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財務・会計

2018.11.21

第148話【中小企業の投資に朗報です】

強い会社を築く ビジネス・クリニック

先月末の日経新聞の記事をみて、
思わず、“よしっ!”と口から出てしまいました。
皆さまも、次の記事を目にされているはずです。

『経済産業省と財務省は、中小企業の設備投資を促す税優遇措置を2019年度以降も延長する検討に入った。2年を軸に調整している。
今回は人手不足を解消するための効率化投資を集中的に支援する方向だ。

財務省は、生産性向上の効果が薄いものは対象外にするよう求めている。
これに対し、経産省は、働き方改革を踏まえ、効率化投資に手厚くなるよう訴える。具体的には中小企業の従業員の長時間労働解消につながるような設備投資や、社内システムのIT(情報技術)化投資などが候補に挙がっている。

私が、以前から奨めている即時償却が延長されるようです。

即時償却とは、投資した初年度に、
機械や備品などの投資額を、すべて減価償却できる、
という制度です。

キャッシュフロー経営の観点からは、
必要な経費は、できるだけ早く、大きく計上したほうがよいです。
この意味で、即時償却という制度は、
キャッシュフロー経営の申し子といえるのです。

さて、この即時償却をめぐって、
私は、税理士や経理マンと論争になることがあります。

税理士や経理マンの主張は、だいたい次の2つです。
① 即時償却をして、赤字になったら銀行の信用をなくします
② 即時償却をしてもしなくても、トータルの減価償却費は変わりません。
③ 即時償却よりも税額控除を採用しましょう。

こうした主張を聞くにつけ、
つくづく税理士の先生は、銀行や経営者のものの見方を
ご存じないのだとなーと思います。


まず①ですが、銀行は、営業利益を重視します。
特別償却は、名前のとおり特別損失ですので、
銀行からの評価が落ちることはありません。

次に②③の声もよく聞きます。
“税額控除”というのは、
投資をした年に税金を減らすことができる、という制度です。

減価償却は、通常どおり長期にわたって行いますが、そのかわり、
初年度の法人税の支払いを減らすことができる、という制度です。

簡単な例でいうと、
耐用年数が10年の1億円の機械に投資した場合、
即時償却を採用すると、投資した年に1億円を経費に落とせます。

対して、税額控除では、毎年1000万円ずつを経費に落としつつ、
投資した年に限り、投資額の10%分の法人税を減らすことができます。

確かに、長い目でみれば、
即時償却でも、通常どおりの減価償却でも、
償却できる金額そのものは、1億円で変わりません。
それなら、税額控除を採用したほうが、オトクではないか、となるのです。

しかし、経営者のみなさんには、次のことを考えていただきたいのです。
1. 即時償却をすれば、資産が膨らまず、筋肉質な体型を維持できる

2. 会社が成長するには、常に投資をし続ける必要があり、
そのためには投資したお金を、早く回収して、さらに投資することである。

3. 法人税は今よりも下がる傾向にある
それなら、いまのうちに経費で落としたほうが、税務対策としては効果的である

4.5年後、10年後、15年後も、利益が出ているかわからない。
  即時償却を実行しなければ、固定資産の耐用年数にわたって、
  毎期、毎期、一定金額が経費として落ちてゆきます。
  将来、もし利益が出なくなったときでも、経費にせざるを得ないなら、
  利益が出ているいまのうちに、経費を落としておいたほうがよい。

税理士さんの主張というのは、
あくまで電卓をたたいたうえでの計算上の判断です。

しかし、会社は生き物です。経営環境は、常に変化します。
経営的な観点からは、やはり、即時償却をお勧めするのです。

ちなみに、税制改正の内容は、例年12月初旬に公表されます。
ですから、来月のこの時期には、顧問税理士に税制改正の内容を確認し、ぜひとも、投資の備えをしてください。

講師紹介

井上和弘(アイ・シー・オーコンサルティング会長)

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