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製造業

第215号 工場中心の分散購買を目指そう

柿内幸夫─社長のための現場改善

 最近頂いたタイヤキの形をしたおもちゃのキーホルダーです。エラの部分を押すと「アン(餡)」という音(声?)がします。文章などを書いていてアイデアに詰まった時に何度も押して遊んでいます。「案、案、案」と励ましてくれるからです。

kaki215-1.jpg

 九月になりました。まだ暑いですが確実に秋の気配が感じられますね。さて、ここのところ「節電」と「安全」の話をしていて、「最強のモノづくり」の話は207話を最後に中断しておりました。今回から久しぶりに再開いたします。レベル4から始めますね。

 レベル0:ダンゴ生産

 レベル1:工程内の流れ

 レベル2:工程間の流れ

 レベル3:工場内の流れ

 レベル4:工場間の流れ

 レベル5:お客様への流れ

 レベル6:一気通貫の流れ

 さて、レベル4は「工場内の流れ」です。ところで、レベル4に入る前にちょっとだけレベル1~3の復習をします。

 レベル1の工程内の流れでは「セル生産」。レベル2の工程間の流れでは「カンバンシステム」。レベル3は「工場内の流れ」で、物理的な流れを作る時の例はスーパーマーケットのカレーコーナー。そして情報的な流れとすると、株式会社永沢工機における「まとまる台車」の例などをあげました。

 では、これからレベル4の「工場間の流れ」についてお話しします。レベル3までは「モノと情報の流れ」の改善の中で、対策は物理的なものが多かったのですが、ここからは情報的な対策が中心になります。

 これまでもそうですが、各レベルを表現する言葉は非常に分かりやすいシンプルなものです。「工場間の流れ」は工場と工場の間の流れですから、現在協力工場と情報をやり取りして毎日の生産を行っている方々の中には、レベル4は既にできていると思ってしまう方もいるかもしれません。

 しかし、これからご説明するレベル4は多分現在の流し方とはかなり違うものであると思います。読み飛ばさないで下さいね。

 では、例えば本社機構の下に複数の工場が置かれている構造の会社における「工場間の流れ」についてご説明します。

 普通の場合ですと、お客様の注文情報はまず本社に入り、管理部門の手を経て、ある程度のまとまった単位で生産計画のような形となって工場に伝達されます。

 ある程度のまとまった単位で工場に伝わるということは、情報はレベル0で取り上げたダンゴ生産になってしまうということになります。すなわち、これまでの努力がすべて水の泡になってしまうのです。

 そこで、レベル4ではお客様の注文情報は本社だけでなく同時に工場に対等に伝わります。ですから、お客様の情報を本社で工場別の生産計画に置きなおすということはありません。

 情報を手に入れた最終組み立て工場は、お客様への出荷計画から生産計画を作成して他の工場と協力して製品を作り、直接にお客様に出荷します。

 そして出荷が終わった後で、その結果を本社に報告する体制です。要するに、レベル4の工場は、本社主導の普通のやり方の工場と逆の情報の流れになっています。

 つまり、部品などの調達はこれまでは本社が中心になって集中購買をしていましたが、この場合は工場が中心の分散購買になります。

 もちろん工場からお客様のところに直接配送しますから、本社管理の商品倉庫は不要になります。 ちなみに、このレベルの改善はすべてこれまでに積み重ねてきたレベル3までの改善がベースになっています。

 だんだんと厳しくなっていきますが、厳しいからこそできた時にはだれにも負けません。レベル6まで行けば、誰にも絶対負けないと考えていいのです。次号から、その説明をしていきます。

 ようやく涼しくなってきました。元気を出してみんなで頑張りましょう!

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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