【新春・全国経営者セミナー】事業家・若手起業家…日本最大級、経営者700名が集う3日間 

日本経営合理化協会の関連サイト
社長の命題 ドラッカー流経営の実践 | 社長の経営セミナー・本・ダウンロード・CD&DVD【日本経営合理化協会】

文字の大きさ

日本経営合理化協会 BOOK&CD・DVD
お電話でのご注文も承っております:03-3293-0041

第8号「恩師ドラッカー先生を悼んで -神と共にゆきたまへ-」

第8号「恩師ドラッカー先生を悼んで -神と共にゆきたまへ-」

今回は、5つの質問の2番目、「われわれの顧客は誰か」についてお話する予定でしたが、
去る、11月11日に逝去されたピーター=ドラッカー博士を偲び、私ごとではありますが、
先生への感謝の気持ちを書かせていただきました。

年末でもありますので、読者の皆様の日々や仕事について振り返っていただく機会になればと願って、
ここにこの小文を載せさせていただきます。



ある朝、唐突に私たちはドラッカー博士が逝かれたことを知ることになった。

同じ11月、先生は96才のお誕生日を迎えられるはずだった。
現役で教壇に立たれていたクレアモント大学大学院では、卒業生の方々の 主催されるお誕生日祝の同窓会が、
お別れの会になってしまったとのことである。


先生は、この夏にも新しく編集し直した新刊本(※1)を出され、
先月も日本からの取材のインタビューに答えられたとお聞きしたばかりだった。

こうして、亡くなられたことをテレビや新聞のニュースで見聞きしても、
たくさんの著名な方々が追悼文を書かれているのを拝読して も、まだピンとこない。
どうしても、先生はクレアモントで今日も元気にお仕事をされていると思われてならない。

人間、身近で頻繁に会うことのない人の不在を実感するには時間がかかるものなのだと思う。
私にとって、あまりにも先生は遠い存在 であって、しかしながらその著作には、毎日お世話になるという、
不思議な関係だった。


最後にこの6月、お宅にお邪魔した時のことを思い出す。先生が、語ってくださったことが、今では遺言のようだ。

始めてお会いした時、「国永さん、会社を大きくしようとしなくても、いいのですよ。
小さい会社は、大企業と違って、トップも顧客と直に接する機会が多い、顧客と近いところにいられるからこそ、
顧客のことをよく知ることができるというメリットがあるのです。」とおっしゃった。

今回、お尋ねした時も、
「ただ、手を広げようとしては、いけません。拡大だけを考えてはいけないと、一昨年にもお話ししましたね。」と
おっしゃって、顧客にどのようなサービスをし、顧客にどのように成果をあげてもらうべきかを
アドバイスしてくださった。


どのような組織であっても、そのミッションを果たし、生き残ることが困難となるほどの限界的に
小さい存在に甘んじていてはならない。しかしながら、ただ規模を大きくすればよいのだとばかりに、
拡大のために無策に膨張するのは危険なことだ。

でも、このことを踏まえて日々の経営方針を正しく考え続けることは、実際には非常に難しいことだ。


先生から学んだ経営とは、
私にとっては、よりよき社会をつくることに貢献するための仕事のマネジメントであったのだと思う。

それは、よりたくさんのお金を儲け、自分がいい思いをし、会社をいたずらに拡大して得意になるためのものではなく、
社会の役に立ち、社会に必要とされる仕事を、より効果的に成し遂げるための現実的な思考と営みの積み重ねである。


ドラッカー博士が常に重きを置いてこられたのは、「人」である。
顧客に関心をはらい、顧客にとっての価値を考え、
組織の構造そのものだけではなく、そこに働く人々に焦点を当ててこられた。
それまで、経済学に端を発した経営学が、数字と構造にのみ囚われていたのを、そこに人間という概念を加え、
人間存在に開放するために働かれたのだという気がしてならない。


著作(※2)の中にも書かれているが、「何をもって憶えられたいか」を考えなさい、ということが
今さらながら、心に染みるようだ。


ひとりの人間として、自分が死んだ時に、周囲の人々にどんな人だったと思われたいか、
そしてこの世界に残された人たちにとって、自分はどんな存在で、何を成し遂げ、何を遺した人でありたいか、
私も自らに問いかけながら、私自身の仕事をしたいと思う。


(※1)
ハーパーコリンズ社のドラッカー先生の著作が載っているウェブページの URLなどです。
http://www.harpercollins.com/global_scripts/search/search.asp?sortby=date&b=drucker&pulldown

(※2)
P.F. ドラッカー著『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳 ダイヤモンド社刊
http://tinyurl.com/d5zgy
http://drucker.diamond.co.jp/bs/index.html

 

バックナンバー

2010.06.11
第12号「第5の質問 われわれの計画は何か」(最終回)
2010.06.11
第11号「第4の質問 われわれの成果は何か」
2010.06.11
第10号「第3の質問 われわれの顧客は何を価値と考えるか」
2010.06.11
第9号「第2の質問 われわれの顧客は誰か」
2010.06.11
第8号「恩師ドラッカー先生を悼んで -神と共にゆきたまへ-」
  1. ≫記事一覧

経営コラムニスト紹介

国永 秀男氏 Port of Effective Mnagement (株)ポートエム 代表取締役

国永 秀男氏
Port of Effective Mnagement (株)ポートエム 代表取締役

経営指導歴20年。“正しいマネジメントの導入こそが、企業繁栄への近道”と主唱し、
経営者と膝づめで創り上げる「揺るぎぎない経営理念」の確立から、
会社の成長段階や後継体制に合わせた「トップマネジメントチーム」の構築、
経営戦略の革新、具体的戦術の策定に及ぶまで、
幹部社員をも引き込む親身な指導に定評がある。

毎年、定期的に米国・クレアモントの自宅にドラッカー教授を訪ね、
自らが実際の経営コンサルティングの現場で遭遇した経営課題を問答。
教授よりの直接のアドバイスを次の指導にフィードバックする、
ドラッカー公認の “マネジメント理論”伝承の第一人者である。

1962年、大阪工業大学卒業。大手経営会社に10年間在職の後、
情報サービスを手掛けるコンサルティング会社をパートナーとして設立。
1999年11月、マネジメントを高度に学べる場の提供を創業の理念に、
ポートエムを設立。現在、P.F.ドラッカー教授のアドバイスのもと、
全国の大中小企業の経営指導、講演活動等を繰り広げている。

『株式会社 ポートエム』

国永秀男氏の経営コラムに関するお問い合わせ