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人間学・古典

第三十三話「一利を興すは一言を除くに如かず」

中国哲学に学ぶ 不況は会社守成の好機

※本コラムは2000年代に井原隆一氏が書き下ろした「不況は会社守成の好機」コラムを再連載するものです。


“一利を興すは一言を除くに如かず。一事を生ずるは一事を減ずるに若かず”
即ち、一つの利益のあることを始めるよりも一つの害を取り除く方がよく、一つの事を新しく始めるよりも無駄な一つの事を減らすほうがよい。

この言葉は、中国、元の耶律楚材が常に口にしたものとされている。
即ちひとつの利益のある事を始めるよりも一つの害あることを取り除くがよい。また一つの事を新しく始めるよりも無駄な一つの事を減らす方がよい。の意味を私も体験している。

だいたい現代の会社経営にしても、過去の損害、過失を改めることなく新たな事業を始め、過去の損失をそのままにして利益のある事を始めて再び杭を残している。

幾つかの会社を危機を救った私は、売上を増やせ、利益を生み出せ、などと号令をかけたことはない。会社の基礎を危うくしているもの、事を探しだしてそれを除き、無駄になる便箋一枚にも苦言を呈した。

そのため批判、抵抗、悪口、雑言など散々受けたが耳を傾けることなく過去の過ちを再び起こさないことに努めた。

たとえば不良品在庫を探し出し廃品回収屋さんに売り、その僅かなカネを莫大な借金返済にあててよからぬ陰口をいわれたりなども忍んだことなどが思い出される。

巨額な借金もチリが積もって山となったもの、その山を崩すだけでも、会社は生き返ると思えば僅かな節約にも張り合いがでてくる。小を侮るから大となる。一億日の始まりも一日と考えることが大を成す。道を考えるべきではなかろうか。

 ※栗山英樹氏から、本コラム井原隆一氏の「人の用い方」書籍と、井原隆一「人の用い方セミナー」収録講演CD版・デジタル版を推薦いただきました!

 監督の仕事は、選手の心を動かし、勝利の高みに導くことです。人をいかに用いて、信頼感を高めるか―――
その答えを求めて、私は井原さんの「人の用い方」のCDを5年間、毎日球場までの往復2時間、車の中で聴き、本をカバンに忍ばせていました。選手は勝利のために厳しい練習をしているわけですから、私は素振りの代わりが勉強だと思っています。

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