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第5話 現在のUSJが成功し続ける要因

第5話 現在のUSJが成功し続ける要因

1.既存コンテンツをゲスト目線で考える
 USJの施策は既存施設の装置を利用して、その上、持ち込みのコンテンツを被せて運営するという運営方式を徹底しています。持ち込むコンテンツ、持ち込んだコンテンツを如何にしてゲストに見せるか?という点については、非常に吟味されて考えしつくされています。
 かつて、「鋼の錬金術師」という大人気アニメのイベントがありましたが、これは映像や人形を見るだけでUSJに来たからこそできる体験というものではありませんでした。
 一方、V字回復してきてからは「USJでしか見られない」「アニメの世界がリアルに」という切り口になり、USJに行く動機付けに大きく貢献しています。
 私はこの“リアルさ”を真剣に追い続けていることこそが、USJの復活の要因だと考えています。

 コンテンツ自体は他の遊園地でも使われているようなものが多いですが、こうした遊園地で使えるコンテンツというのは商品化されていて、遊園地で展開する場合には決まった方法が確立しています。よって、既存の遊園地は季節をずらしてこれらのコンテンツを順番に利用していきます。コンテンツホルダーが考えた商品展開で実施しますので、そこには新鮮味はあまりありません。アニメなどの世界でもリアルさを感じることは難しいものが多いのが現状です。

 USJの場合、既存のコンテンツを自社の装置に組み込み、いかにしてゲスト(特にコンテンツに熱狂するマニア)を満足させるかを検証しつくしています。だから実際に見ても面白い。少しでもコンテンツのことを知っている層ならば“リアルさ”を感じやすいように作りこまれています。

 冒頭で、装置力とソフト力が同等の力で発揮されるのがテーマパークの重要な点。と、述べましたが、現在のUSJのコンテンツはテーマパークとしての機能を備えているものになっています。
 開業当時はこれが園内全体に散在したため、コンテンツ間をつなぐものが希薄になったことが悪影響したと述べましたが、その点も現在は改善されています。まずは期間限定のコンテンツを置くエリアを入口周辺に集中させていること。テーマも「COOLJAPAN」と設定し、日本が世界に誇るアニメやゲームの文化を軸にした構成なっています。コンテンツ自体は多岐にわたりますが、この“COOLJAPAN”で貫かれたテーマがここのコンテンツをバラバラにしないようにしている。

 遊園地施設の王道ともいえる、人気コンテンツの輸入施策ですが、そのコンテンツをゲストの意向を加味してどれだけ楽しめるものに昇華できるか?ここについては運営者がそのコンテンツをどれだけ理解し、どれだけ愛好しているかによる。単なる運営者ではなく、高いレベルのコンテンツの愛好者だからこそ実現できると言えます。

・現在のUSJの弱点
 

USJの入場者数推移


 2014年には入場者数は初年度を超え、その後、毎年増加していますが今後のUSJは一つの弱点が問題になってくると思われます。それは、“パークの面積がTDRの施設に比べて小さいこと”です。

 敷地面積でTDLの約7割(TDL78ha、UDJ55ha)ほどしかありません。しかも中央部には大きな水面があるため、ゲストが滞留できる場所はさらに限られてきます。
 となると、混雑時にはできるだけ多くのゲストをアトラクションのキューエリアに入れておく必要があります。また、飲食店舗なども従来以上の稼働をしないとゲストを捌ききれなくなります。このような状態では、一つのアトラクションがシステム調整でダウンしてしまったりすると、居場所を失ったゲストを受け入れる場所がなくなり、場内の混雑度合いがさらに高まり、快適さが減少します。快適さにより消費単価を伸ばすことが生命線のテーマパークにとっては大きな問題です。

 この問題を、これからUSJがどう動いてくるのか、今後も注視していきます。
 また、追加の情報が出ましたら、次号でお知らせいたします。

バックナンバー

2017.06.14
第5話 現在のUSJが成功し続ける要因
2017.05.17
第4話 V字回復の始まりにUSJが打った次の一手
2017.04.05
第3話 低迷期のUSJの集客施策
2017.03.15
第2話 USJの不幸と失敗
2017.02.15
第1話 今USJに注目する理由
  1. ≫記事一覧

経営コラムニスト紹介

永野まさる
集客施設コンサルタント

理系大学工学部を卒業後、レジャー施設を専門に扱うコンサルティング会社に入社。バブル経済末期から崩壊後のレジャー施設の成功と失敗をコンサルタントの立場で経験。理系目線独特のデータ分析と論理思考に基づき、勢いや経験に左右されないコンサルティングを実践。感動や喜びが集客や売上につながっていく道筋を研究し続ける。 また、レジャー施設のコンサルタントながらレジャー施設での勤務経験がなかったため自腹で全国のレジャー施設を600カ所以上回り、成功している施設の共通点、失敗した施設の共通点について独自の視点で考察を続ける。自身が見て来た一部の施設(300施設超)での所感はWEBSITE「レジャー見聞録(http://lkb6.com)」にて公開中。 2009年それまで見てきた全国の施設とディズニーランドを対比しその運営の仕組みの完成度について書いた「ディズニーランドのここがすごいよ(こう書房刊)」を執筆。 現在は、テーマパーク需要の多い日本と中国でコンサルティング事業と講演活動を展開している。

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