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第12号「第5の質問 われわれの計画は何か」(最終回)

第12号「第5の質問 われわれの計画は何か」(最終回)

第五の質問
「われわれの計画は何か」
“計画とは技術ではなく、むしろ責任なのである”
『非営利組織の成果重視マネジメント』 
(P.F.ドラッカー/G.J.スターン編著 田中弥生訳・ダイヤモンド社刊)
http://tinyurl.com/oj9ow
http://drucker.diamond.co.jp/bs/index.html

 春である。新しい年の節目である。新人を迎え、新しい期をスタートされる企業・組織も多いことと思う。
皆さんは、どんな経営環境 に身を置き、どんな将来を思い描き、どんな計画を立てられているだろうか。


「計画」というテーマでは、よくお話させていただくのだが、ありがちな事例をひとつ挙げさせていただく。
いまだに、よくあることなので、講演会や講義 の場で“それは、そっくりそのまま、うちの話です!!”と
叫ばれる方がいて、盛り上がってしまうくらいである。

というのも、相談者の方々は皆一様に、「これが、うちの計画書です。」と立派な装幀の計画書を見せてくださる。


たいがい1ページ目には、「経営理念」が書かれてある。興味がそそられる。
どんな企業なのか知ろうとして、では、その経営理念に基づいて、どのような 「活動計画」を作られているのかを
読み取ろうと、2ページ目を開く。

と、……「経営理念」との繋がりについては全くふれられないままに、「売上数値目標」の数字が並んでいる。

どのページにも、ミッションやビジョンに基づく「行動計画」については語られていない。
残念ながら、これでは社員は今日・ここ・ ただ今から何をすればいいのか、社長の思いはどこにあるのかを
理解することはできないであろう。数字だけが並んでいては、その数字に届いたか届かなかったかだけのことである。


何をどう変えるべきか、何を新たに始めるべきか、失敗しても成功しても不明である。
私達は、こうした計画書を「計画」とは呼んでいない。
私のパートナーは「数字の行列」という蔑称(?)で呼んでいて見向きもしない。

計画には、(1)『使命』、そして、その使命が果たされたあかつきにはどんな風になっているのか、
そこに到るまでにはどんな事がどのように実現される のかという(2)『ビジョン』、
さらには(中長期的な)最終到達点としての(3)『ゴール』、そこに到るまでのマイルストーン的な(4)『目標』、
そうした事を「いつ」「誰が」「何を」「どのように」行うのかという(5)『アクションプラン』、
それらを行うための(6)『予算』予算をはじめとする資源配分などが、
誰にでもわかるように記されていなくはならない。


私達は、こうした一連の経営課題に対する統合的な決定について記されているものを計画と呼んでいるのである。


(ここまで、営利企業を主に想定して書いてきたが、NPOやNGOなどの組織でも、参考にしていただけると思う。
また、こうした非営利組織のリーダーの方々には、巻頭出の『非営利組織の成果重視マネジメント』を
参照していただきたい。 理事会の果たすべき役割なども含め、計画策定の良い参考になると思う。)

計画を策定する際に、やはり特に注意していただきたいのは、廃棄すべき点を明確にし、
集中すべきことを強化できるようにしておくことである。
( 第2回の、概念その1:体系的廃棄の項をご参照ください。)

ゴールをたくさん設けすぎると、皆、何をすべきであったのかを忘れてしまい、
資源が分散して成果があげにくくなる。特に大企業と 比べて資源に限りがある中小の組織は注意が必要である。

他方、数値の目標だけを挙げるなどの偏った計画を立ててはならない。
この点について、P.Fドラッカー教授の『現代の経営』上巻 (上田惇生訳・ダイヤモンド社刊)の第7章などを
熟読していただきたい。


『マネジメント』をはじめとして、様々な箇所にも記述されている、
ドラッカー教授の目標についてのセオリーには、概ね次の8つの基幹的な分野が挙げられている。
このように考えると売上数値だけに偏った計画を立てるというような間違いは回避できると思う。



また、計画を立案するに際して、それを実行する人々全員が、何らの形で関わる事が出来ることが重要である。
自ら考え、意見を述べられる機会を提供するべきなのである。


よく、「計画をつくるだけでなく、わざわざ盛大に発表会を開いて、全社員にとくと説明しているのに、
それを達成しようという気概が感じられなのです が…」とこぼされる経営者がいらっしゃるが、お話を伺うと、
必ずトップダウンの数値目標をどう達成するかのフォーマットを提出させて、それをまとめるというやり方が
為されている。


押しつけられた課題を、自らの目標と感じる人はほとんどいないことを、認識していただきたい。
私自身、計画を策定していくプロセス自体に意味があると思っている。

5つの質問について、様々な階層の人々と様々な話し合いの場を持つこと自体が、多くの気づきを与え、
それぞれの人間を成長させ、 事業についての理解を深めてくれる。
こうした体験をして、感動したとおっしゃってくださる、経営者や幹部の方々が多い。
そう、ほぼ全員と言うべきかもしれない。


組織のトップに立つ人であれば、誰でも、「これからどこへ行くべきか」を考えて、悩まれ、
時に立ち往生するかのごとき時期を経験されることがあるだろう。この悩みについて分析されたことがある方は、
わかっておられるはずである。

経営の悩みは、本当は解けない問題についての悩みではなく、むしろ、自分自身が導き出した答えよりも、
もっと良い答えがありうるのだという事実を前にしたとまどいであるということを。


一つの計画を選び取ることには、大きな可能性の扉を開くとともに、
あるいは選べたかも知れないのに選ばなかったものを生みだす。それらは常に幾ばくかのリスクを伴うのである。

今まで、うまくバランスのとれていたところを、敢えて危険を伴う変化を導入しなくはならないこともある。
しかし、こうしたリスク を負う勇気のないトップには、ミッションを実現することも所詮できないのである。
状況に翻弄され、業績が上がった下がったと一喜一憂するのが関の山であ る。


トップに立つということは、積極的にせよ消極的にせよ一つの選択であり、その選択には重い責任を伴う。
計画を立案し表明するとい うことは、その責任のありかを明確にするという行為そのものであるのだ。
 
 
参考:国永秀男
『ドラッカー流マネジメント 経営革新5つの質問』CD集 (弊会刊)
 

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2010.06.11
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2010.06.11
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経営コラムニスト紹介

国永 秀男氏 Port of Effective Mnagement (株)ポートエム 代表取締役

国永 秀男氏
Port of Effective Mnagement (株)ポートエム 代表取締役

経営指導歴20年。“正しいマネジメントの導入こそが、企業繁栄への近道”と主唱し、
経営者と膝づめで創り上げる「揺るぎぎない経営理念」の確立から、
会社の成長段階や後継体制に合わせた「トップマネジメントチーム」の構築、
経営戦略の革新、具体的戦術の策定に及ぶまで、
幹部社員をも引き込む親身な指導に定評がある。

毎年、定期的に米国・クレアモントの自宅にドラッカー教授を訪ね、
自らが実際の経営コンサルティングの現場で遭遇した経営課題を問答。
教授よりの直接のアドバイスを次の指導にフィードバックする、
ドラッカー公認の “マネジメント理論”伝承の第一人者である。

1962年、大阪工業大学卒業。大手経営会社に10年間在職の後、
情報サービスを手掛けるコンサルティング会社をパートナーとして設立。
1999年11月、マネジメントを高度に学べる場の提供を創業の理念に、
ポートエムを設立。現在、P.F.ドラッカー教授のアドバイスのもと、
全国の大中小企業の経営指導、講演活動等を繰り広げている。

『株式会社 ポートエム』

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