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第99回 「意は至る所有りて而も愛は亡う所有り」

第99回 「意は至る所有りて而も愛は亡う所有り」

客の立場で考えるコツ

 大昔から、相手の立場に立つのは難しいことだったようです。

「荘子(そうじ)」には、ある馬好きの例が挙げられています。

 「馬をかわいがるものは、通常は身の回りの品を入れる小箱の中に糞を入れ、美しくて大きな蛤(はまぐり)の器に小便をとる、というように馬を大切にする。

ところが、蚊や虻(あぶ)が馬のからだにとまるのを見て、突然それを叩くようなことをすると、馬はくつわをひきちぎり、その人間の首を折り、胸をうちくだく、といったことをしてしまう。

このように愛情を注ぎながら、しかも相手からの愛を失うことがあるのだ。あなたも十分に注意するがよい」(人間世篇)

   「意は至る所有りて、而(しか)も愛は亡(うしな)う所有り」

(愛情を注ぎながら、しかも相手からの愛を失うことがある)

 馬好きは、自分が馬を大切に思うからこそ、蚊や虻がとまった個所を叩きます。しかしただ叩かれたと勘違いした馬は激怒し、大暴れしてしまう・・・。馬の立場に立った行動ができないと、馬からの愛を失ってしまうのです。

「孫子の兵法」では「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」(敵情を知って味方の事情も知っておれば、百回戦っても危険が無い)と教えています。

馬好きの場合でいえば、 もっと馬の気持ちをよく理解して、 こちらの好意が伝わるような行動、 例えばなでるように触るなどして蚊や虻を追い払うべきだったのです。

しかし、 相手の立場、 気持ちが分かりにくい場合もあります。

そんなとき 、孫子は「間(かん)」と呼ばれるスパイを活用して理解するようにしました。

軍隊がどんなに鍛え上げられていても、情報収集力において敵に劣れば負け戦となってしまいます。 敵の立場に立てるかどうかは勝敗に関わる重要事なので、 「間」には「孫子の兵法」の一篇を割くほど注力していたのです。

ビジネスにおいても情報収集は極めて重要。 この部分に対する経営者の意識がどれくらい高いかで、企業の行く末が決まると言っても過言ではありません。

花王に「めぐりズム」と呼ばれる「蒸気の温熱シート」があります。

肩コリ、疲れ、腰痛などの不具合を感じた個所に貼れば、シート内の鉄粉が熱を発生し、同じくシート内に閉じ込められていた水分が蒸気となってその部分を温めるため、血のめぐりがよくなり、コリや疲れがとれるという優れた製品です。

開発において難しかったのは形状。鉄粉が熱を発する原理は一般的な使い捨てカイロと同じなのですが、あれではボコボコとして不格好です。とても女性が仕事中に身につけておられる形ではありません。

同社では、女性がよく着るピタッとしたトップスや薄着のときでもアウターにひびかない薄さにすることに苦労しました。最初、温熱を5時間以上持続させられるシートの厚さはダンボールほどもあり、今の薄さにするまでになんと5年もかかったそうです。

また、形にもこだわり、首や腰に貼りやすいよう、少し丸みを帯びた形に。 肌への負担も考慮し粘着部分も工夫。 首や肩に貼った際に髪の毛がつきにくくて貼りやすいと喜ばれているとのこと。

同社ではきっと、作っては女性社員に試してもらうというプロセスを繰り返したことでしょう。

 

 花王 めぐリズム 蒸気の温熱シート 誕生ストーリー

 ⇒ http://www.kao.co.jp/megurhythm/sheet/tanjou/

 

顧客情報にもいろいろとありますが、実際に見込客が商品を試した感想こそ、売り手の企業にとって真に役立つ情報です。

この部分さえきちんと押さえ続ければ、客のニーズについてそれほど大きな見込み違いをすることはありません。

逆に、この点の情報収集システムが出来ていなければ、その会社の存続、発展は危ういということになります。

戦略立案の前に、情報収集システムの構築と運用を重視し、実行してください。

 

バックナンバー

2014.04.22
第100回 「天地の間は、それなお橐籥のごときか」
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第99回 「意は至る所有りて而も愛は亡う所有り」
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経営コラムニスト紹介

兵法経営コンサルタント 濱本克哉

濱本克哉氏 兵法経営コンサルタント

「孫子の兵法」はじめ数多くの「兵法」を経営指導に活用して、抜群の成果をあげる兵法経営コンサルタント。

「社長は、月に400時間お客様を回れ!」という現場主義を徹底指導し、事業計画づくりにも僅かな甘さも許さない厳しさに、「経営の軍師」との異名を持つ。
関西学院大学を卒業後、大手流通業に入社。その後、不況にあえぐ中小企業を間近に見て、小さくても強い、「利」と「義」を兼ねそろえた企業を育てなければ日本に未来はない、として、経営コンサルタントを志して独立。 経営指導で日夜奔走する中、「孫子の兵法」との運命的な出会いを機に、その応用活用に傾注。様々な実戦での効果検証を繰り返して、「孫子の兵法」を活かす独自の経営コンサルティング手法を確立。以来、兵法経営として抜群の効果をあげている。 氏は、一貫して「王道経営」を基本に掲げ、儲け主義や浮利を追う経営に警鐘を鳴らす一方、どんな逆境にも決して諦めず、指導先の生き残りのために起死回生の戦略・戦術を練りあげることで定評がある。その情熱的なコンサルティングに、全国から多くの経営者が氏を慕って集まり、指導依頼が絶えない。 著:「孫子の兵法」─社長が経営に活かす70の実務と戦略

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