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第26号 「ミール・アッセンブリー(Meal Assembly)」(3)

第26号 「ミール・アッセンブリー(Meal Assembly)」(3)

【ミール・アッセンブリー ~誕生からの軌跡~
  ワイオミング州にあるミール・アッセンブリーの業界団体
「イージー・ミール・プレップ協会(Easy Meal Prep Association) 」によると同業態が生まれたのは1999 年。
その後、ゆっくりと広がり、2004 年はじめには業界全体で75 店が観測されている。
  そして、2005 年、スーターバックス元役員がドリーム・ディナーズ社へCOO として招聘されたことがきっかけとなり、
業界における同業態のプレゼンスが俄かに高まった。

  2006 年5 月時点では284 社775 店を数えるまでに成長。同年の市場規模は推計2 億7000 万ドル(約324 億円)。
毎月40~50 店ペースで増え続け、2006 年末には1100 店を超えた。 ※2007 年6 月1 日時点では447 社1371 店。

  展開数が三桁を超える大手は、スーパーサパーズ(本社テキサス州212 店)、
ドリーム・ディナーズ(本社ワシントン州210 店)の2 社。
  その他、ディナー・バイ・デザイン(本社イリノイ州57 店)、マイ・ガールフレンド・キッチン(本社ユタ州40 店)、
サパー・タイムUSA(本社ネブラスカ州35 店)、ミール・メーカーズ(本社ミズーリー州31 店)、
レッツ・ディッシュ!(本社ミネソタ州31 店)などが二桁の展開数で上位2社に続いている。


【ドリーム・ディナーズ社
                  ~ミール・アッセンブリーのパイオニア企業~
  ドリーム・ディナーズは2002 年3 月に2 人の女性起業家(現CEO ステファニー・アレン氏と同CFO ティナ・クナ氏)が
ワシントン州シアトル市郊外で創業。
  2003 年6 月には早くもFC 展開を開始。当初の半年間に6800 件を超えた申請者から、厳選の末、35 の新FC 店が
誕生。現在も、FC への申し込み数は週125 件に上る。
  2006 年6 月30 日時点では、32 州に208店(直営2 店。FC206 店)を展開。フランチャイズ加盟金3 万5000 ドル。
グランドオープニング・マーケティング料1 万ドル。ロイヤリティー6%。マーケティング料(広告協力費)2%。
出店コストはだいたい20 万ドル~25 万ドル。現在、国外へもFC 展開の準備中。

  アレン氏とクナ氏の事業目的はふたつ。「人々の生活をより楽にすること」と
「失われつつある家庭の食卓を復元すること」。
  アレン氏は特に、店名の「ドリーム・ディナーズ」は、『「ドリーム・ママ」、「ドリーム・ワイフ」の実現を意味している』
という点を強調している。
  中核顧客は、ミドルからアッパーミドルクラス、子供を持つ母親だ。最近では、店舗数の増大に伴い、顧客層も意外な
広がりを見せはじめ、シングル層、エンプティネスター(子育てを終えた夫婦2人暮しの層)、シニア層などにも
利用が拡大している。
  両氏は、昨06 年、国際会計事務所のアーンストアンドヤング起業家大賞を受賞した。

■国際会計事務所アーンストアンドヤング起業家大賞の授賞式にて
    (左)ドリーム・ディナーズ社CEO ステファニー・アレン氏
    (右)同CFO ティナ・クナ氏
  写真提供:ドリーム・ディナーズ社


【ドリーム・ディナーズFC 店】
  ドリーム・ディナーズの本質に迫るためセッション(集まり)を体験してみた。
  予約はとある金曜日の午前10 時から。「一体どんな仕組みなのだろうか」とワクワクしながら訪問。店はアリゾナ州
フェニックス市南の瀟洒な住宅地アワターキーの近隣型SC の一角にあった。同店は2004 年10 月オープン。
  本社CEO の説明では、FC オーナーのミッシェル・オチェンコスキー氏はコミュニティーへの奉仕精神旺盛な同社が
理想とするオーナーのひとりである。
  入店すると店のスタッフが笑顔でお出迎え。その後、親切に店内を案内、作業手順を説明してくれた。

  プロトタイプ42 坪の店内風景は、レストラン仕様のステーションが6台配置され、一度に12 人までが作業可能。
整理・整頓・清掃が徹底して気持ちよい。作業動線のボトルネックも見当たらない。定置管理がしっかり出来ているため
作業がとてもしやすそうだ。
  食材はすべて外食卸の最大手シスコから下処理済で搬入され、店側も仕込みの作業を一切しない仕組みだ。
だからキッチンには、調理用ストーブ、ダクトも無く、水まわりも手洗いのシンクがひとつだけ。これなら見た目より
コストは掛からない。オペレーションは楽だろう。上手く作っている。

