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(最終回)著者よりメッセージ

(最終回)著者よりメッセージ

 一年にわたりカエサルについて書き継いで来て、一つの時代の転換期に信念を持って生き抜いたこの男の大きな魅力は書き尽くせないでいる。
 
 私がカエサルという男に出会ったのは、学生時代にラテン語学習の教本として『ガリア戦記』をかじり読みしたことに始まった。
 
 その簡潔明瞭な筆運びには、語学教本として馴染んだのであるが、綴(つづ)られた真の内容にまで理解が及んだわけではない。
 
 数年前に書棚から、何とはなしに教本のアンチョコとして使った古びた訳本を取り出して通勤の車内で読み進めて、惹きつけられた。
 
 「これは単なる英雄譚ではなく、リーダーとは何か、の教本ではないか」と。
 
 カエサルについての評価は人によって好悪に二分される。とくにルネッサンス期以降、近代民主主義がローマの共和制を理想とするヨーロッパ思潮の中では、負の評価がつきまとった。
 
 いわく「共和制を潰した男」、あるいは「独裁の道を開いた男」「功利主義者」。総じて言うと、分(ぶ)が悪いのである。
 
 しかし、時代がカエサルを求めたのは間違いない。そして彼が時代を動かした。都市国家ローマが世界帝国に発展する過程で、非効率な共和体制は行き詰まっていた。それを打破する方策を見抜いていたカエサルは、揺るがず実行に動く。
 
 敵を追い詰めることなく赦(ゆる)し、部下に慕われ、信念を曲げず。ガリア戦役、内乱を戦い抜く過程で、彼が身につけ組織を率いた行動原理は、二千年の時を経て、時代環境は変わったとはいえ、普遍的なリーダーシップのあり方を示している。
 
 稀代のリーダー、カエサルの人生を貫いているのは、その決断と行動の速さと、部下への方針の徹底、揺るがぬ姿勢と、責任を引き受ける気概の見事さである。
 
 戦いの局面に限っても、彼が取った戦略、戦術は、私が時を同じくして読んだ古代中国の兵法書『孫子』の一節一節に符合する。
 
 この不思議さに「カエサルは孫子を読んでいたのではないか」との妄想もよぎったが、何のことはない、「普遍原理」とはそうしたものだと気づいた。
 
 リーダーに求められるもの。第一に、情報と人の意見を吸い上げての的確な判断。二つめは、迷うことのない素早い決断と行動。そして、三つめは、吉と出ようが凶と出ようが、決断の結果に対して自ら責任を引き受けること。
 
 何をいまさら、とお思いかもしれないが、これが容易ではないから、人も組織も往々にして迷い、彷徨(さまよ)うのではないか。
 
 年明けからの次回シリーズでは、古今東西の各界の指導者たちが、それぞれ遭遇した窮地に、リーダーシップをどのように発揮し乗り越えたかを、カエサルに触発された興味に導かれて探ってみようと思う。
 
    2013年12月24日

                                   著者 宇惠一郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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経営コラムニスト紹介

宇惠一郎

宇惠一郎氏  元読売新聞東京本社国際部編集委員



 早稲田大学卒業後、商社を経て、1978年読売新聞社入社。社会部、外報部、95~98年ソウル支局長。帰国後、解説部次長、2007年編集委員。2011年4月〜2012年8月ソウル支局長(専任部長)、2012年9月編集委員、現在フリージャーナリストとして活躍している。

 主な著書と受賞歴
 「理解と誤解 特派員の読む金大中の韓国」
  1997年「第1回 サムスン言論大賞特別賞(海外部門)」受賞

連絡先 ueichi@nifty.com
 

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