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成功哲学・人生哲学

2018.08.24

第168回 『 動く組織、動かぬ組織』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

経済同友会の何かの会合の折だと記憶している。
その業界ではトップにランクされ、
全業種的にみても日本を代表する企業の社長がこういうではないか。

「私どもは古い会社ですからね。
 組織が大きく固定され、
 機械の歯車のようなところがあるのです」

発言に至った経緯は次の通りである。

社内機構の改善策を海外にあるコンサルティング会社に依頼した。
そして、依頼した先からレポートを受けたまではよかったが、
そこから社長のところまで報告書が届くのに、二か月もかかった。
理由は、翻訳に時間がかかったからだそうだ。

もちろん、名だたる大企業の社長であるからして
英語は難なく読み書きできるにもかかわらず…である。

日本ばかりか海外でも数多くの企業を見てきた私だが、
この発言を聞いた時には、ショックというよりは、
こんな会社が今どき存在し得るのかと、
ある意味で感動(?)すら覚えたものである。


極端な例を出したが、いまや、
《大きいことは、いいことだ》という神話は崩れ、
組織は小さい方がベターという考え方が一般的になっている。

もっと具体的に組織の在り方について掘り下げてみよう。

ややもすれば、組織作りは、
経営トップや幹部の専権事項であり
中間管理職にとっては関係がないと思う向きがあるが、
それは誤った考えである。

部や課を活性化させたり、効率的・効果的な部や課の運営を図ることは、
部下長の大きな仕事のひとつである。

ましてや、もっと上を目指そうというからには、
避けてはと売れないテーマである。


初代内閣安全保障室長であった佐々淳行氏は、
危機管理をテーマに『平時の指揮官 有事の指揮官』という本を著し、
現場指揮官のあり方について説明している。

その中で、有事にあっては、
《ショートサーキット》がポイントであると指摘している。

ショートサーキットとは、例えば、
課長として直属の部長に報告すべきところを
常務や専務、あるいは経営トップに直接報告するといった具合に、
《階級を飛び越えて報告・命令》することである。

もとをただせば、リーダーシップ論の古典ともいうべき
米海軍士官候補生のための読本である『リーダーシップ』に示されていることだが、
これ、佐々氏が「平時においては慎め」といっているように、
一方では、いらぬ不協和音を生むもとである。

例えば、あなたが課長として部長から
「係長がこんなことを言ってきたが、君はしっているか?」
…こういわれたとしたら、面白いはずがないであろう。
不愉快になること必至だ。

感情の問題だけにとどまらない。
競合他社の代理店を引き抜くために、
通常より仕切り価格を下げなければならないと問題があったとして、
課長の知らないところで部長と係長との間で決定されたとしたら、
組織は混乱していくものである。

とはいえ、佐々氏が専門とするところの
国家や国民の危機をしての《有事》とは必ずしも同一レベルにはないが、
会社においては常に有事であると考えれば、リーダーたる者、
このショートサーキットを頭に入れておかねばならないのも、また事実である。

先ほどの例でいえば、ことは緊急を要し、
課長が不在のところで決定をしなければならないケースも出てくる。
その際には、どう対応すべきかといった、システムを作っておくことも求められる。

その意味で、
シンプル・スモール・スピーディ(簡素に・小さく・素早く)という
《3つのS》を意識して組織をつくりたい。

部長や課長の一存で組織変更はできないという現実もあろうが、
現状のままの組織においても、《3つのS》を意識するのとしないのとでは、
ずいぶん差が出てくるものである。

3つのSを基本として部や課の活性化を図り、効率的・効果的な運営をするために
リーダーシップを発揮していってはどうだろうか。

 

講師紹介

新 将命(国際ビジネスブレイン 代表取締役)

1936年生まれ。早稲田大学卒業。海外留学の経験なしで、MBA出身者がしのぎを削る外資系企業に挑戦。卓越した経営能力と抜群の実績で、ジョンソン・エンド・ジョンソン、日本コカ・コーラ、日本ホールマークなど、グローバル企業6社で社長・経営職を歴任。国内においても、RIZAPグループ取締役、住友...>もっと見る

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