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経済・株式・資産

2018.12.14

第66回「流行は追わずに、ひたすらわが道を行く強さ」ウェルシアホールディングス

深読み企業分析

ウエルシアホールディングスの業績拡大がますます勢いを増している。今や存在感が著しく高まっているドラッグストア業界において、売上高はすでにトップである。

同社はM&Aによって売上高を大きく伸ばしている。見方によっては、親会社のイオンが抱えていた企業をM&Aで傘下に入れているわけであるから、親の七光りではないかという見方もできよう。しかし、イオンの子会社は規模が大きくなっても低迷状態の企業が多い。一例に、食品スーパーのUSMHがある。USMHは売上高こそ7,000億円と食品スーパーのトップであるが、収益はここ数年間低迷状況を抜け出していない。

それに対して同社は業績不調な企業をM&Aによって傘下に収め、業界平均を大きく上回る高い利益成長率を示している。

同社の戦略は単純明快である。一般消費者の利便性を高めるもの、消費者のほしいと思うものを店頭に並べることに尽きる。それらは決して大量に販売できなくても直接会社に利益をもたらさなくても関係ない。それによって、会社が狙う会社の利益に貢献する商品を買ってもらうという戦略である。

それゆえ、外野から見れば、何でそんなものをというような施策も多い。同社の各店舗には、地域の住民が自由に使えるスペースがあり、公民館代わりに使われている。しばしば、食品スーパー、コンビニにはイートインスペースや休息スペースがあるが、必ずしもそれらとは性格が異なる。

また、ある店舗ではイートインでカレーを供給したり、別の店舗では青空市場を催したりする。レジ横のコーヒーや代金収納代行などはコンビニでもいまや常識であり、驚くものではないが、同社でも実施している。

これらはすべて消費者があれば便利と感じるものである。しかし、一方でそのコンセプトに反するものには見向きもしないのである。代表例がインバウンド対応である。ここ数年、我が国の観光立国政策にけん引されて、訪日外国人が急増している。その結果、都市部にあるドラッグストアは大いに潤っている。

我が国ドラッグストアは、当初都市部中心に発展し、その後は郊外型の店舗が食品の大量販売で勢いをつけてきた。しかし、そのような郊外型の大手ドラッグストアではインバウンドが盛り上がると競って都市部にもインバウンド対応の店舗を出店してきた。しかし、同社はインバウンドには目もくれずに、地域の生活者だけに目を向けて、各種施策を実行している。それゆえ、インバウンドが減速した昨今でも同社の勢いは一向に衰えていない。

有賀の眼

一見すると、時々の流行に素早く合わせることは、企業戦略として賞賛されるように見える。しかし、それは逆に言えば、決して得意ではない分野で戦わなければならないことも意味するのである。そのような市場で、常に勝ち続けることは不可能であり、結果的に無駄な投資をしていることにならないだろうかと思う。

同社のように自ら得意とする分野について日夜考え、実行することで、その分野の第一人者になれるのではなないだろうか。その意味において、同社の勢いは当面衰えそうもないのである。改めて、どこかの真似をするのではなく、自社の大切にするものは何かと問いかけてみると、何か大切なものが見えてくるような気がする。

講師紹介

有賀泰夫(H&Lリサーチ代表/証券アナリスト)

埼玉大学生化学科卒業後、新日本証券(現みずほ証券)に入社。1982年から約30年間にわたり、アナリスト業務に従事し、クレディ・リヨネ証券、UFJキャピタルマーケッツ証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券…等で活躍。主に食品、卸売業、バイオ、飲料、流通部門を得意とし市場構造やビジネスモデ...>もっと見る

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