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社長業

第8回 社員が辞める職場

繁栄への着眼点 牟田太陽

 「せっかく採用した社員が次々に辞めてしまうのですが」 この採用難の時代に、苦しそうに相談に来られる経営者がいる。そういう会社は、どこかに問題があるのだが、当の自分では見えないものなのだ。心中を察する。 一般的に、離職率というのは平均値で約8%だが、もちろん業界ごとに大きく異なる。 飲食業が約17.6%、レジャー産業が約11.4%、医療・福祉が約8.5%、不動産・賃貸業が約8.5%、小売業が約8.0%と平均値を上回るくらい高い。それに対して、IT関連が約5.8%、製造業5.0%、建設業が約4.2%と平均値より低くなっている。業界ごとの平均値をまず捉え、それに対して自社の数値がどれくらいなのが掴むことが大切だ。
 飲食業や、教育産業や、サービス業などは、そもそも社員の独立志向が高く、流動性が高い業種といえる。
 しかし、業界平均値を大きく上回る離職率の会社は、どこかに問題があると考えなければいけない。
 中小企業でありながら自由度が低かったり、幹部が親族で固められたり、やたらと社内にルールが多かったり、若い人の意見に否定的であったり、社員の顔色を窺わないと仕事ができなかったり…そのような会社に社員が、「ここで働こう」というメリットが感じられるだろうか。
 昨今、世間を賑わせている芸能界のタレントに対する圧力問題を考えてほしい。問題に対する世論の意見は、「未だにそんな『昭和のやり方』をしているのか」というものだ。年間いろいろな会社を見ていると、残念ながら同じようなことをしている会社を、ごく稀だが見かけることがある。
 「昭和の考え方」「昭和のやり方」というのは、これからはリスクでしかない。なぜ、リスクなのか。 今年は、平成で考えると平成31年だ。平成元年に生まれた人が30歳になる年なのである。皆さんの会社で第一線で働いている年代だが、その人たちは昭和を知らない。その人たちに「昭和の考え方」「昭和のやり方」を強制するとどうなるか考えてほしい。間違いなく、経営陣と現場の第一線で働いている社員との意識の乖離が起こる。会社にとってこれほど恐ろしいことはない。離職率が高いという会社は自分の考え方、やり方を、立ち止まって見て冷静に見直すことが必要だ。
 会社ごとに社員を大切にするやり方も違うが、業績が好調な会社を見ていると法則はある。
 社員の定着・安定があって、そこから業績向上に繋がり、ひいては社員の賞与の向上に繋がるというものだ。時代がいくら変わろうとも、それは変わらない。
 人がモノを考え、人がそれをカタチにして、人がそれを販売して、それを買うのもまた人であるし、出た利益を分配するのも人である。「人の差が会社の差」である。 もし、これを読まれている方で、自社の離職率が高いという会社は早急に手を打ってほしい。自分の考え方・やり方が変えられないのであれば、人を変えることはもっと出来ない。
※本コラムは2019年9月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

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