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第24回 全員参加の経営

第24回 全員参加の経営

ある工業製品を製造する会社は、部門別採算制度をスタートさせて早1年が経ち、
現在大きな山場にさしかかっていました。月次のリーダー会議では、活発な意見が出るようになってきましたが、
その成果が部門の採算数字には、なかなか表れてこないのです。

10回目のリーダー会議の席でのことです。1つの採算部門であるBチームのリーダーから、
「僕らのチームの採算が伸びないのは、営業部門に払っている口銭が高いからだ。
僕らのチームの売上に対しては、営業部門の貢献度はそんなに大きくないはずだ」という意見が出ました。

それに対して営業チームも黙ってはいません。「なにを言っているんだ!我々がお客様へのフォローや、
いろんな提案をしているから、君たちの部門は潤っているんじゃないか?!」2人のチームリーダーは
つかみかからんばかりに口論を始めてしまいました。

2つのチームの様子を眺めていた採算チームCチームは、
「私たちは、いくら頑張っても売上単価も仕入単価が決まっているし、努力のしようがないよなあ」と冷ややかです。

これは、部門別採算制度を行っている会社によく見られがちな傾向なのですが、
セクショナリズムが良くない方向で現れてしまうのです。

この会社の社長は、数ヶ月前から、この傾向が出ていることに気付いていました。
「自分の部門は他の部門に足を引っ張られている」「他の部門は楽をしているが、
自分の部門はいくら頑張っても良くならない。もともと不利な立場にある」などの発言が目立つようになってきたのです。

では、この状況をどのように打破すればいいのでしょうか?
それは、部門別採算制度の成功の鍵とも言えますが、社員全員が同じベクトルを持っているか否かにかかっています。

前回までは、部門別採算制度の仕組みについて説明してきましたが、いくら仕組みがきちんと整備されていても、
運用ができていなければうまくいきません。社員全員が同じベクトルを持って努力しなければ、失敗することも
多々あるのです。

では、社員全員が同じベクトルを持つためには、どうすればいいのでしょうか?やはりフィロソフィを共有していることが
大切です。やはり「左手にそろばん、右手にフィロソフィ」、その両輪がかみ合うことが必要なのです。

そのためには、以下のような地道な努力をしなければならないのです。
 

1、社長は、常に社員に熱い思いを語る

部門別採算制度を成功させている会社は、必ずと言っていいほど、社長が熱心に社員に語りかけておられます。
「何としてでも強い会社にするんだ!会社が良くなれば、みんなも幸せになれるんだ。全員でがんばろう!」と
社員全員にメッセージを伝えていかなければならないのです。その伝えるタイミングは、全体会議であっても、
また、エレベーターで、ばったり出会ったときでも、構いません。経営トップは常にぶれない意志を持って、
社員にベクトルを示す必要があるのです。

2、キーマンを置く

リーダー会議では、会議の内容が枝葉末節のみになり、全体の趣旨から外れていく場合があります。
そうした場合には、会議を軌道修正する人が必要になります。社長もその役割を担う一人ですが、より社員の立場に
近い人で、苦言を発したり、励ましたりする人が必要です。その人が、リーダー一人ひとりの言動や動向に気を配り、
問題点を見出し、社長と連携をとりながら、解決していかなければなりません。
 

 

3、部門の採算を評価するにあたって、横並びで比べるのではなく、部門の採算の伸び率で評価する

経費の配賦基準や、部門間売買価額をいくら慎重に行っても、部門間の格差は生じてしまいます。
そのため、横並びで採算を評価すると、どうしても不公平感が出て、成績の低い部門のモチベーションが下がりがちです。
そこで、部門間で比較するだけではなく、部門ごとに前月よりどれだけ伸びたかという基準で評価することが
必要になります。

4、部門のリーダーが、リーダー会議の内容をメンバーに報告すると同時に、
根気よくメンバーの意見を吸い上げる

 

採算が伸びていく部門は、リーダーがこまめに会議内容をメンバーに報告し、それに対するメンバーの意見を
よく聞いています。また、メンバーから吸い上げた意見を会議できちんと発表します。そうすることによって、メンバーは
自分の意見が会社の重要な会議に反映されている、会社経営に関わっているという実感を持つことができるのです。

そう感じることによって、また素晴らしいアイデアを出そうという意欲が湧きます。
このようにフィードバックがうまくいくと、メンバーのやる気を引き出すことができるのです。
部門内ミーティングが、成功するか否かの鍵であると言っても言いすぎではないのです。

部門別の採算制度は、皆様の会社で独自のスタイルがあると思います。
以上の4つのチェックポイントを挙げさせていただきましたが、ひとつでも採算制度のヒントにしていただければ幸いです。
 

小長谷 敦子

バックナンバー

2010.06.08
第24回 全員参加の経営
2010.06.08
第23回 日次決算のすすめ
2010.06.08
第22回 時間当たりの採算を上げる
2010.06.08
第21回 早期決算を実現するには
2010.06.08
第20回 数字に執着する
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経営コラムニスト紹介

株式会社経営ステーション京都代表取締役。京セラ株式会社監査役。公認会計士・税理士。 田村 繁和氏

田村 繁和氏 株式会社経営ステーション京都代表取締役。京セラ株式会社(元)監査役。公認会計士・税理士。

早稲田大学卒業後、大阪国税局国税調査官を経て、経営ステーション京都を創業。2005年6月、京セラの監査役に就任(~2009年)
京セラ実学をベースとした中小企業のためのわかりやすい経営と会計を提案。
実学にもとづく、キャッシュフロー経営と部門採算制での経営会議で、会社が
生まれ変わっていただくことを使命としている。


「京セラに学ぶ新・会計経営のすべて」(共著、実業之日本社)
「社長の疑問に答える会計の本」(共著、中経出版)
「お金を残す強い会社の101の教え」(共著、清文社)
「小さな会社の必ずお金が残る経営の本」(共著、実業之日本社)他多数。
株式会社経営ステーション京都。 公認会計士・税理士。 小長谷 敦子氏

小長谷 敦子氏 株式会社経営ステーション京都。公認会計士・税理士。

早稲田大学卒業後、西武百貨店を経て、結婚・出産後、公認会計士・税理士となる。
京セラ実学をベースとした独自のコンサルティングで、中小企業のためのキャッシュフロー
制度の構築と経営会議の指導に定評がある。


「子育て主婦の公認会計士合格記」(中経出版)
「実学に学ぶ お金を残す3つの秘訣」DVD(清文社)

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