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第174号 キャップドゥサイクルで変化に対応する

柿内幸夫─社長のための現場改善

 去年は数回にわたり「高等技術・技能をどう伝えるか」を本コラムで続けてお伝えしましたが、今回からは基本的なところに焦点を当てて、各社で実行している「良い改善」をお伝えしようと思います。

●新幹線からの富士山。私は富士山を見るのが大好きなので、静岡や山梨を移動するときは必ず山側の席を取って、ずーっと富士山を眺めてしまいます。

kaki174-1.jpg

 


 今回のテーマはP-D-C-A サイクル(Plan-Do-Check-Action)を180度ずらした、C-A-P-D(キャップドゥ)サイクルです。

 先日、S社のA課長と現場で立ち話をしていた時のことです。

 私:「A課長、このごろ改善のレベルが高くなってきましたね。大変にいいことです、嬉しいなあ。」
 A課長:「ありがとうございます。でも喜んでばかりはいられないんですよ。実はかなりの改善が、いつの間にか昔の状態に戻ってしまっているんです。」
 私:(ドキッ)「そりゃあ正月早々嬉しくない話です。放っておけないですね、今から現場で確認しましょう。」

 ということで、早速、A課長が担当しているプレスの職場に駆けつけました。A課長が問題にしているのは、段取り替えについての改善でした。

 以前本コラムで申し上げた、段取り替えの3原則の第2番目の「ボルトを見たら親の仇(かたき)と思え」を覚えていますか?(ちなみに、

 S社が行った改善の実践策は、ボルトをサイズ別に着色して、設備の上でそれぞれのボルトが使われる位置にも同じ色の印を付けて、同じ色同士を合わせればいいのだから、決して迷わないで正しいボルトが取り付けられるというものでした。

 ところが現場でボルト入れの容器をのぞいてみると、あー残念!みごとに色が剥げ落ちて、すべて同じに見えてしまうボルトが無造作にガサガサと入っていました。

 どうしてこうなってしまったのでしょうか?私には何となくその様子が想像できました。作業の途中でぶつけたりこすれたりするボルトに色をつけたのですから、それは時間が経てば色は剥げます。

 そして、ちょっと色が取れ始めたときにメンテしてしまえば何でもないのですが、この改善を実行したときにメンテナンスのことまで考えていなかったのかもしれません、近くにペンキを置いてなかったのでしょう。

 だから次々と剥げ始めて、でも忙しい最中にわざわざペンキのある所までとりにいくのも面倒で…、といった結果だと思います。

 『そうか、やはり最初の時点でメンテナンスのことまで考えなければいけないのか…』が、今回の私の答ではありません。もちろんそうも言えますが、私の判断は、パトロールをしなかったからいけないということなのです。

 リーダーは常に現場をパトロールでチェックして回り、変化点をしっかり見極めることが大切です。

 現場のルールとして、安全パトロールというのは必ずあると思いますが、やはり5Sパトロールも必要です。そして、現場の良い点が維持できているかを常にチェックしましょう。

 そしてチェックの次はアクションですが、もし今回のようにペンキが剥げていたらその場で塗りなおします。そしてプランは便利なペンキの置き場所考えたり、剥げにくい塗り方を考えたりして、最後のドゥで実行します。

 もしチェックでペンキが剥げておらず、改善の状態がしっかりキープできていたらどうするか?

 もちろん、この場合の次のアクションは、現場の担当者に対して「よく維持できているな、ありがとう」といったフィードバックです。良いことを見つけたら「しめた、これでまた彼をほめてあげられる」といった、ほめるパトロールが出来たらいいですね。

 さーて宿題です、暗記してください。【段取り替えの3原則】

・手は使っても足は動かすな。
・ボルトを見たら親の仇と思え。
・合わせるな、当てろ。

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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