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不動産

第95回 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。

売れる住宅を創る 100の視点

今回も前回と同じフェーズ8「 モノづくり 」の「 こだわり 」です。その第5項目の『 内覧会で売主側の要注意事項 』4項目中の最後の第4項目である『 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。 』に関してのお話を致します。
 
前回はフェーズ8の「 モノづくり 」に於いて、その第5項目の『 内覧会で売主側の要注意事項  』の大切さを認識して戴く目的でこのコラムに於いて4項目用意致しました中の第3項目『 内覧会で多い「 是正指摘事項 」 』の御説明を致しました。
 
今回は「 分譲マンション 」に於いて工事監理や建築工事内容等の良し悪しに依って、既に購入された方より売主及び事業主の「 モノづくり 」に関して内覧会への配慮や姿勢が問われていますので、『 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。 』の内容を皆様に詳しく御説明致します。
 
さて、今回も建築家として、私が最も得意とする「 モノづくり 」における商品企画や基本計画等と共に設計者としましての工事監理に於いて、工事竣工時点での大切な細かい「 こだわり 」の御説明であります。
 
「 分譲マンション 」や「 分譲戸建 」の住戸の商品計画への「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて事業主( 売主 )が購入者( 入居者 )へ配慮された商品が製造されているか否かが、既に購入された方々にとって事業主( 売主 )への大変大きな判断基準になりますので、今回もよく御覧下さい。
 
さて、このコラムで毎回申し上げていますが、この処大手ディベロッパー、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの顕著な傾向は、購入者( 入居者 )へ配慮有る良い商品を作って分譲している良心的なディベロッパーと、販売力の強さや数字のみに頼って「 新規分譲マンション 」や「 新規分譲戸建 」等を企画・販売しておりますディベロッパーとの「 2極分化 」がかなり進みまして、それが顕著になってきております。
 
現在、販売力の強さと数字のみに頼って分譲している事業主( 売主 )に於いては、かなり多くの完成在庫住戸を抱えられ、苦戦を強いられています。
その結果売れずに超大手ディベロッパーでさえも、竣工後1~3年以上の「 完成在庫住戸 」がかなり多いのが現状です。
 
ですので、完売させる為にも、今回の『 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。 』は参考になりますので熟読して欲しいと思います。
 
更に、現在の不動産業界は益々、資本主義の原点である「 弱肉強食 」の傾向が強くなり「 超大手、大手ディベロッパーの寡占化 」がどんどん進み、その結果、新規に販売する物件が購入者( 入居者 )への配慮が乏しい準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパー等は超大手ディベロッパーに吸収合併させられております。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーが、これら将来にわたり、それらの超大手や大手ディベロッパーに対し、独立独歩で対峙し勝負するには、分譲予定物件の商品企画等の「 質 」と「 モノづくり 」に関してはトコトン細かい所まで購入者への配慮をし、「 こだわり 」や「 誠意 」を持って魅力有る商品を作り、完成させなければ価格競争の渦に巻き込まれてしまいます。
 
そして、損益を計上し「 倒産 」( 破産では無い )や悪くすると「 破産 」の危機をむかえるのでは…と危惧致しております。
 
その様に、ならない為には、購入者への細かい配慮( 誠意・こだわり )が感じられる「 新規分譲マンション 」や「 新規分譲戸建 」を供給していかなければ生き残れないでしょう。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは「 新規分譲マンション 」の「 設計基準書 」や「 マンション工事基準書 」を独自に製作し、毎年見直をし、良い方向へ変えなければなりません。
 
具体的に申し上げれば、購入予定者が事業主( 売主 )の「 こだわり 」や「 誠意 」等の配慮を敏感に感じとり、購入意欲が湧いてくる物件を分譲する様な会社にしなければなりません。
 
そして入居後も購入者( 入居者 )が満足し、クレームの起きない良い商品を作り続ける事で知名度を上げなければならないでしょう。
 
私の経験では、例え万が一、クレームが生じましても、購入者への対応を迅速に誠実に行えば「 雨降って地固まる 」で誠意や信頼度の回復が可能なのです。
 
事業主( 売主 )の誠意と信頼が感じられ入居後もクレームの起きない良い商品を作り続ける事に依り、潜在顧客の信頼度も高まりますので「 価格 」や「 ブランド 」での販売競争にならずに済むのです。
 
その結果、不動産業界や一般社会に於いても良い評判や良い評価や評判を得る事ができ、生き残れる道だと実感しております。
 
これらの事を継続されていれば、自ずと会社の信用度が高まり「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )に結びつき「  超大手、大手ディベの寡占化  」に対抗できます。
 
