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第96回 「小を見るを明と曰い、柔を守るを強と曰う」

第96回 「小を見るを明と曰い、柔を守るを強と曰う」

顧客ニーズをつかむコツ

 

 「売りたいなら客の立場で考えよ」と、マーケティングの教科書は顧客目線の大切さを説きます。

 しかし、わざわざマーケティングで習わなくても、他人の心を慮(おもんぱか)ることの重要性については子供の頃から家や学校で教えられてきました。

 商売において顧客目線が大事なのは当たり前。

にもかかわらず、実際には出来ない人が多いのは何故でしょうか。客の、

 「あれが欲しい。こんなサービスをしてもらいたい」

 といった気持ちを理解できているなら、商品は簡単に売れるはずです。

 売れないで困っている人が現実にはたくさんいることを考えると、

 ・客の立場に立とうとしていながら立てていない

 人が多いということでしょう。

 老子はこう言いました。

「その兌(あな)を塞(ふさ)ぎ、その門を閉ざせば、身を終うるまで勤(つか)れず。その兌を開き、その事を済(な)せば、身を終うるまで救われず。

  小を見るを明と曰(い)い、柔を守るを強と曰う。

 その光を用いて、その明に復帰せば、身の殃(わざわい)を遺(のこ)す無し。是(こ)れを常に襲(よ)ると謂(い)う」

〔意味〕欲望が呼び起こされる目や耳などの穴をふさいで、知識や欲望が生じる心の門を閉ざせば、一生、疲れることはない。欲望の穴を開き、知識や欲望に引かれてさまざまないとなみを行なっていけば、一生、癒されることはない。

微細なものまで見定めることを明といい、柔弱さを守っていくことを強という。

万物を照らす知恵の光を働かせ、明の状態に立ちもどれば、わが身に災いが降りかかることはない。このことを恒常の道に順(したが)う、というのだ。(『老子』第52章)

老子は、「兌(あな)」すなわち感覚器官を開いていると、知識や欲望が生じて疲れてしまうといいます。この状態では、どうしても自分の利益を追求してしまうのです。自分の利益を追求していると、他人はそんな人間に利益を与えたくないので寄ってきません。

そうではなく、

 ・「小を見て、柔を守る人」=ことの本質を見抜きつつ、自分の思いを押し付けない人

こそ、明智と真の強さを持つ人であると述べています。

 こういう人の周囲では、災いはすべて消えてしまうというのです。他人も「この人には安心して近づける」と思って寄ってきます。

 どうやら、まず「兌(あな)」をふさいで、自らの欲望が起こらないようにし、あくまで客観的にことの本質を見抜く努力をすることが、「顧客目線」の出発点のようです。

 1968年に大ヒットした「サンスタートニックシャンプー」。当時、シャンプーと言えば女性のもので、男性用は皆無だったところに登場した画期的な製品でした。

 しかし、この製品の開発に携わった梅澤伸嘉氏によれば、最初は「やることなすこと失敗の連続」だったといいます。「何とか成功商品を作りたい」ともがいていた時、「女は二度勝負する」という映画(物語の内容は不明)を観て、「消費者ニーズを無視している」ということに気付き、以来、梅澤氏は毎日毎日、男女が洗髪する様子を観察。そしてついに、

  • 女性は髪を、男性は頭を洗っている

ということを発見。

 さらに男性のニーズに注目してリサーチを重ね、洗髪の理由は「スカッとしたい」ためだという真の目的を突き止め、メントールをシャンプーに入れることを考えついたとのこと。

 そうして出来上がったのがサンスタートニックシャンプーで、発売以来40年のロングセラー商品となりました。

 梅澤氏は己を捨て「観察」に集中したことで、男性の洗髪行為の本質「スカッとしたい」を見抜いたのです。この男性のニーズにメントールをシャンプーに入れるという非常識な発想で柔らかく対応、ヒット商品を生み出しました。

サンスタートニックシャンプー誕生秘話

http://www.e-mch.jp/birth.html

 「顧客目線に立とう」とは誰にでも言える言葉ですけれども、実際に立つにはまず、己というものを捨てなければなりません。

 しかし、これも観念的で出来ているかどうか分からないもの。そこで、「顧客を観察する」という行為に落とし込むのが、顧客目線に立つための有効なステップとなるのです。

 あなたもこのステップから顧客目線作りを始められることをお勧めします。

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経営コラムニスト紹介

兵法経営コンサルタント 濱本克哉

濱本克哉氏 兵法経営コンサルタント

「孫子の兵法」はじめ数多くの「兵法」を経営指導に活用して、抜群の成果をあげる兵法経営コンサルタント。

「社長は、月に400時間お客様を回れ!」という現場主義を徹底指導し、事業計画づくりにも僅かな甘さも許さない厳しさに、「経営の軍師」との異名を持つ。
関西学院大学を卒業後、大手流通業に入社。その後、不況にあえぐ中小企業を間近に見て、小さくても強い、「利」と「義」を兼ねそろえた企業を育てなければ日本に未来はない、として、経営コンサルタントを志して独立。 経営指導で日夜奔走する中、「孫子の兵法」との運命的な出会いを機に、その応用活用に傾注。様々な実戦での効果検証を繰り返して、「孫子の兵法」を活かす独自の経営コンサルティング手法を確立。以来、兵法経営として抜群の効果をあげている。 氏は、一貫して「王道経営」を基本に掲げ、儲け主義や浮利を追う経営に警鐘を鳴らす一方、どんな逆境にも決して諦めず、指導先の生き残りのために起死回生の戦略・戦術を練りあげることで定評がある。その情熱的なコンサルティングに、全国から多くの経営者が氏を慕って集まり、指導依頼が絶えない。 著:「孫子の兵法」─社長が経営に活かす70の実務と戦略

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