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戦略・戦術

第1回 M&Aの成功は、案件の交渉前に決まる

武器としてのM&A入門

 事業承継問題が社会課題として認識されたことも1つのきっかけとなり、M&Aに興味をお持ちの企業経営者の方が増えています。日本では、経済規模を考慮した比較で、米国の数分の1程度しかM&Aが行われておらず、ここ数年で中小企業のM&A市場が大きく盛りあがってきたことは、歓迎すべき事象と言えるでしょう。

 一方で、M&Aが一種のブーム・バブルの様相も呈しており、深く考えないままにM&Aを行ってしまい、何のために買ったのか分からなくなり放置している、買ったは良いものの業績が下がってしまい買った値段以下で売ってしまったなど残念な声も聞こえてきています。

 本コラムでは、そういった残念なM&Aをしないためのポイントをご紹介していきたいと思います。

 

何を達成すれば、そのM&Aは成功ですか?

 

 そもそもM&Aを何のためにするのでしょうか?

 小見出しに「何を達成すれば、そのM&Aは成功ですか?」と付けさせていただきましたが、M&Aを検討中、もしくは、まさに交渉中という経営者の方は、この問いにご自身が具体的に答えられるか自問自答してみてください。 
 この問いに具体的に答えられたでしょうか?

 もしも、「事業規模を拡大するため」・「販路を拡大するため」・「新規事業に乗り出すため」といった答えであれば、残念ながらM&Aに対する考えがまだ不十分である可能性が高いと思われます。一方、「当社が、厳しい競争に勝ち残るためには価格競争力を付けることが重要であり、そのためにはコスト改善を行う必要があり、事業規模の拡大による調達力の改善と生産効率の改善によって実現するため」といったレベルで具体的に答えられれば、M&Aに成功する可能性が高いと思われます。

 本コラムをお読みの経営者の方々であればお気づきだと思いますが、M&Aに失敗する経営者と成功する経営者の違いは、M&Aをすることで何を達成したいのかを具体的に答えられるかどうかの違いです。

 具体的に答えられるということは、M&Aによって何が実現されれば良いかの目的がはっきりしているということであり、M&Aの成功の定義が明確であることを意味します。

 

成功の定義が具体的であることのメリット

 

 M&Aの成功の定義が明確であることは、多くのメリットをもたらします。

 

 1.売り手から買い手として選んでもらえる確率が上がる

 意外と知られていない事実ですが、日本のM&A市場は圧倒的に売り手市場です。買い手は、売り手に買い手として選んでもらう立場にあります。売り手は複数社からアプローチを受ける中で買い手を選んでいきます。その際に、目的がはっきりしている買い手と目的が曖昧な買い手、売り手として安心して事業を引き継げる相手はどちらでしょうか?

 

 2.買収交渉に入る判断が圧倒的に早くなる

 何を実現するためのM&Aか目的が明確になっていれば、M&Aの提案を受けた際に、交渉に入るべきか否かの判断は、一瞬でできるようになります。M&Aにおいては、売り手が何かしらの事情で売却を急いでいることも少なくありません。そのようなときに、ちょっとした判断の遅れが案件をブレイクさせてしまう可能性もあります。また、すぐに判断をしてくれる経営者は、案件を持ってくる仲介会社にとってもすぐに白黒を付けてくれるので提案がし易い相手です。そのため、結果的に、自社にとって意味のある良い案件を紹介してもらい易くなるというメリットがあります。

 

 3.交渉プロセスが圧倒的に早くなる

 目的が明確であれば、交渉において実施することは、目的を実現する手段として適切かどうかを確認する作業です。交渉しながら考えるよりも圧倒的に早くなるのは自明の理であり、スピード感を持って話ができる買い手は売り手からも魅力的に映ります。加えて、ビジネスとしての判断をすぐに行えば、結果として簿外債務などのリスクチェックに多くの時間を割くことができ、想定外のリスクを低減させることができます。

 

第2回は、目的を明確にするための方法について、具体的に解説していきたいと思います。

 

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  1. 第2回 M&Aが効果的な目的とは?

  2. 第3回 M&Aにおけるシナジーとは?

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