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2013.12.20

第28回 「3H」はもう古い?!新「テレビの快適視聴距離」

デジタルAVを味方に!新・仕事術

年末年始は、家でゆっくりお正月番組を楽しもうと、テレビを買い替える方が多いようです。最近では60型や70型といった超大型テレビも店頭に並び、その迫力ある映像が人気で、売れ行きも上々のようです。

大画面テレビを購入する際、最も基本かつ注意したいのが画面サイズです。言い換えると、視聴距離に応じた、適正な画面サイズの見極めが肝要です。

メーカーのカタログや電器店の店頭など、一般的に適正視距離は、画面の高さの3倍(3H)とされ、今や定説となった感があります。しかし、実際に家庭でこのような設置を行うと、画面が「大き過ぎる」、言い換えると「近過ぎる」感は否めず、乗り物酔いのような「映像酔い」を引き起こす可能性があります。

今回は、テレビの買い替えで失敗しない、視聴距離と画面サイズの「新常識」をご紹介します。

そもそも「3H」の根拠とは?

「3H」の根拠は、NHKがハイビジョンテレビシステムを開発する過程に遡ります。まず、人間が映像に没入できる水平視野角として33度が導き出されました。これを、ハイビジョンテレビの横縦比である「16:9」に当てはめると、画面の高さの約3倍(3H)が視聴距離に相当します。最終的に、ハイビジョンテレビの走査線数(1125本)は、視力1.0のヒトが、この3Hの距離から見て、走査線が識別できない密度として決定されました。

つまり、「3H」については、以下の事が言えます:

①没入感を得られる距離。映画や3D作品では、3Hでの視聴を前提に制作。(制作基準)

②テレビ番組を視聴する場合、動きを伴う「動画」なので、快適な視聴距離は「動き」も考慮する必要がある。よって、3Hが適正とは言い切れない。(NHKの実験は静止画だった)
まとめると、3Hは有用な指標である一方、最短視聴距離の性格が強く、被写体やカメラの動きやブレなど、映像が動くテレビ番組の視聴においては、必ずしも適切とは言えないのです。

 テレビ視聴距離の新常識「3.9H~5.9H」

では、実際の家庭でテレビ番組を見る際に適正な視聴距離とは? 「薄型テレビの人間工学設計ガイドライン 2012年1月(一般社団法人 日本人間工学会)」では、「快適さ」の観点から「適正視距離」について述べています。

同ガイドラインでは、実際にさまざまな映像と被験者による実験の結果から、画面サイズに応じて「3.9H~5.9H」を快適な視距離として推奨しています。実際には数式で示されていますが、端的に示すと、24型は5.9H、32型は5.1H、50型は 4.2H、65型は3.9Hと言った具合です。

一般社団法人日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」では、ガイドラインをベースに、「ホームシアター映像 調整・環境 ガイドライン(基礎編:Ver.1.0)」を発行し、視聴距離から適正な画面サイズが分かる早見表(下図)を掲載していますので、是非ご参考に。

digital2013121.jpg

表の見方・利用方法:
1. 実際の「視聴距離」を測る。(テレビの画面位置から視聴ポイントまでの距離)

2. 表の左列から、相当する「視距離」を見つけ、行を右に辿って緑色のボックスを探す。

3. 緑色のボックスの列を上に辿ると、適正画面サイズ「型」が見つかる。

  (緑色ボックス内の数値は、画面の高さに何倍かを示している)

例: 視聴距離が「230cm」の場合「40型」が最適。 (視聴距離は、4.6Hに相当)


さいごに
快適に感じる視聴距離は、見る映像の種類や個人差にもよります。「3H」や今回ご紹介した「3.9H~5.9H」が絶対ではなく、あくまでも参考として、個々でベストな距離を見つけてください。

確実に言える事は、「3H」に準じて目一杯の大画面を導入しない事。例えば、四畳半の部屋で、壁から壁まで2.7m程度、視聴距離が2.4m程度確保できるからと、画面の高さが80cm程度の65型を設置すると、映像の動きが激しい際に画面から離れたいと思っても、後方が壁で下がれないという問題が発生します。大型のソファーなど、視聴位置を簡単に変更できない場合も同様です。

結論としては、実際の視聴距離から今回ご紹介した「3.9H~5.9H」を基本に画面サイズを決定し、映画や3D作品を観るときは「3H」程度に近づく、また逆に、バラエティやスポーツ番組などで映像やカメラの動きが多い場合は後に下がるなど、視聴位置の微調整を見込んでおくと良いでしょう。

テレビの快適な視聴、より高画質な視聴については、映像の明るさや色味にもノウハウがあります。次回は、テレビ、PCモニタ、タブレットの快適な視聴および調整方法についてご紹介しますので、お楽しみに!

【資料】
「ホームシアター映像 調整・環境 ガイドライン(基礎編:Ver.1.0)」
(一般社団法人日本オーディオ協会 著)

スクリーンやテレビの視聴距離に加え、角度、画面の明るさ、色温度など、快適な視聴環境を実現するための目安や設定および設置目標をまとめた資料。
ホームシアターだけでなく、リビングのテレビ、オフィスのテレビ、ホテル客室のテレビなど、「快適」で「高品位」を目指す様々な用途で参考になります。

 鴻池賢三

講師紹介

鴻池賢三(ディー・エー・シー・ジャパン代表)

株式会社オンキヨーにてAV機器の商品企画職、米国シリコンバレーのデジタルAV機器用ICを手がけるベンチャー企業を経て独立。 現在、WEB・テレビ・雑誌等のメディアを通じて、AV機器の評論家/製品アドバイザーとして活躍中。その他、「ディー・エー・シー ジャパン」を設立し、AV機器関連企業の商品企...>もっと見る

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