2007年から始まった保存・復元工事を終えて国の重要文化財である東京駅・丸の内赤レンガ駅舎が10月1日にグランドオープンした。
今年は東京スカイツリー、渋谷ヒカリエなど東京に新名所が完成して話題となっている年だが、リニューアル後、最初の週末となった体育の日の3連休には、驚くほど多くの人が東京駅を見に来ていた。
東京駅は陸軍の練兵場として使用されていた土地の岩崎彌之助(三菱)への払い下げと、鉄道がなかった上野~新橋間を結び、丸の内を東京の中心地とする明治政府の都市計画の一環として、明治17年(1884年)の中央停車場(東京駅)の建設計画からスタートしたが、設計変更や日露戦争による工事中断などにより、完成まで30年ほどがかり、大正3年(1914年)にようやく完成した。
その後の関東大震災(大正12年=1923年)では被害を受けなかったものの、第2次大戦で昭和20年(1945年)に空襲を受けて屋根と3階部分が焼失し、戦後は完全な形での再建を断念、八角屋根の2階建てとして昭和22年(1947年)に修復した。
今回の保存・復元工事は、事業費約500億円を、空中権を周囲に移転・売却する方法で捻出し、残っている1~2階、外壁などを保存、焼失した南北ドームや天井の内装などを復元して、辰野金吾が設計した東京駅舎を蘇らせたものだ。
私は丸の内駅舎前の丸ビル8階の会議室でセミナーをやっているので、工事は最初から毎月見ていたが、当初は駅前広場に大きな飯場が建って土木工事の現場のようで、壊して建て替えるようにも見えた。
これは最初の4年半ほどは外観部分ではなく全長約335m、幅約20m、尖塔部を含む高さ約45m、総重量約7万トンの駅舎を動かさずに地下部分に穴を掘り、免震装置352台と揺れを制御するオイルダンパー158台を設置する免震工事を行なっていたためで、外から見える以上に基礎の部分も修復されている。
■東京ステーションギャラリー、東京ステーションホテル
東京新名所という観点から見ると、来ている人の一番の関心は、赤レンガ駅舎の外観とドーム内側の天井で、ほとんどの人がデジカメやスマートフォンなどで写真を撮っているが、横幅の広い駅舎の全景を撮るためのお薦め撮影スポットは、新丸ビル7階のテラスだ。
今回の改装で南口側にリニューアルオープンした「東京ステーションホテル」の2階には、レストランブランルージュ、すし青柳などのレストラン、バー、トラヤカフェなど雰囲気のいい飲食店には行列ができているし、北口側の3倍の広さになった「東京ステーションギャラリー」にある「TRAINIART(トレニアート)」でも、東京駅オリジナルグッズを買っている人が多く、丸ビルや新丸ビルの店舗も賑わっており、東京駅効果が出ている。
また、東京駅丸の内駅舎保存復元記念商品も東京駅改札内外の多くの店舗で販売されていて、スカイツリーと並ぶこの秋の東京観光の目玉となりそうだ。
======== DATA =========
●東京ステーションシティ
http://www.tokyostationcity.com/
●東京駅の歴史
http://www.tokyostationcity.com/history/index.html
●東京ステーションホテル
http://www.tokyostationhotel.jp/
●東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
●東京駅丸の内駅舎保存復元記念商品
http://www.tokyostationcity.com/goods/index.html
●新丸ビル・フロアガイド
http://www.marunouchi.com/shinmaru/search/floor/all_view.html