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第20回 数字に執着する

第20回 数字に執着する

電気工事業を営む会社では、工事を行う地域ごとにグループを分け、グループ別に損益計算を始めました。
その結果をもとに、毎月経営会議が開かれて、グループのリーダーが、自部門の成績を発表します。

この経営会議を始めてから半年が経ち、社長が、営業グループのメンバーに
「君のグループの外注費は、どこに払っているんだ?どうしてこんなに高いんだ?」と聞きました。

ところが、首を傾げるばかりで、明確な答えが返ってきません。
工事を請け負うグループからも「売上を上げる方法って言われても、ピンと来ないよなあ」という声が
聞こえてきました。この様子に、会社の将来を憂う社長は、「売上が下がる一方の大変な時期に、君たちには、
危機感というものがないのか!」と苛立ちを隠せません。

なぜ、グループ別に損益計算を出しているのに、経営会議で活発な議論が出ないのでしょうか?
その理由は、2つありました。ひとつは、グループ別損益表の作成を経理部門が一手に担っていることでした。
グループ個別の経費の集計や、全グループに共通する経費の配分方法、また社内取引の値段の設定など、
すべて経理部門に委ねられていたのです。その経理部門から与えられた数字をもとに、グループのリーダーが
発表するのですから、前月より利益が減っても、赤字になっても、淡々と数字を発表するだけで、危機感がないのは、
無理もないのです。

もうひとつの理由は、グループの損益をきちんと評価する基準ができていないことでした。
毎月の目標数字を立てていたのですが、実績が目標を下回っても、赤字になっても、結果に対して
神経を尖らせているのは、社長だけで、評価するシステムが整っていなかったのです。
中には、赤字の目標を堂々と発表しているリーダーや、実績数字を一桁間違えるリーダーもいる始末で、
「君たちは、なぜもっと数字に執着しないんだ!」社長の声だけがむなしく響きました。
これでは、グループ別に損益を出しても、まったく意味がありません。

では、この状況を打破するためには、どうすればよいのでしょうか?
ひとつは、グループのメンバーが、自部門の売上と経費の内容を知ることです。
経理部門からの押し付けの数字ではなく、自分たちが稼いだお金と使ったお金を、自分で集計することが、大切なのです。
そうしなければ自分たちのお金として意識することができないのです。

そのためには、自分たちで売上伝票を作成し、納品書を見て仕入伝票を作成することが必要です。

売り場ごとに損益を出しているあるスーパーでは、鮮魚売り場のリーダーが、チラシ代の見直しを訴えました。
このチラシは毎週発送されるのですが、鮮魚売り場の経費の中で大きなウエイトを占めていました。
リーダーは、チラシの校正をしながら、「うちのコーナーが一番小さいではないか?
それなのになぜ、他の4つの売り場と同じ額のチラシ代を負担しなければならないんだ」と気付いたのです。

鮮魚売り場のリーダーの訴えに、他の部門のリーダーも納得し、チラシ代はコーナーの面積で
割り振られることになりました。同じ店舗のお菓子売り場のリーダーは、来月からチラシ代が増えるので、
それ以上に売上を伸ばさなければならないと、メンバーに発破をかけました。

また、営業本部では、あまり使っていない車が一台あったので、車を必要とする部門に譲り、
車の減価償却費を削減しました。車を必要としていた部門も新車を買うより安くすんだのです。

このように、自分たちの部門の売上や経費を意識することにより、
少しずつ、売上を伸ばす方法や経費を下げる方法が見えてきました。

しかし、まだこれだけでは不十分です。もうひとつ重要なことは、社員全員が積極的に取り組むために、
ゲーム感覚で楽しんでもらうことです。そのためには、グループ別の成績をきちんと評価しなければなりません。
たとえば、その方法として、実績が目標を上回ったかどうかを、毎月表に記入し、食堂などの目に付く場所に張り出します。
ある会社では、目標を上回ったら晴れマーク、下回ったら閻魔様の顔を付け、晴れのマークが3カ月続いたら、
全体朝礼で表彰したり、グループ全員にディナー券を渡すなどの特典を付けています。

こうすることによって、グループ別損益計算へ取り組む姿勢が変わり、個々のグループの損益が徐々に向上してきました。

皆様の会社でも、部門別に損益計算をされているところがあると思いますが、このように、自分たちで数字を集計し、
ゲーム感覚を取り入れながら、その数字を全社できちんと評価するシステムを作っていけば、必ず社内は活性化し、
ひいては会社の増益に結びつくのではないでしょうか。

小長谷 敦子

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経営コラムニスト紹介

株式会社経営ステーション京都代表取締役。京セラ株式会社監査役。公認会計士・税理士。 田村 繁和氏

田村 繁和氏 株式会社経営ステーション京都代表取締役。京セラ株式会社(元)監査役。公認会計士・税理士。

早稲田大学卒業後、大阪国税局国税調査官を経て、経営ステーション京都を創業。2005年6月、京セラの監査役に就任(~2009年)
京セラ実学をベースとした中小企業のためのわかりやすい経営と会計を提案。
実学にもとづく、キャッシュフロー経営と部門採算制での経営会議で、会社が
生まれ変わっていただくことを使命としている。


「京セラに学ぶ新・会計経営のすべて」(共著、実業之日本社)
「社長の疑問に答える会計の本」(共著、中経出版)
「お金を残す強い会社の101の教え」(共著、清文社)
「小さな会社の必ずお金が残る経営の本」(共著、実業之日本社)他多数。
株式会社経営ステーション京都。 公認会計士・税理士。 小長谷 敦子氏

小長谷 敦子氏 株式会社経営ステーション京都。公認会計士・税理士。

早稲田大学卒業後、西武百貨店を経て、結婚・出産後、公認会計士・税理士となる。
京セラ実学をベースとした独自のコンサルティングで、中小企業のためのキャッシュフロー
制度の構築と経営会議の指導に定評がある。


「子育て主婦の公認会計士合格記」(中経出版)
「実学に学ぶ お金を残す3つの秘訣」DVD(清文社)

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