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コミュニケーション

2018.09.28

第122回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方43 やってはいけない社員教育

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手

 前回、前々回で「教えながら学ぶ」についてお話しました。今回は、「やってはいけない社員教育」についてお話します。
 数年前から「指示待ち人間」という言葉を聞くようになりました。その頃入社された方々が教育をする立場になってきたことと関係するのでしょうが、「親切に、かつ易しく教える」傾向が強くなっていると感じます。すぐに動いてもらう近道かもしれませんが、それでは相手の考える力や自立心育てる機会を奪ってしまうことになります。
 簡単な例で説明します。例えば来客の訪問時のご案内では、お客様の少し前をお客様と身体を「半身ずらして」お案内します。この時の指導をここまでの言葉で終わらせてはいけないのです。半身ずらすという事象の説明は頭に残りにくいです。例えその時うまくできても、それでは中途半端な教え方です。何故半身ずらすのでしょうと問いかける、考えさせることが必要なのです。「何故」を入れずに教育すると、一つの状況のみの対応しかできません。その状況が少しでも変化すると、マスターしたことに該当しないので対応ができなくなってしまいます。
 何故を投げかけたときの相手の答は、まずはそんなふうにも考えられますね、と受け入れます。正解がでないとき、そこですぐ理由を教えてしまうとせっかく考えてもらった時間が無駄になってしまうので、ヒントを与えます。お客様は進行方向が見えるのと見えないのはどちらがいいと思う、どちらが安心すると思う?と尋ねます。教えた人の口から正解を言ってもらうのをゴールとします。実際、以前私がある会社に伺ったときの体験です。ご案内されてから3メートルも進まないところに、廊下の幅と同じ幅でそのまま天井の高さまでの鏡がありました。私はお案内してくださる方の後ろ姿が見えていただけだったので、その方が鏡の直前で急に右折し、自分の姿が鏡に突然全身映ったときは大変驚きました。入り口に割合近いところで通路が右折になっている構造のためか、進行方向に圧迫感がないよう一面に大きな鏡を設置されたようです。半身ずれてご案内していただいていれば先の様子も見えますから起こらなかった驚きでした。
 ご案内のとき、自分はお客様の大よそ2メートル先を半身ずれて先に進みます。では次に、お客様は廊下のどの位置を歩いていただくか。理由を求めずに結果だけ教えるのでは理解が広がりません。お客様は廊下の端を歩いていただく、それとも真ん中を歩いていただくと質問します。そして正解が出たら、前述と同じようにそれは何故とさらに聞きます。「お客様第一だから」、または「お客様に軸足を置くため」などの答えが出るでしょう。
 そこでたたみこむように次の質問、「お客様をご案内中、前から社長が歩いてきたらあなたはどのような動きをしますか」と尋ねます。
順番に質問してきたことを理解が出来ていれば、少しも難しくありません。迷いなく、あなたは社長に道を譲らずそのままご案内を続けるでしょう。自社内のヒエラルキーより、会社とお客様との関係が優位だからです。もしあなたが反射的に社長に道を譲ってしまうと、お客様に「私も社長に道を譲らなくてはいけないかしら」と気を使わせてしまいます。決して良い来客応対にはなりません。
 この理解がしっかりしていると、例えば言葉遣いでも迷うことがありません。あなたと上司とお客様との会話の場面で、敬語を使う相手はお客様であるとすぐにわかります。うっかり上司に敬語を使ってしまうことなど起こらないのです。
 応用の効く人材を育てるには、言葉数や時間を使うだけでなく忍耐も必要です。古い諺にもある「急がば回れ」ではないでしょうか。

講師紹介

松尾友子(コミュニケーションインストラクター)

「お客様に好かれてはじめてお取引が始まる」。そのためにはお客様とのコミュニケーションの大切さを社員一人ひとりが意識することが重要だと主唱。好感をもたれる「ビジネスマナー」、的確な「電話応対」、当たり前ができる「仕事の基本」など、きめ細やかな指導で、新人からベテラン社員まで多くの企...>もっと見る

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