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第43号 織田信長のココロとカラダ

おのころ心平の ──社長のための「か・ら・だマネジメント」

 男なら、一度はその生き様に憧れる歴史上の人物と言えば、筆頭はやはり、織田信長があげられるでしょうか。

 「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。ひとたび生を得て、滅せぬもののあるべきか。」

 信長自身、本能寺で無念の死を遂げたのは49歳。まさに、信長が好んで舞ったという敦盛の一節の如く、生涯を閉じました。日本人は、道半ばで倒れた人物をひいきにする体質なのかも知れません。坂本龍馬しかり、織田信長しかり。

 かく言う私も、信長小説は、司馬遼太郎氏の『国盗り物語』をはじめとして、津本陽氏の『下天は夢か』、安部龍太郎氏の『信長燃ゆ』、秋山駿氏の『信長』、谷恒生氏の『革命児 織田信長』、池宮彰一郎氏の『本能寺』、火坂雅志氏の『沢彦』や『覇商の門』、もちろん、加藤廣氏の『信長の棺』にも夢中になりました。

 もし信長がもう少し生きていれば、日本の歴史はどう変わっていたのか…。そんな歴史への空想が、信長、そしてその背景になる戦国時代へと私たちの関心を駆り立てます。

 ところで、女性が恋愛小説を好むように、男性は歴史小説が好きですよね。(私も含め!)史実を元にしているから、読んでいても自分を客観的立場における。なおかつ、時の権力者を主人公にした内容へ自己を投影できる。

 これはどこかで、TVの前でスポーツ観戦する男性の姿と似ていなくもない。当事者ではないから、あれこれ突っ込みを入れることができます。

 男性が歴史小説にはまるのは、悲しいけれども、一種の現実逃避とも言えなくもないなぁ、なんて思ったりします。(私も含め!…世の女性の皆さん、そんな男性の背中をいとおしく思ってあげて下さいね)

 それは実際、いかに信長が好きな人でも、果たして信長のように生きられるかと問われると、大方の人が沈黙するだろうと思うからです。

 有名な比叡山焼き討ち、伊勢長島への2万人を超える虐殺、伊賀の里の殲滅など、信長の行なったことは、同時代の当事者だったら、とても正気ではいられないことも多かった。

 楽市楽座といった近代的な経済政策も、今でこそ、それを客観的に評価できますが、同時代の人々には何が何だかわからなかったかも知れません。その独創性と先見性、狂気と天才を兼ね備えた破壊性…。

********

 クッレチマーの気質論というのがあります。その類型論では、

 ◆分裂気質・分裂病質(細長型)
 神経質な性格。非社交的・孤立・内向的・奇妙な変わり者な特徴を示し、一方で、興奮性、鈍感さ・傷つきやすさ・従順さなどを示す。

 ◆循環気質・躁鬱病質(肥満型)
 基本的に社交的・親切・温和・善良。時に活発性・陽気・ユーモア性・熱中性を、その反動として、陰気・憂鬱・非活動性・気分の落ち込み・気の弱さを示す。

 ◆粘着気質・てんかん質(闘士型)
 融通が効かない頑固さ・几帳面・秩序志向性・執着性。また、婉曲的なまわりくどさ・丁寧過ぎる態度・慇懃無礼・話し方や行動のテンポの遅さや怒りやすさ・激情性・興奮のしやすさを示す。

の3つのタイプが示されています。また、少し前の脳神経伝達物質の過剰型で見るタイプ論では、

 ◆ドーパミンタイプ 
 非社交的で、風変わり。神経質でものごとに敏感。興味があることには一心不乱に集中する。ドーパミンタイプには、天才や芸術家が多い。

 ◆ノルアドレナリンタイプ
 気持ちのアップダウン。明朗でユーモアに飛んだ面と寡黙で気が重くなる時との差がはげしい。

 ◆ギャバタイプ
 几帳面で凝り性。忍耐強くひとつのことに熱中する。時として融通がきかず、ささいなことで激昂し、爆発的な怒りを表す。

 もちろん、歴史上の大人物をこうしたタイプ論でくくるのは無理があるかも知れませんが、以上のタイプを照らして見る限り、信長は、「青年期までは、分裂ドーパミンタイプ→壮年期には粘着気質ギャバタイプへ移行」ではなかったか、と私は見ています。

 仕事柄、私は性格論や体質論に触れることが多いのですが、『天才の病態生理』( 医学評論社 )を読んだ時、ふと、信長のイメージが頭を占領しました。

ono43-1.jpg この本に信長は登場しませんが、まさしく、天才とは脳の特異体質ということがよくわかる本です。いい悪いではなく、人間とは爆発的なエネルギーを内に秘めた存在。

 中世を破壊し、日本を近世へと導いた革命児としての信長のパワーは、もちろん信長ただ一人の力ではありませんが、彼と彼の内側の天才の発露がなければ、あり得なかったことかも知れない。

 最近読んだ、小室直樹氏の『信長 近代日本の曙と資本主義の精神』(ビジネス社)という本では、まさしく信長なくして近代日本の資本主義なし、と論評されています。
.

ono43-2.jpg 信長とその時代、そして、現代へと連綿と続く私たちの歴史を知るのに、ぜひおすすめしたい本です。 

 

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