その様に事業を続けていけば、準大手ディベや中堅ディベが、超大手、大手ディベロッパーに対峙し対等に勝負できる個性の有る会社になると私は確信しております。
 
そして、今回御説明致します顧客への細かい配慮である竣工・引き渡し時点に対応致します内覧会に於いて『 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。 』の項目を良く御覧戴いて「 新規分譲マンション 」建物の設計内容、工事監理や工事内容等に反映されれば、魅力的で同業他社物件と差別化された良い商品になるのでは…と思い御説明致します。
 
この様な細かい配慮の有る商品を長期間供給し続けていけば、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーも不動産業界だけでなく、一般の社会に於いても会社名や「 ブランド 」名の知名度も上がり販売におおいに寄与すると確信致しております。
 
ですので、今回の私のコラム95号『 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。 』を参考にされて細かい配慮の有る「 モノづくり 」を継続する事は、不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様、又はそれ以上に世間は評価すると思います。
 
それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる唯一の道だと私は確信しております。
 
「 継続は力なり 」です。そして特に準大手や中堅の売主及び事業主には、このコラムでは毎回申し上げていますが「 誠実に勝る近道無し 」を心がけて戴きたいものです。
 
もはや現在、日本全国で約1000万戸以上、首都圏( 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 )だけでも約500万戸弱以上もの空き家が有る不動産業界で、準大手や中堅ディベロッパーが超大手や大手ディベロッパーに勝てるのは供給戸数の数よりも商品企画や工事内容等で顧客への配慮が有る「 質 」や「 こだわり 」だけだと確信しております。
 
その様な「 良質 」の商品を世に出す為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第5項目の『 内覧会で売主側の要注意事項 』4項目中の最後の第4項目であります今回のコラム『 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。 』の内容を事業主( 売主 )や設計者が取り入れて戴ければ、購入者( 入居者 )への細かい配慮の判断基準となると信じております。
 
今回の内容は、特に潜在顧客の売主評価への判断に多いにつながる大切な事です。
 
手前味噌になりますが、今回も私が今迄約30年以上手がけました「 新規分譲マンション 」や「 新規分譲戸建 」等の設計業務、工事監理業務や設計監修業務の経験に基づいた「 経験工学 」で大変貴重なお話なのです。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々は、特に今回のコラム95号『 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。 』の内容を良く理解し「 新規分譲マンション 」等の建築工事内容や販売パンフレット作製時点に十分取り入れて下さい。
 
そして更に、これも毎回何度も申し上げていますが、「 新規分譲マンション 」や「 新規分譲戸建 」の計画時点で実行して戴きたい事が有ります。
 
それは、私が今までの設計業務、工事監理業務や設計監修業務の経験を踏まえて申し上げたい事で、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは、絶対に『 製造・販売・管理一体 』の体制で商品企画を行う事です。
 
「 新規分譲マンション 」や「 新規分譲戸建 」等の商品企画会議では製造部門、販売部門と管理部門が一体になって戴きたい事です。
 
その理由は販売部門や管理部門が顧客の生の声を商品企画会議で発言し製造部門に伝え、その内容が良ければ商品説明の内容等に反映できるからなのです。
 
更に、「 分譲マンション 」に於ける内覧会への対応である『 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。 』の内容も具体的に販売部隊の方々も良く理解できて、顧客に対して自信を持って同業他社の物件との差別化を「 セールストーク 」できるからなのです。
 
前置きがいつも長くて申し訳ございません。
 
今回は分譲物件の内覧会に於いて、重要な配慮であります『 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。 』をこれから具体的に御説明致します。
 
今回は特に購入者( 入居者 )が既に購入された「 新規分譲マンション 」の内覧会を行う際の事業主( 売主 )サイドにとって重要な配慮の事です。
 
最近は「 内覧会同行 」チェックを業務とする設計事務所や専門業者がかなり増えてきました。
 
私も3~4年前までは「 新規分譲マンション 」を購入された方々より「 内覧会同行 」チェックの依頼を全て受け、行なってきましたが、最近は依頼を受ける物件が少なくなりました。
 
