第167回 一人の上司につく部下の数

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

成功哲学・人生哲学

2018.07.13

新 将命(国際ビジネスブレイン 代表取締役)

部長付や部長補佐といったように、
「○○付」「○○補佐」という肩書を廃止する企業が多くなっている。

私にいわせればもはや遅すぎたくらいで、「○○付」「○○補佐」など、
どういった権限があるのか明確でない肩書・階層は、なるべくなくすことが基本だ。

もちろん、銀行の「支店長代理」といったように
ライン職であるのがはっきりしていれば問題はそうないが、
これらのポストにしてもスタッフ機能を持たせてしまうと
責任の所在があいまいになってしまう。

そうしたことを含め、
「シンプル・スモール・スピーディーという組織を実現するためには、」
「統制範囲マクシマムの原則」についても心をくだく必要がある。

マクシマムということは最大限ということだが、この原則は、
一人の人間が持つ部下の数は、できるだけ多い方がよいということを意味する。

これが実現できれば、階層の削減にもつながるし、
部下を率いる側についていえば責任が広く重くなるので、
人材として育ちやすいというメリットも出てくる。


一人の上司が何人の部下を持つのが適当かは、
当然ながら、仕事の内容によって変わってくる

反復的・定型的な仕事になりがちな営業の場合は、
ある程度部下の数は多くてもいい。
営業支店長や所長であれば、1人で10人から15人の部下を持っていてもいい。
製造部についても同じことがいえる。

スタッフの場合はどうだろうか。
かたや広告宣伝担当のデザイナー、かたや総務といったように、
とくに違った形の機能を持つスタッフを抱える場合には、
4~7人程度が限界かもしれない。

いずれにせよ、どういったケースでも、
多いと思われるくらいの部下を管理させた方が、上司も育つし、部下も育つ。

最悪なのは、一人の部下に一人の上司というパターン。
人を育てることにはならないし、人件費がかかるばかりで、メリットは一つもない。

私の長年におよぶ体験から得た結論だ。


経営トップを対象に話を進めてきたが、
中間管理職であれば、この問題にどう立ち向かえばよいのだろうか。

部や課の増員を求めないことである。
営業部門であれば、「売上が上がらないのは営業マンが少ないからである」
と思わないことだ。

そもそも、
「売上を20%アップさせるためには、人員も20%増やさねばならない」としたら、
生産性の向上や収益性の改善をどこに求めるのか…。

できる限り少ない人数で、売上と利益の継続的な改善を図る。
こうしたスタンスを採用することによって、
部や課の体質は強化されていくのである。

そもそも増員しなければならないとすれば、
その前に、「既存の部員の教育と活用」に心をくだき、
能力のアップを実現してからのこととしたい。

理屈をいえば、
「既存の部員が、それぞれ二倍能力アップすれば二倍の仕事ができることになる」
のだから、このことを肝に銘じたいものだ。

 

講師紹介

新 将命(国際ビジネスブレイン 代表取締役)

1936年生まれ。早稲田大学卒業。海外留学の経験なしで、MBA出身者がしのぎを削る外資系企業に挑戦。卓越した経営能力と抜群の実績で、ジョンソン・エンド・ジョンソン、日本コカ・コーラ、日本ホールマークなど、グローバル企業6社で社長・経営職を歴任。国内においても、RIZAPグループ取締役、住友...>もっと見る

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