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トレンド・新技術

2017.01.06

第89回 刺激的な体験とコミュニケーションの両輪を意識する 「大和サンプル製作所」

「社長の繁盛トレンド通信」

大和サンプル製作所

 

店は東武東上線「北池袋」駅から5分ほどの場所。池袋駅からは徒歩20分以上かかる

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制作しているのはラーメン。蝋でできた褐色のスープを入れると、ラーメンらしくなってきた

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ラーメンの完成形はこちら。こんなサンプルが、誰でもつくれてしまう

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取材当日は、日本で働く父を訪ねて来日したカリフォルニアの青年が体験。
「口コミサイトで見つけ、日本に行ったらやってみたいとずっと思っていました。
とてもエキサイティングな体験でした!」
 
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一番人気のフルーツパフェ。高さ9㎝×幅7㎝ほどの大きさのものが、30分ほどで作成できる

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本業では、焼き鳥や焼き魚など、さまざまな食品サンプルを制作している

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●池袋の外れに、わざわざ年間2000人の外国人観光客が訪れる
 
相変わらず好調なインバウンド需要。2016年の訪日外国人旅行者数は2000万人を軽く突破し、過去最高を更新した。ただ、リピーターが増えてきたためか、外国人観光客の消費の中身は変わりつつあるようだ。デパートやドラッグストアでの“爆買い”や、浅草やお台場などの定番の観光地めぐりに飽きた人たちが、日本でしかできない刺激的な体験を求めるようになっている。
たとえば、寿司作り体験や忍者体験、舞妓体験などに人気が集まっているが、あるユニークな体験サービスも好評を博している。それは、東京・北池袋の大和サンプル製作所による「食品サンプルづくり体験」だ。

食品サンプルとは、蝋やプラスチックなどを用いて、メニューを精巧に再現した模型のこと。つくるのは難しそうに見えるが、実は、簡単なものなら、手ほどきを受ければ、30分ほどでつくることができる。
制作可能なメニューは、フルーツパフェやラーメン、天ぷら、寿司など。
値段もリーズナブルで、すべてのメニューを1点1000~2000円台で制作できる。

同社は、1952年に創業した食品サンプルのメーカーで、お客の要望を受け、10年ほど前から、食品サンプルの制作体験教室を不定期で始めた。これが好評だったことから、2011年からは自社内に常設の教室をかまえ、週5日おこなうようになった。

外国人観光客が訪れるようになったきっかけは、教室を構えてから、『GoTokyo』や『Veltra』など、外国人向けトラベルサイトの「体験もの」の情報欄に、情報を掲載したことだ。
じつは、食品サンプルは日本発祥のものであり、日本土産としては以前から人気があった。それを自分の手で作れることは、日本でしかできない体験を求める外国人観光客にとって魅力的に映ったようだ。サイトに載せると、すぐに、日に1~2組ほどの外国人観光客が訪れるようになったという。

体験に訪れる外国人観光客は、年々増えている。現在は、国内外合わせて、年間2万人が体験しているが、うち1割にあたる2000人ほどが外国人観光客だ。オーストラリアや台湾、香港からの旅行者が多いという。
「意外と人気なのは、寿司や天ぷらより、フルーツパフェ。じつは、日本発祥の食べ物である上、見た目がかわいいことから、女性に人気があります」(同社代表・伊藤裕一さん)

日本にいると気づかないが、実は「日本ならでは」という商品やサービスは少なくない。そうしたものを見つけて、体験できるようにすれば、新たな刺激を求める外国人観光客をつかめる可能性はある。


●英語が聞き取れなくても、臆せず話しかける

もっとも、大和サンプル製作所が人気を集めているのは、単に珍しい体験を提供しているからではない。意識的に「コミュニケーション」を図っていることもある。

社長であり、講師を務める伊藤さんは、英語が得意ではなく、予め決められたことしか話せない。何か話してこられても、聞き取れないそうだ。
しかし、それでもどんどん話しかけることを心がけているという。作り方の説明はもちろん、「今日はどこから来たのか」「これからどこに行くのか」などと雑談を振るそうだ。
「英語版の作成マニュアルを渡して、『つくってください』では、味気ないですからね。なまじっか話しかけると、たくさん話しかけてこられるのが怖い、という気持ちはありますが、英語がわからなくても、わからないなりに積極的に話しかけた方が、お客様も嬉しいと思うのです」

また、体験教室の後の行き先を聞いたら、地図をプリントアウトしてガイドをするようにしている。たとえば池袋のサンシャイン60に行くというなら、フロアマップなどを印刷して、案内するそうだ。
「そうしたら、あるとき、お客様が泣き出してしまいまして。聞けば、『そこまでしてくれるとは思わず、嬉しかった』と。大したことをしたわけではないのですが、喜んでもらえて、僕も嬉しかったですね」

このようなコミュニケーションが評価されているようで、同社の体験教室は、海外の口コミサイトにたくさん載っており、点数が非常に高いという。取材当日、カリフォルニアから訪れたアメリカ人旅行者も、口コミサイトで存在を知り、足を運んだそうだ。
じつは、食品サンプルづくりは、北池袋だけでなく、浅草でも体験できる。それでもわざわざ北池袋に来る人がいるのは、口コミの影響が大きいだろう。

現地でしかできない珍しい体験は旅行の楽しみではあるが、実際には体験そのものよりも、言葉の通じない現地の人となんとかコミュニケーションをとって心を通い合わせることが、楽しい思い出として心に残っていることは多い。そうした心理を理解して、意識的にコミュニケーションをとっていることが、大和サンプルの成功の理由だ。たとえ英語が苦手でも話しかけることが、何よりのおもてなしになることを、この事例は教えてくれる。

(カデナクリエイト/杉山直隆)

 
 

◆社長の繁盛トレンドデータ◆

大和サンプル製作所
http://www.yamato-sample.com/

東京都豊島区上池袋4-18-2 立松マンション101(第3工房)
電話番号:03-5980-8099
営業時間:9:00~17:00
定休日:水・木(臨時休業有り)
 
 
 

講師紹介

カデナクリエイト竹内・箱田・杉山

雑誌、書籍、PR誌の編集プロダクション。『月刊ビッグ・トゥモロウ』(青春出版社)、『週刊東洋経済』(東洋経済新報社)などで執筆。その他、PR誌、社内報などの制作を手がけている。著書『小資本で、でっかく儲ける法則』『「イベント」で繁盛店』(同文舘出版)。執筆協力には『大失業時代の勝ち...>もっと見る

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