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第7回 社員を一人前に育てあげていくために

学び上手な社員を育てる 社員教育のすすめ方

社員教育・マネジメント

2010.06.11

関根雅泰(ラーンウェル代表取締役)

今回も「一対一(マンツーマン)」で教える際のポイントを確認していきます。


教える側のゴール

教える側のゴール(目標)は、社員を一人前にすることです。一人前の社員とは、自ら考え行動できる人材です。
逆に、半人前の社員は、こちらが言わないと動かない「指示待ち型」であったり、
何度も聞きにきて自分で考えようとしない「依存型」社員であったりします。
いつまでたっても、一人で任せられない。こうなってしまうと教える側は大変ですよね。

教える側は、いつまでも教えないですむように、いつかは手離れしていくように、
社員を指導していく必要があるのです。実は、社員が半人前になってしまう要因は、その社員自身の問題と、
私たち教える側の問題の二つがあります。教える側の教え方が下手だと、社員が一人前に育た ないのです。
では、社員を半人前のまま終らせず、一人前に育て上げていくために、どんな教え方をすればよいのでしょうか? 


社員を一人前に育てあげていくために

自ら考え行動できる一人前の社員とするためには、社員自身に「考えさせる」ような教え方をする必要があります。
そのために 教える側がやるべきことは3つです。
1.Whyを伝える 2.PDCAを回させる 3.「質問+説明」をバランスよく行う 


1.Whyを伝える

社員自身に考えさせるためには、Why(目的・理由・背景)を伝える必要があります。
「何のためにやるのか?」「この仕事は、全体のどの部分に関わってくるのか?」
Whyを伝えてあげると、社員は考える材料をもつことができます。
例えば、新人に資料のコピーを頼むときに、 「これ、5部コピーしておいて」と言うだけでなく
「お客様先に提出するから」などと、Whyを伝えてあげるのです。
そうすれば「客先に提出する」という目的が明確になるため、裏紙を使ってのコピーはしないとか、
綺麗なファイルにいれるとか、新入社員自身が何らかの考えをもち行動することができるのです。

教え下手は、Whyを伝えません。相手が、目的・理由・背景を聞きたがっても、「いいから、とにかくやっといて。」
「ぐだ ぐた言わずに、言われたとおりやればいいんだよ。」などといった接し方をします。
そして、こういう教え方をする人ほど
「今年の新人は使えない」「言われた ことしかできない」などといった言い方をします。
実は、相手を半人前にしてしまっているのは、Whyを伝えない教える側なのです。


2.PDCAを回させる

一人前の社員は、自分でPDCAを回すことができます。
自分で仕事をどのように進めるかを考え(Plan)実行し(Do) 結果を検証し(Check)次に活かせる(Act)。
社員がいずれはこのPDCAサイクルを一人で回せるようになるために、教える際には
「PDCAを意識した教え方」をします。
その詳しいやり方は、今後ご紹介していきますので、今回は悪い例だけ見ておきましょう。

教え下手は、Doだけで教えます。「あれやっといて」「これはこうやるの」と、断片的な教え方をします。
社員がやってきた 仕事内容に関して「これじゃだめだろ!」「なにやってんだ」と、抽象的な評価をします。
何を期待しているのか、合格ラインはどこなのか、評価基準がはっき りしないため、
社員は自分で考え(Plan)結果を検証し(Check)次につなげる(Act)ことができません。
その結果、やる気のある社員であれば辞めていくか、
言われて動く「指示待ち型」「依存型」の半人前社員になってしまうのです。


3.「質問+説明」をバランスよく

社員に考えさせるためには、質問が有効です。質問されることで、相手は考えます。
教える際の接し方の基本は「質問型コミュ ニケーション」です。いわゆるコーチング的な接し方になります。
ただ、コーチングは「答えは相手の中にある」と、質問・傾聴・承認といった技術を通して 「引き出す」ことに
重点をおきます。これはある程度のレベルに達している相手に対しては非常に有効な手法ですが、
相手が新人の場合は注意が必要です。彼・ 彼女らは、知識・経験の量が足りないので、
引き出そうとしてもでてこないケースが多いのです。
「私ならどうする?って聞かれても、やったことないので分か りません。」
「自分で考えろ!って言われても、どうやって考えればよいのでしょうか?」
つまり、質問だけでは、新人指導の場合は、足りないのです。

かといって、説明ばかりで「教え込む」ティーチング的な手法だけでも上手くいきません。
「これは、こうして、こうなって、 その後、こうして、だから、ここはこうで・・・。わかった?」こうやって教えられると、
新人の多くは「はあ」といった返事はしても、実際には分かっていません。
実は、この「説明・説明・説明・説明・最後にちょっと質問」という
「教え下手のティーチング」の罠にはまっている人が多くいます。説明だけでは、伝わらないのです。
では、どうしたらよいのでしょうか?

 



 

社員自身が、いずれは手離れしていくような教え方をするために有効なのは、「質問+説明」を
バランスよく行うことです。つ まり、コーチング的な要素と、ティーチング的な要素を併せ持った教え方をします。
それが、社員の「学び(ラーニング)」を手助けするのです。

まずは「質問」をして相手の現状や考えを聞きだします。
「今までに教わったことある?」「君ならどうする?」
新人の場合、 答えがでてこないか、的外れなことを言ってきます。それに対して「説明」をしてあげるのです。
「いきなりは難しいかな。こういうときは、~という風に考えるといいんだよ。」
「なるほど。それもあるわね。ただ、このときは~をするといいと思うの。なぜなら・・・」
教え上手は、「質問+説明」をバランスよく 行っているのです。

 



 

まず、質問をする。次に、説明をする。これを、逆にしてしまうと、社員は考えなくなります。全て説明してもらえる。
教えて もらえる。こういう状態になると、相手は自分で考えようとしなくなります。
説明の前に必ず質問されるものだと思えば、徐々に自分なりの考えをもつようになります。
「●●さんは、必ず最初に訊いてくるからな。ちょっと答えを用意しておかないと」といった具合に、
社員が自分で考えるようになるのです。質問され るから、事前に考えておこう。そういうクセづけをしていくのです。



 

以上、社員が自ら考え行動できるようクセづけしていくために、教える側がやるべきこと、
1.Whyを伝える 2.PDCA を回させる 3.「質問+説明」をバランスよく行う の3つを見てきました。





参考書籍:


「齋藤孝の相手を伸ばす!教え力」
齋藤孝著 宝島社


「これだけはおさえておきたい仕事の教え方」
関根雅泰著 日本能率協会マネジメントセンター

以上

講師紹介

関根雅泰(ラーンウェル代表取締役)

 デキル社員を育成するためには仕事の覚え方と学び方、それを支える社内体制づくりが必須条件と主唱する人育てのプロ。デキル社員は、総じて仕事の覚えが早く、学び上手であることに着目し、仕事の教え方と社員教育の仕組みを開発。社員育成指導に採用したところ「指示待ち社員がいなくなった」「自ら...>もっと見る

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