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第8講 震災で失われた顧客データが戻ってくる?!

第8講 震災で失われた顧客データが戻ってくる?!

 

本コラムの第1回目で「顧客データの重要性」示す、次のような大福帳の事例を紹介しました。

 

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時代劇や時代小説などで、大福帳にまつわる話を見たり聞いたりしたことがありませんか?

江戸時代の商家の話で「火事になったら大福帳を持って逃げろ」、「火事になったら大福帳を井戸に投げ込め」等の話です。 

井戸に投げ込むとダメになりそうな気もしますが、実は大福帳自体がコンニャクから作られた特殊な紙を使ってました。水に浸かっても、紙が破けたり、にじんだりしにくい大福帳を使っていたのです。大福帳を井戸の中に落としておくことで火事で燃えることなく、鎮火後に井戸から回収できるようにしていたのです。 

商家の人々は「店頭の商品が燃えたり、煙を被ってダメになったとしても、大福帳だけは守ろう。それを守れば何とかなる」、「極端な話、大福帳さえあれば、なんとか商売を再開できる」との考えを持っていたのです。

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今回の東日本大震災は、あまりにも甚大でした。定期的なバックアップデータの金庫への保管等、ある程度の対策をとっていたにもの関わらず、津波などにより大切な顧客データをすべて失ってしまったという話も見聞きします。残念ながら江戸時代の教訓を持ってしても対応しきれなかったケースです。 

そのような状況から、データを手元のパソコンの中には置かずネットワーク上の安全性が高い場所に置くことで、緊急時にも対応できるようにするクラウドの必要性が叫ばれています。しかし、それはあくまでも今後の話です。今回、被災した会社にとって元気が出るような話ではありません。 

少しでも元気がでるような話がないかと思っていたところ、最近、大いに参考になる話を聞きましたので、同じような状況の方にとって少しでも役立てばと思い紹介させていただきます。

 

地場産品の通販で、日本全国にファンを持っていた会社のことです。

通販で活用する顧客データはパソコンの中に入っていたそうです。データを蓄積するパソコンのHDDの故障に備えるために、外付けのHDDも用意し、毎日、業務終了時にバックアップをとっていたそうです。また、念のためにということで、週に1回は磁気メディアにバックアップを取り、火事等にも耐えられるように耐火金庫の中にしまっていました。 

ところが、今回の震災での大津波により、使用していたパソコンや外付けのHDDは流されてしまいました。また、頼みの綱であった耐火金庫もどこへ流れたのかわからなくなってしまったそうです。 

会社自体が流されてしまっており、紙の記録も残っていません。失意のどん底にいた通販会社の経営陣に対して、最近、以前から取引のあったシステム会社が連絡を取ってきたそうです。 

その通販会社では、使用していた通販システムの見直しを検討しており、その前段階として既存の顧客データベースを見直していました。作業を請け負っていたのが、そのシステム会社です。システムの見直しにあたって顧客データを分析するためにデータベースのコピーをとっていたのですが、それが役に立つかもしれないと、通販会社の経営陣に連絡をとってきたのです。

システム見直しを検討したタイミングでのデータであり、直近のデータが入っていません。完璧ではありませんが、データベース化されたお客様のリストが戻ってきたことで、事業の再開に向けて動きだすことができたそうです。

また、別の会社では、代金の回収には、ゆうちょ銀行の振替サービスを使っていたそうです。震災後に届いた、代金が振り込まれたことを知らせる通知書と、振替払込書の写し(イメージ払込取扱票)をみて、この写しを再発行することで記録をさかのぼれないかと銀行に相談したそうです。それに対して、ゆうちょ銀行は、被災者に対しては、通常1枚500円かかる再発行を無料で応じることを決めたそうです。データが届くまでには数ヶ月かかるそうですが、こちらも再建の可能性が見えてきたとのことでした。

