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戦略・戦術

第三十六話 「人生参加型」という和歌山県田辺市のスゴい工務店!

中小企業の「1位づくり」戦略

こんにちは!

1位づくり戦略コンサルタント 佐藤元相です。

 

「人生参加型の工務店」がスゴい!

 

高垣工務店とは

和歌山県田辺市は、人口7万人・世帯数は2万弱の地域です。

ここに地域密着で活動している高垣工務店があります。

 

高垣工務店 創業1952年。
従業員40名。
地元密着で海が近い。

 

田んぼに囲まれたのどかな町で「人生参加型」工務店をめざし
地域と共に成長する会社を運営、実践しています。

 

2019年の実績は・・・
・「注文住宅の年間着工棟数が40棟」
・「顧客満足度ランク3年連続全国1位」
 (日本最大の工務店ネットワークジャーブネット)
・お客の満足度も高く、紹介率は92%(2019年度)
です。

 

 

人生参加型の工務店を目指す

 

高垣工務店は、お客さまからの要望を受け、より良い地域をつくるため
常に進化しており、現在は、新築事業部、住宅再生事業部、健康事業部、
教育事業部の4つの事業部で構成されています。

 

家づくりを通して、地域の人と共に関わり、
より良い未来をつくることが高垣工務店の願いだといいます

社長が倒れて倒産の危機をバネに

 

石山社長は
「ボクは高卒で、高垣工務店へ入社しました。

分け合って、退社しました。

しかし、あることがきっかけで、もう一度、高垣工務店で働きたいと、
社長に頭を下げて、契約社員として、受け入れてもらいました。」

と当時を振り返り話してくれました。

 

しかし・・・
それから数ヶ月後、社長は病に倒れました。

 

高垣工務店は大丈夫か?

 

お客さまに仕入れ先の方、協力してくれている業者さんまで、
みんな口には出さないが、不安感は地域に広がりました。

 

そんな中、石山さんは、「不安にさせてはダメだ」と
暗い顔するな!
笑顔でいよう!
元気だと伝えよう!
社長が倒れたからって大丈夫。
ボクたちは、協力してやっていける。

 

いっそのこと、お客さんにボクたちが一生懸命、笑顔で頑張っている様子を
観てもらって、同情してもらうこともアリだよ!と開き直り、打って出ました。

 

ある日、石山さんは、会合で高校野球を観ていて、

知り合いの奥さんに「どっちのチームを応援していますか?」と質問したら、
「負けている方に決まっているでしょ」という体験がひらめきだったと言います。

 

家ではない。
モノではなくボクたちは、人が売りだ!

 

それからというもの、チラシやカンバン、Webサイトなど
あらゆる販促ツールにヒトを登場させています。


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これが当たった。
お客さんの同情を買うチラシ(笑)

 

一生懸命に頑張る人を応援してあげたい!
ひたむきな姿を応援してあげたい!
人にはそうした心理があるのです。

 

支えてくれたお客さまのおかげで、高垣工務店の業績は落ち込むどころか、
毎年、受注棟数を伸ばしていきました。

 

 

理念経営に徹する

働く人も増え、本格的に人材に取り組むことになりました。

 

石山さんは、人材育成で何より大事にしていることがあるといいました。

 

それは・・・・なんだと思いますか?

 

理念です。

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石山さんの強い意志が現れている理念だと私は感じました。


あっとうてきにいい人たれ!

 

全人類の「ありがとう」をいただくために。

地域を越えて、国を超えて、全人類を視野に入れた理念です。

大きい。
じつに大きい。

 

自尊心を育みあいます
未来を見せつづけます
自己責任で向かいます
変化する事を楽しみます

 

この理念を探求するため、石山さんは人材育成に力を入れて取り組んでいます。

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人材育成はとてもユニークです。

 

自発的に人が考え行動する高垣式人材育成

人材育成について石山さんは、

ボクを含め、うちの会社は、高卒の人たちが多く、
大学への憧れを持っていると思っています。

 

サークル活動って響きがよくて、私も憧れました。

テニスサークルや登山サークルとか・・。
飲み会や合宿などたくさんのイベントがあり
サークル活動を通していろんな人間関係ができる。

サークルは楽しいもの。
じっさいは、知らんけど(笑)

 

それで会議のネーミングは、サークルをつけるようにしました。

 

クレーム会議に営業推進会議。
ネーミングが重い。
「明日・・会社行きたくない」とボクでも思う。

 

会議は重い。
会議という、音の響きだけでやる気が起きない。

 

脳科学で分かっていることは、言葉が映像となり感情を動かします
だったら楽しい言葉を使うほうがいいですよね。


『人生参加型サークル』
『イベントサークル』
『地域貢献サークル』

 

こうして、サークルというネーミングのイベント企画会議を行い、
新入社員を育成しています。

 

サークルは、新入社員の育成のためにつくられたプログラムの一つです。

新入社員が会社のイベントの企画運営をしきる。
体験からリーダーシップを学んでいます。

 

1年目の新入社員がサークルのキャプテンとなり、
先輩が副キャプテンで新入社員を支える仕組みです。

 

・計画立案
・スケジュール管理
・予算管理
・集客からフォローまで

すべてをチームで考え実行するのです。

 

新入社員は会社のことはよく分からない。
勝手に自分の考えで行動できない。
仕事も指示されたことをやるしかない。

 

しかし、指示されて動くだけの人間になって欲しくはない。
自分で何が良いのかを考え行動する人に成長して欲しい。

 

 

心的安全性の高い職場づくり


そこで、考えたんです。


経営の重要なところに直接関係しないことなら失敗しても大丈夫でしょ。

任された人も心理的に安心です。

そうした心理的安全性のある環境をつくり新入社員に任せる。
場をつくるのが私の役割です。

 

新人(キャプテン)が先輩(副キャプテン)に指示できるなんて、
普通ありえないでしょ。

サークルは社員が協力しあう関係づくりです。

イベントが成功すればヒーローになれる。

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これ・・自尊心の高まる方程式です。

 

 

成功したイベントのひとつが、「大人の本気の運動会」です。

地元の男女が多数、イベントに集りました。


ドッジボールや綱引き、リレー大会。
軽くカラダの触れるフォークダンス。

 

イベント開催後、参加した人たちの中で、数組のカップルができました。
そして結婚して、子どもが生まれました。

地域に貢献している実感をもってくれていると感じています。

 

若いひとたちの感性は豊かです。
おっさんが考えるよりずっといい。
斬新でユニークです。

 

私は今すぐ成果を求めません。
いつか、うちのお客さんになってくれればいい。

そんな気持ちです。

まずは地元での認知度を高めていくことが大事。

 

あっとうてきにいい人たれ!

石山社長は笑顔で話していました。

 

ランチェスター戦略では経営改善に取り組みには、「着眼大局の原則に従って、経営の全体像をはっきりさせる。」と示しています。

つまりどんな会社を作りたいのか社長の意思を明確なことばで示すことです。

 

高垣理念はグループ全体の理念であり、経営の指針となり、行動の全てが理念に基づいているといっても過言ではありません。

 

どんな未来を創りたいのか! 何のために事業をやるのか!社員と対話を深めることで人はやる気をもって働くのだと私は信じています。

 

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