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健康・メンタルヘルス

2018.10.23

第7回 黄金崎不老ふ死温泉(青森県) 真っ赤な夕焼けに酔いしれる「海の絶景温泉」

これぞ!"本物の温泉"

■五感を刺激する波打ち際の露天風呂
 温泉は五感で堪能するものだ。入浴する際は、湯の色、硫黄の香り、湯が注がれる音などに温泉情緒をかき立てられる。「飲泉」といって飲んで味わえる温泉もあるし、湯の肌触りは泉質によって多種多様である。五感をびしびしと刺激する温泉こそ、上質の温泉だといえるだろう。

 そういう意味では、ロケーションは五感を左右する重要な要素だ。湯船の前に広がる大海原、雄大な山々の風景、太陽に照らされてキラキラと光る渓流などなど……。露天風呂から心を打つような風景を拝める湯を「絶景温泉」と私は呼んでいるが、景色のすばらしさは大いに五感を刺激してくれる。

 そこで今回は、海の絶景温泉を紹介したい。青森県の日本海側、大海原を一望できる海岸沿いに湧く「黄金崎不老ふ死温泉」は、絶景が自慢の一軒宿だ。

 同温泉の名物は、波打ち際にある露天風呂。混浴(実質的に男湯)と女性専用に分けられた湯船には、潮風が吹きつけ、すぐ近くまで日本海の荒波が押し寄せる。波の高い日は利用が制限されることもあるほど。頭上を見上げれば、海鳥が風に任せて気持ちよさそうに飛んでいる。まさに海岸と一体化したロケーションだ。

 老ふ死温泉は、絶景の湯船としてよくメディアでも取り上げられるが、写真や映像と見るのと、実際に湯船につかるのとでは大違い。まわりを遮るものがない開放感や潮の香り、吹きつける海風、海鳥の鳴き声などは、はるばる足を運んだ人でなければ実感できない。

 

■クライマックスは夕暮れ時
 同温泉の露天風呂は、夕日が美しいことでも有名だ。私も夕暮れどきに入浴したが、残念ながら太陽が沈むはずの水平線は厚い雲に覆われていた。

 「今回は夕日を拝むことはできないだろうなあ」と半ばあきらめ、温泉に浸かったり、湯船のふちで涼んだりを繰り返していたが、日没の時間直前に、わずかな雲の隙間から夕日が姿を見せてくれた。たちまち空が茜色に染まっていく。

 その神々しい光景に、男湯だけでなく、女湯からも感嘆の声があがり、露天風呂は幸せなムードに包まれていった。太陽が顔を見せてれた時間はほんの数分だったけれど、忘れられない感動的な時間だった。

 

■成分濃厚な湯がかけ流し
 魅力は絶景だけではない。温泉の質そのものも個性的だ。混浴のひょうたん型のユニークな湯船には、赤みをおびた黄褐色の湯がかけ流しにされている。見た目にも効きそうな湯である。

 泉質は海岸近くの温泉に多く見られる塩化物強塩泉。海水のような塩辛さに、錆びた鉄のような風味が合わさって強烈なインパクトを放っている。

 パンチのきいた濃厚な湯であることは、汗のかき具合でわかる。心地よい潮風に吹かれているにもかかわらず、10分も浸かっているとジワーッと汗がにじみ出てくる。

 湯は少しぬるめなので、水平線に見とれてのんびり浸かっていると、知らず知らずのうちにのぼせてしまいそうだ。それもそのはずで、温泉に含まれる成分総量は20g/kgを超える。これは一般的な温泉の数十倍の成分の濃さである。

 いくら絶景の湯船でも、湯が循環ろ過され個性を失っていては、その魅力は半減である。実際、景色はすばらしいが、本来の源泉の特徴が消え、殺菌に使う塩素の臭いが気になる温泉も少なくなり。景色もいいが、温泉の質もいい。それが真の「絶景温泉」だと定義したい。

 なお、ほかにも南紀勝浦温泉・ホテル中の島(和歌山県)、たまて箱温泉・ヘルシーランド(鹿児島県)、地鉈温泉(東京都)、相泊温泉(北海道)、東温泉(鹿児島県)など、全国各地に海の絶景温泉は点在するので、ぜひ温泉選びの参考にしていただきたい。

 

講師紹介

高橋一喜(温泉アナリスト)

 千葉県生まれ。上智大学卒業後、2000年ビジネス系出版社に入社し、経営者向けの雑誌やビジネス書の編集に携わる。2008年3月、温泉好きが高じて会社を辞め、「日本一周3000湯の旅」に出発。386日かけて3016湯を踏破。現在はフリーランスとして書籍の編集・ライティングに携わるかたわら、温泉ライター...>もっと見る

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