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第1回 ハラスメントが起きる職場と起きない職場は何が違うのか?

第1回 ハラスメントが起きる職場と起きない職場は何が違うのか?

社員が楽しみにしていた誕生会がハラスメント扱いされた会社
 
 A社では社員の誕生日会を就業時間後にやるのが会社で決めた恒例行事となっていて、みんなそれを楽しみにしています。時期によっては誕生会が続く月もありますが、みんなで プレゼントをしたりと職場内の良い人間関係の形成とコミュニケーションの促進になっていました。このためこの会社は人間関係でトラブルになることはない良い職場でした。
 しかし中途入社した女性社員に先輩社員が「田中さん(仮称)の誕生日は何月なの?会社で誕生会をやってるから教えて」と言ったところ、「私は年齢がばれるのが嫌なのでけっこうです。誕生会は年齢差別にあたるのでエイジハラスメントじゃないですか?」と予想しなかったことを言われたので呆気に取られてしまいました。
 先輩社員は社長に相談したところ、「エイジハラスメント?何だそれは?」と聞いたこともないハラスメントに首をかしげていました。今までこんなことを言う社員がいなかったので、ハラスメントになるなんて考えてもいませんでしたが、面倒なことになりそうだったので誕生会をやめることになってしまいました。「田中さん抜きでやればいいじゃないか」ということで進めようとしたら、「私だけ仲間はずれにされているのはどうかと思うのですが」と言うので、扱いに面倒になり、誕生会は開催されなくなりました。「田中さんが入ったせいで会社の雰囲気がおかしくなってしまった」と陰で言う社員も増えてきて、殺伐とした雰囲気に変わってきてしまいました。
 A社ではみんな楽しみにしていた誕生会が一部の社員によってハラスメント扱いされてしまったという例です。
 
宴会での裸でカラオケがハラスメントにならない会社
 
 B社では、毎年の忘年会で社員の出し物が行われます。宴が進み、社員の出し物が行われていくなかで、上半身裸でカラオケを熱唱する男性社員がいたのです。
このケースがセクハラに該当するか否かを100人に聞いたら100人がセクハラと答えると思います。この会社の7割は女性で、セクハラと言われても仕方がない状況です。
 昭和世代では体を張った裸芸というのは、宴会の風物詩ということもあり、女性も「また脱いでるわ…まぁ今日は仕方ないわね。」という感じで目くじらを立てる人はそんなにいなかったと思いますが、今のご時世でやるとセクハラ扱いされる可能性が高いです。
だから自然と宴会での裸芸は減っていきました。
 私はこの様子を静観していたのですが、嫌そうな人はおらず(内心は嫌な人がいたかもしれません)、むしろ盛り上がっていてアンコールの掛け声が飛び交い、期待に応えてやっていました。後日になっても「あれはセクハラです」と言ってくる社員はいなかったのです。
むしろ栄誉を称えられている節さえありました。
B社は上半身裸でカラオケをやってもハラスメントにならなかった例です。
 
法令違反ではなく、3つの要素によってハラスメントは起きる
 
 この2つの事例は対照的です。誕生会がハラスメントになるA社と裸でカラオケがハラスメントにならないB社を客観的に見ればB社はセクハラに該当する可能性がありますが、A社は全く問題ないはずです。
しかしA社は問題になり、B社は問題にならないという不思議な現象になりました。
 私は極論を言えば、一般的にパワハラ、セクハラと判断される行為であっても当事者がそう感じなければ良いのではないかと思います。
企業にとって一番良いのは、社員がイキイキと働き、職場の生産性が向上して会社の業績が向上することです。宴会で裸芸があっても、それが楽しくてみんなで笑って愉快な気分になってリフレッシュになっているのであればそれはそれで良いのではないでしょうか。
 ハラスメントに限らず、労働問題は単に法律に違反しているからという理由だけで起きるのではなく、根本的には人間の感情、職場での人間関係、個人の価値観の3つが複雑に絡み合って起きます。A社とB社の違いはここにあるのです。
 どんなにハラスメントの定義をして予防策を講じたとしても、行為者が誰ということと、受け手の感情によってハラスメントと感じるかどうかが変わってきます。
研修を実施したり、規則を制定したり、相談窓口の設置を行っても万全な予防策を講じることが難しいのです。ハラスメントが起きない職場にするために会社が取り組むべきことは5回の連載の中で触れていきたいと思います。

 

バックナンバー

2018.10.10
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2018.09.12
第9回 善意が仇となる部下との飲みニケーション
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第6回 なぜハラスメント問題が泥沼化するのか?
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経営コラムニスト紹介

野崎大輔
日本労働教育総合研究所 所長 グラウンドワーク・パートナーズ株式会社 代表取締役

上場企業の人事部でメンタルヘルス対策、問題社員対応などの労働問題の解決に従事した後に社労士事務所を開業。労働紛争予防解決のスペシャリストとして300件以上の問題社員対応、あっせん、組合対応等の労働問題を解決し、関与した顧問先については労働問題がほぼ発生しなくなる。 労働問題を発生させないための根本的な解決策を模索し、組織風土の醸成と人材育成にいきつき、人が育つ組織風土の醸成を行う組織再生専門家としても活動領域を広げている。 1年以内に社員の定着率が向上し、3年以内に社員数が2倍に増員、業績が3倍になるなど多くの企業を成長させた実績を持つ。 人事専門誌が評価する『人材コンサルティング会社ガイド100選』、各分野の辣腕コンサルタント情報を厳選した、『日本の専門コンサルタント』に選出されている。 著書に「ハラ・ハラ社員」が会社を潰す(講談社+α新書)、黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術(小学館集英社プロダクション)。

日本労働教育総合研究所 所長/グラウンドワーク・パートナーズ 代表野崎大輔氏の経営コラムに関するお問い合わせ