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第95回 「彼是は方生の説なり」

第95回 「彼是は方生の説なり」

 ■客を仲間に加えるコツ

 ビジネスでは、商品の売り手と買い手が存在しますが、通常、この両者は対立する存在です。

 売り手はなるべく高く売って多くの利益を得たいと考え、買い手はなるべく安く買って得をしたいと思うものだからです。

 しかし、対立するばかりではうまくいきません。売り手が高い値段をつけ過ぎると買い手は買わなくなりますし、買い手が安さばかり要求すると、利益を得られなくなった売り手は商売が立ち行かなくなります。
 
 もちろん、そこで複数の売り手同士が競争するため、結果的には最安値を提示した企業が勝ち組となって買い手とくっつくことになるわけですが、もしも売り手が買い手に「価格以外の価値」を感じさせることが出来れば、安くしなくても勝ち組になることは可能です。
 
 さて、それにはどんな手があるでしょうか。とても有効な方法のひとつとして、商品作りに買い手を巻き込む、というものがあります。
 
 売り手と買い手の両者が生産や仕入れの段階でも協力し合えばよい商品ができ、もっと売れるようになるのは間違いありません。
 
 どういうものを作って欲しいか、何を並べて欲しいかなど、客の側からどんどん意見が出てくるようになったら、売り手はずい分、楽です。
 
 社員に「顧客視点で発想せよ」などと言わなくても、まさに顧客の意見そのものが社内で飛び交うのですから。
 
 「荘子(そうじ)」に、以下の話があります。
 
 すべての物には彼(かれ)と呼べないものはなく、是(これ)と呼べないものもない。それなのになぜ、彼、是と区別するのか。離れている彼からすれば見えないことでも、自分に引き寄せ、見て知れば、よく理解することができる。そういうわけで、近くのものは是、遠くのものは彼と分けているにすぎない。
 
 から次のようにいえる。彼という概念は自分を是とするところから生じ、是という概念は彼という対立者から生じたものである。つまり、彼と是は並んでいるものであり、たがいに依存しあっているのである。(斉物論篇)
 
  「彼是ひぜは方生ほうせいの説なり
 
 (つまり、彼と是は並んでいるものであり、たがいに依存しあっているのである。)
 
  「荘子」ではこの後に、「彼・是」のみでなく、「生・死」「可・不可」も同じだと説いています。
 
 先に、売り手は買い手に協力してもらって商品を作ったり仕入れたりすればもっと売れるようになる、と述べましたが、荘子の考え方をあてはめると「売り手・買い手」も互いに依存しあっている存在ということになりますから、やはり協力関係を作る方が理にかなっているわけです。
 
 フランスの人気ファッションブランド「A.P.C.(アーペーセー)」(東京・目黒)では、ジーンズの常連客がとても喜ぶユニークな取り組みを行なっています。
 
 客が同社のジーンズを購入した後、はき込んでから古くなったデニムジーンズを店舗に持ち込むと、新しいジーンズと半額で交換してもらえるというもの。
 
 回収されたジーンズは、時の経過で自然に古び、魅力的に色あせた状態となっています。同社ではなんと、それにクリーニングを実施した後で修理を施し、元所有者のイニシャルを入れ、原則として引き取った店舗に並べるそうです。
 
 そうすることによって「まさしくユニークなジーンズへと変貌を遂げる」(同社ホームページより)と言います。
 
 客が長年はいてきたジーンズが、好んで利用している店舗に並ぶというのは、本人にとってとてもうれしいことでしょう。店員との会話がはずみ、ますますその店に愛着がわくはず。自発的にリピート利用し続けることは間違いありません。
 
 店にとっても、時間がたつとジーンズがどう変わるかを客に見せることができますし、自然な風合いの加わった稀有なジーンズを売ることで特色を出せます。暗に環境への優しさも訴えることができるでしょう。常連客も増え、言うことなし。
 
「A.P.C.(アーペーセー)」動画でジーンズ再生のようすが見られます。
 
 買い手である客を仲間にするには、
 
 ・その商品の愛好家同士
 
 というスタンスに立つのがコツです。
 
 最初はあなたが先生、客が生徒かもしれませんが、あなたの指導のもとで客のレベルが向上し、同じレベルで商品を語れるようになれば、客はあなたを同志とみて離れることはなくなり、顧客視点でいろいろと意見を出してくれるようになるでしょう。
 
 ぜひ、そんな仲間を増やしてください。もともとあなたとお客は依存しあっているのです。対立は損を生むばかりと心得ましょう。

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経営コラムニスト紹介

兵法経営コンサルタント 濱本克哉

濱本克哉氏 兵法経営コンサルタント

「孫子の兵法」はじめ数多くの「兵法」を経営指導に活用して、抜群の成果をあげる兵法経営コンサルタント。

「社長は、月に400時間お客様を回れ!」という現場主義を徹底指導し、事業計画づくりにも僅かな甘さも許さない厳しさに、「経営の軍師」との異名を持つ。
関西学院大学を卒業後、大手流通業に入社。その後、不況にあえぐ中小企業を間近に見て、小さくても強い、「利」と「義」を兼ねそろえた企業を育てなければ日本に未来はない、として、経営コンサルタントを志して独立。 経営指導で日夜奔走する中、「孫子の兵法」との運命的な出会いを機に、その応用活用に傾注。様々な実戦での効果検証を繰り返して、「孫子の兵法」を活かす独自の経営コンサルティング手法を確立。以来、兵法経営として抜群の効果をあげている。 氏は、一貫して「王道経営」を基本に掲げ、儲け主義や浮利を追う経営に警鐘を鳴らす一方、どんな逆境にも決して諦めず、指導先の生き残りのために起死回生の戦略・戦術を練りあげることで定評がある。その情熱的なコンサルティングに、全国から多くの経営者が氏を慕って集まり、指導依頼が絶えない。 著:「孫子の兵法」─社長が経営に活かす70の実務と戦略

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