その理由はファミリータイプ「 新規分譲マンション 」の場合は仕様や仕上げがほとんど同じで、
見るべき進歩された箇所がほとんど無い事です。
 
また、建築関係の同業者( 設計事務所、ゼネコンや設備業者 )の粗探し( あらさがし )をしている様で申し訳ない気持ちになるからです。
 
私の「 内覧会同行 」チェックは私自身が1人で行いますので「 傷 」や「 汚れ 」は依頼者にも一緒にチェックして戴きます。
 
私が主に見る所は入居後に入居者が自分自身でメンテナンスを行わなければならない所を重点的に見る様にしております。
 
さて、過日に私が久々超大手不動産会社の「 新規分譲マンション 」の「 内覧会同行 」チェックをした時の内容です。
 
私の「 内覧会同行 」チェックは現地内覧会開始1時間前に御会いして物件の全ての資料に目を通して事前にチェック致します。
 
具体的には総合パンフレット、図面集一式、価格表や重要事項説明書等をチェック致します。
 
過日の「 内覧会同行 」チェックの時に、それらをチェックした後、依頼者から2枚の書類を見せられました。
 
なんと購入契約時の住戸販売図面との相違点を簡単に図と箇条書きにした書類です。
 
その書類の下方に「 同意の署名捺印して下さい。 」とさりげなく書いてありました。
 
私の依頼者は既に署名捺印していましたが、私はこの書類は簡単に同意できる内容では有りませんので本日要求されたら渡さずに、まず理由を聞きましょうと「 内覧会同行 」チェックの依頼者に申し上げました。
 
その書類の内容は浴室内に梁型が出ましたという重大な事です。
 
購入時の住戸販売図面の中には梁型が点線で表示されていなかったのです。
 
図面集のチェックミスであれば着工後3~4ヶ月に浴室(ユニットバス)を発注する時に気が付き、直ぐ契約者に連絡していたはずです。
 
それが内覧会直前に書面で購入者に郵送するのは明らかに確信犯だと思います。
 
素人のみでありましたらば簡単に同意してもらえると思ったのでしょう。
 
浴室(ユニットバス)の浴槽の上に梁型が出っ張ればその住戸の資産価値は落ちます。
 
当然ペナルティーです。
 
ペナルティーを払わずに購入者( 入居者 )に安易に了解(同意)を得ようと致しますのは購客を軽くみています。
 
軽微な変更やミスはたまには有りますが、平らな天井に梁型や下がり天井が急に出現するはずは無く軽微な変更の範疇で無いと確信致しました。
 
この件は、完全に住戸の資産価値を落としますし、居住性をも悪く致します。
 
これから内覧会に臨む購入者( 入居者 )の方々、この様な「 変更事項書類 」には安易に署名捺印せずになさって下さい。
 
そして、事業主サイドより経緯と原因の説明を明確に聞き取り、契約時に添付した住戸販売図面と同じ住戸の引き渡しを行えないと疑い納得した方が良いのです。
 
この様な場合は事業主サイド等が契約を行った住戸の販売価格大幅に値下げするか、又は事業主サイドより契約を解除して、当初購入者( 入居者 )が支払った手付金金額の2倍の金額を購入者( 入居者 )に支払う義務が生じると思われます。
 
この件は事業主( 売主 )及び販売会社の完全なミスなのです。
 
ですので、この様な内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」が発生致しません様に事業主( 売主 )、販売会社、設計事務所、ゼネコンの方々は充分に注意をして戴きたいと思います。
 
今回、コラム第95号では『 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。 』の御説明を御紹介致しました。
 
この上記の内容は「 新規分譲マンション 」の企画・基本計画等や工事チェックを行う上では、とても重要で大切な事柄ですので、是非参考にして戴きたいと存じます。
 
私は、常に超大手や大手ディベロッパーは一流とは限らないと私は言っております。
 
私の建築的価値観での独断で申し上げれば、一流と評価できますディベロッパーはほんの数社しか有りません。ほとんどが三流ディベロッパーなのです。
 
一流のディベロッパーは常に購入者( 入居者 )への細かい配慮が行き届いた質の良い「 分譲マンション 」や「 分譲戸建 」等を供給しています。
 
何度も申し上げています様に、不動産の分譲事業で一番大切なのは事業主( 売主 )の信用と顧客に対する細かい配慮や物件の質の良さです。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベロッパーの寡占化 」に対抗し勝つ為には分譲物件の質の良さ、顧客への気遣いや細かい配慮及び将来クレームが生じない「 分譲マンション 」や「 分譲戸建 」を作り続ける事なのです。
 
ですので、毎回何度も注意を促しておりますが、商品内容の質やクレーム等で信用を落とすのは一瞬ですが、再度信用を築くには最低10年以上はかかります。
 
この事もよく肝に銘じて下さい。
 
次回、第96回はフェーズ8の「 モノづくり 」第6項目の『 購入者へのメンテナンスへの配慮 』5項目中の第1項目である『 1階住戸スラブ下は高さ1メートル以上の空間を確保する。 』に関してのお話を致します。
 
 
 
次回の内容も期待して戴ければ幸いと存じます。
 
以上。
 
 
 
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