへの対応』『内部統制時代の役員責任』『株主総会の議長・答弁役員に必要なノウハウ』『株主総会徹底対策』など多数。

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