■全米第1位の外食卸シスコがミールアッセンブリーのバックヤードを支えている。

  さて、店内をひと回りしたところで、作業を始める。当日のお客は計9 名。スタッフ4 人。筆者と家人以外は
全員白人女性だった。
  作業フローは先述(第25 号参照)の通り。そして、予定の1時間で無事アントレ6 種類(24 人前~36 人前)が
完成した。

  筆者の感想は「ひとりでする下ごしらえと比較し、何とも楽。これを素材から始めたらどんなに大変なことだろう」。
しかも価格はQSR(1 人前・約3 ドル)並み。その上、持ち帰ったReady to Cook で「手づくり感」を限りなく100% 近くまで
演出できるなら、そりゃ主婦は喜んで来るだろう。また予想以上にレシピがおしゃれなのにも驚いた。

  ホームパーティー用の利用も増えているというが、一品一品見栄えがしそうな料理なのだ。家人は、
ドリーム・ワイフを超えて、スーパー・ワイフになれてしまうと言っていた。目の前に必要な材料と調味料が
全て揃っているため、エスニック系の珍しげな料理さえ簡単にできてしまう。
自分の能力に、かなりゲタを履かせてくれる場所になっているのではないかということだ。

  そして最後に調理時の簡単なレシピ(指示)が書かれたシールをフタに貼って完成となる。
  このシールには例えば「解凍後、ソースと具材の全てを鍋に入れ、30 分間、フタをせずに中火で煮る」などと
書かれている。


以下は、シグニチャーディナー「南米風チキンライス」の調理前と調理後の状態:

調理前(自宅に持ち帰った状態)


フタに貼ったシールには
「自然解凍後、ソースを全体にまわしかけ、フタをして375 度(華氏)で1 時間15 分焼く。
フタを取ってチーズをかけて5~10 分程度焼く」とある。

調理後(完成)



※ 本稿は、2006年7月31日発行のフードビズ22 号に掲載の
  「USA 発特別版話題店の肝『ドリーム・ディナーズ』」に寄稿した記事を一部
  抜粋、本テーマの構成に合わせて加筆・修正したものです。
             http://f-biz.com/mag/?bkn=022



※米国進出(レストラン)をご計画の方、お知らせください。山本がお手伝します
             http://www.foodinfotech.us

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経営コラムニスト紹介

Food Information Technology フードビジネスコンサルタント 山本洋三氏

山本洋三氏
Food Information Technology
フードビジネス
コンサルタント

米国の成功法則を、どうすれば日本で横展開できるのか…。

独自の『業態ワンボイス(ひとこと集約)』論コンサルティングの応用で、
米国のビジネスモデルをアレンジ。無理のない方式で日本企業への導入に
成功している注目のコンサルタント。


常に“まず訪ねる、まず観る、まず触れる”の現場主義を貫きながら、
「業態論」と「ブランドマーケティング論」の理論的側面からの考察をも併せて、
成功要因とリスク回避の方策を分析。
食品メーカーや大手料飲サービスFCをクライアントに有し、社長直属の
“知恵袋”としての情報提供や、年2~3度の帰国に合わせた
「流行・定点観測セミナー」の開催など、日米をフィールドに活躍中。


1957年兵庫県生まれ。79年、京都外国語大学英米語学科卒業後、渡米。
ロサンゼルス地区にてレストランに勤務。
その間、ハリウッド(映画・音楽・テレビなど)の授与式や
オープニング式典等のケータリング・演出を数多く担当する。


97年、その手腕を請われて流通コーディネーターに転身。
00年、フードサービス専門コンサルタントとしてMDPアソシエーツ
(カリフォルニア州モントレーパーク)に参画・独立。
01年、『業態ワンボイス』論コンサルティングをさらに拡げるべく、
フード・インフォメーション・テクノロジー
(FIT社、アリゾナ州スコッツデール)を設立、現在に至る。

山本氏が代表を務めるFIT社は、フード・ビジネスを中心としたコンサルの他、
「日本経営合理化協会アメリカ視察団」等、一般公募視察の現地コーディネート、
また、企業ごとにカスタマイズするオーダーメイド現地研修、米国企業との
交渉・業務提携の仲介業務などを専門支援する。

『アメリカ社会と外食マーケット論考』
(柴田書店「月刊食堂」2004年9月号~2005年2月号)
MOOK『NYデリ・カフェ、LAファストカジュアル』
(柴田書店)の構成・執筆協力、 『フードビズ』(株式会社エフビー、 15号より連載)
他、専門レポート等の執筆多数。

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