いずれのケースも戻ってくるのは、新規で集めるためには1件あたり数万円のコストがかかるような、とても価値ある自社の顧客の情報です。事業を再建させるための大きな推進力となる情報なのです。井戸から大福帳を回収するのとは違いますが、それらがまとめて手元に戻ってくるのですから、商売を再開しようという気持ちにつながるような話ではないでしょうか。 

お客さまのデータを持っている可能性がある会社はいろいろとあります。金融機関をはじめとする代金の回収や払込を委託していた会社、出荷作業を請け負ってもらっていた会社、商品の配送を請け負ってもらっていた会社、システムの運営を支援していた会社などです。 

ネットワーク経由で顧客データを都度参照するような仕組みでは難しいかもしれませんが、業務の委託にあたってデータを一括で渡したり、都度、複製を作成するケースは多々あります。ゆうちょ銀行のケースのように、通常、業務に使用したお客様の住所データは一定期間蓄積されます。

自社では失ってしまったお客様のリストが、どこかに残っている可能性があり、それを活用できるかもしれないのです。

再発行のように紙ベースで出てくる場合は、データとして入力する作業が発生します。また複数の会社から少しずつ回収できる場合には、データの重複をなくす名寄せの作業が必要になるでしょう。しかし、それらを行うことで、多くのお客様のデータが復活でき、商売が再開しやすくなるのです。

被災地の応援のためには、自粛するのではなく、「東北の酒を飲んで消費をして」という訴えかけがYoutubeで流され、非常に大きな反響を集めています。多くの飲み屋で「東北の酒はありますか?」「被災地の支援につながる料理は?」との会話が聞かれます。「少しでも支援になれば」と被災した地域の商品やサービスを利用したいと考えている人がたくさんいるのです。

また、震災前にそれら地域の通販等を利用しており、その記憶が新しい人々は被災地域のことを心配し、商品やサービスを提供していた会社が復活する日を待っているはずです。震災の被災地の会社や会社の人々から、業務再開のお知らせが届き、お気に入りの商品が注文できるようになる日を待っている人々が全国にたくさんいるのです。

震災で失われたはずの顧客データが戻ってくるということは、商売を再開する大きな助けになります。その可能性は決してゼロではないということをお伝えしたく、今回のコラムを書かせていただきました。

本コラムをお読みになった皆さんのお知り合いの方の中には、記事と同じような境遇になっている方がいるかもしれません。その場合には、本コラムで紹介したような可能性もあるということを伝えていただければ幸いです。

 

 

バックナンバー

2012.01.06
第13講 売れる仕組みの担当者が、売れる組織をつくる
2011.12.09
第12講 顧客データを活用できるようにする第一歩
2011.11.11
第11講 売上を増やす「攻め」の仕組みづくり
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第9講 購買履歴を利用して顧客の法則を仕組みに落とし込む方法
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経営コラムニスト紹介

情報価値総研・マーケティングコンサルタント 重田修修氏

重田修治 サンテ代表取締役 情報価値総研(IVC)・マーケティングコンサルタント

顧客心理をベースにしたクリエイティブ等のアナログと、データ分析やシステム構築等のデジタルの両側面のことがわかる希少なマーケティング・コンサルタント。

大手シンクタンクで意思決定支援システムの開発から、営業企画、流通分野を対象とするリサーチやコンサルティングまで幅広い業務にたずさわる。 その後、外資系の通信販売会社にてマーケティング部マネージャーとして、販売促進のための売り上げデータ分から、顧客定着、販売促進のためのプロモーションプログラムの開発やロイヤリティプログラムまで担当する。企画開発から実施、運用による改善まで担当することで、コスト削減、売上や利益アップに効果があり、その後の会社の長期的な発展に寄与するマーケティングの仕組みを一通り構築する。

現在は、カタログやWeb等の様々な媒体を通じた通信販売から、メーカーや小売等の商品・サービス提供企業の長期的な発展のための仕組みづくりのサポートに力を入れている。

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