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人事・労務・採用

2018.08.22

第8回 ハラスメントに対する教育が必要なのは管理職よりも社員である!

職場の生産性を下げるハラスメントの予防策

電車で管理職と思われる人がこのようなことを言っていました。

「ちょっと厳しく注意するとすぐパワハラと言われるからもうあいつとは関わりたくないな!」

これを聞いてハラスメント問題の本質を感じました。
従来は加害者となる可能性が高い管理者層に対してハラスメントの啓蒙を行っていたと思いますが、今後は社員に対してもやっていく必要があると思います。


「相手がハラスメントと感じたらハラスメントになる」は正しいのか?

ハラスメントで一番争点となるのは、いわゆるボーダーラインです。
例えばパワハラの場合、どこまでが指導でどこからがパワハラなのか?
という判断が難しいです。

部下に良かれと思って指導したことがパワハラと言われたら、上司としては

「また何か言うと面倒くさいからあいつと関わるのはやめよう」

と思うかもしれません。よく言われるのは

相手がパワハラと思ったらパワハラになる

ということですが、私はこれを鵜呑みにしてはならないと思っています。
例えば時間にルーズな部下が2人いたとします。
ビジネスにおいて時間を守るというのは基本的な事ですから、上司としては、部下が時間にルーズなのであれば注意するのが普通です。

「ビジネスマンとして時間を守るのは当たり前のことだ。遅刻なんてありえない。
 10分前行動を心がけろ!」

と注意したとします。
一度で直れば良いですが、直らなければ伝え方が厳しい口調になるのも仕方ないでしょう。
同じ注意をしてもAさんは

「部長は私のことを思って言ってくれてるんだから感謝しなくては!
直せない自分が恥ずかしい」

とありがたく感じる一方でBさんは

「何であんなに厳しく怒られなきゃならないんだ!これってパワハラじゃないか?
許せない。」

と感じるということはあります。
もし相手がパワハラと感じたなら同じ行為(正しい事)をしてもAさんはパワハラにはならず、Bさんはパワハラということになります。
上司が言っていることは客観的に見ても正しいでしょう。

 

正しい行為がハラスメント扱いされることで生ずる指導放棄

人材育成の原理原則の1つに「人によって指導方法を変える」ということがあります。
これはその通りです。
端的に言うと褒めた方が伸びるのか、少し厳しめにした方が伸びるのかなどを見極めて人によって指導方法を変えるということです。指導方法には伝え方も含まれるでしょう。
しかし上司も人間ですから、注意しても何度も同じミスをされればイライラもしますし、
口調が荒くなるのは仕方ないと思います。

客観的に見れば時間にルーズということは直すことであり、できていなければ注意するのは当たり前です。
この当たり前のことを注意したのに社員からパワハラと言われ、会社はその上司に

「相手がパワハラと感じたらパワハラなんだよ。だから気をつけてくれ」

と言ったらその上司はどう感じるでしょうか。

「だったらどう言えばいいんだよ。こっちはただでさえ忙しいのにいちいち気を遣ってられるか。Bは面倒な奴だから関わらずもう放っておこう。」

となるのではないでしょうか。これは実際に似たケースがありました。
このように何が正しくて何が間違っているのかということをある程度明確な基準が分からないと上司は部下育成を放棄するようになります。
すると下記のようになります。

① 部下に問題があっても注意しない。
② 部下は注意されないので変わらない、もしくは悪化する。
③ 他の社員に悪影響を及ぼす。だらしない社員が増える。
④ まともな社員は会社に不信感を抱く。辞めていく場合もある。
⑤ 職場のモラルが崩壊する。

人が育たないだけでなく、会社の風土も悪化していきます。

 

管理職だけではなく、社員への啓蒙が必須

ボーダーラインが分からないがゆえに、社員からのパワハラという申し出に会社は過敏になっている感があります。
したがって会社としてはハラスメントの基本定義をふまえた上で、自社では何をやってはだめで何がハラスメントになるのかということを話し合って決めていくことが必要だと思います。

通常はハラスメント研修などをやる時は、管理職だけにやることが多いです。
私は管理職だけでなく一般社員に対しても何がハラスメントになるのかということを伝えてハラスメントに対する自己流の解釈をしないようにすることが大事だと思っています。
今まではハラスメントは経営者層や管理職にリスクを啓蒙するというのが主でした。
しかしこれからは社員も含めて全社的に自社においてどのような行為がハラスメントになるのかということを考えていくことが必要です。

ハラスメント対策 1.0  経営者層、管理職層にリスクを中心に伝える。
ハラスメント対策 2.0  全社としてハラスメントの基準を共有する。

今までは行為者となりうる側に対しては何をやってはいけないかということを伝えてきました。しかし昨今は自分の都合の良いようにハラスメントを解釈する社員が増えて、ハラスメントでないこともハラスメント化されることが増えているので従来のやり方だけでは問題を解決することはできないのです。

講師紹介

野崎大輔(日本労働教育総合研究所 所長 グラウンドワーク・パートナーズ株式会社 代表取締役)

上場企業の人事部でメンタルヘルス対策、問題社員対応などの労働問題の解決に従事した後に社労士事務所を開業。労働紛争予防解決のスペシャリストとして300件以上の問題社員対応、あっせん、組合対応等の労働問題を解決し、関与した顧問先については労働問題がほぼ発生しなくなる。 労働問題を発生させ...>もっと見る

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