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第25号 「ミール・アッセンブリー(Meal Assembly)」(2)

第25号 「ミール・アッセンブリー(Meal Assembly)」(2)

さて、HMR というバスワード(流行語)から飛び出したミールアッセンブリーという新業態について早速ご紹介していこう。

【ミール・アッセンブリーとは何か】

  タイムセービングと調理放棄に大いに貢献した、既存の「HMR(家庭の食卓代行)」。
  “主婦業を休もう”“主婦業を捨てよう”というメッセージは、忙しい消費者からの支持を獲得。
スーパーマーケットに並ぶ簡便性食品はますます高品質化し、主要チェーンレストランは
テイクアウト機能を高めるなど、食生活はより便利で豊かになった。

  しかし便利が当たり前になった昨今、より高度化した新たな欲求が生まれてきたのだ。
 “家族の好みのレシピにしたい”“味付けは自分で決めたい”“夫や子供のアレルギーに対応するため、
食材は自分でチェックしたい”、しかも、“仕事、家事、子育て…、何でもできる自分でいたい”、
という忙しい主婦層の ≪わがままな願い≫ である。
 この、新たな願いに応えて料理に関わる時間と労力の節約を提案するのが
ミール・アッセンブリー
だ。

 では、ミール・アッセンブリーはどのような方法でその願いを解決してくれるのだろうか?
2006 年に訪問した業界大手「ドリーム・ディナーズ社」の事例を、弊社のコンセプト分析シートに
落とし込んで説明を試みたい。

※どの企業も、価格とフローはほぼ同じ。

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<山本洋三のコンセプト分析シート>

≪ミール・アッセンブリー≫

ニーズ(生活者の抱える 問題、不満、希望、願い)
1. 料理は大変
  料理は決して嫌いではないが、全部するのは大変
    (表1参照、ただし手順の6と7は好きな人が多い)。



* 夫用、子供用、朝・昼・夜、栄養バランス・・・、連日のメニュー考案は大変
* 子供と一緒の買い物は大変(子供がトイレに行きたくなったり、騒いだり)
* 仕込み中に子供たちがわいわいとキッチンに入ってくると危ない、集中できない
* 料理を全部きちんとやると、本当に時間がかかる(表1の1~8)

 

2. 既存HMRへの不満
  既存のHMR(冷凍食品、ドライブスルーやテイクアウト、デリバリー
ピザ、スーパーのデリ)
は、便利だが・・・

* 素材の安全性が心配、100%好みの味つけではない、アレルギー対応が不十分
* 料理をサボっていると家族や周囲から非難される、罪悪感
* 料理の楽しい部分(表1の6と7)まで奪われてしまい充実感が得られない
      (料理は嫌いではないので)
* 割高感がある



ご提案
  *そこで、ミール・アッセンブリーのセッションに参加しませんか!
    約束(ワンボイス):『ステキな主婦業を応援します!』

 ≪業態コンセプト≫
1. 料金体系とコース (※アントレ: メイン料理)
(A)アントレ12種(1種類4~6人分):200ドル
      こちらをたったの2時間でつくれるようコースを設計しました!
(B) アントレ6種(1種類4~6人分):120ドル
      こちらをたったの1時間でつくれるようコースを設計しました!
* 1人前が約「3ドル」となるよう設計してあります


2. 仕組み
(1) 上記の(A)(B)を、『セッション(集まり)』と呼びます

(2) セッションのご予約とお支払いは事前にWEB上でおこなってください。
  店舗(場所)と、日時、そしてメニューをお選びいただけます。

(3) ご予約日に各店へいらしてください。


(4) あらかじめ準備された食材(切りつけ済)や調味料を「レシピ」に従って
  組み合わせるだけです。


(5) 通常1時間(アントレ6種類)、もしくは2時間(アントレ12種類)で準備が
  できるよう設計してあります。



(6) 各アントレは、『調理の下ごしらえがされている状態(Ready to Cook)』で
  完成といたします。


※洗い物、後片付けは、すべて店のスタッフにお任せください!


(7) 各アントレを冷凍用パック(プラスチック製)、またはコンテナ(アルミ製)に
  詰めます。(どの包材を用いるかについても、レシピに記してあります)。


(8) すべての作業が終了したら、各アントレをクーラーボックス(持参)に詰めて、
  自宅へお持ち帰りください。


(9) 持ち帰ったアントレは冷凍庫に保管してください。

(10) 1週間に3種類ずつくらいのアントレを冷蔵庫で自然解凍。
   適時、ご利用ください。


(11) 調理後サンプル
  

【写真提供】ドリーム・ディナーズ社

 

 

ベネフィット
(生活者受益 「気持ちいい」「心地いい」「嬉しい」「安心」)
1. 料理の一連が大変なことに対して
* メニューを考えなくて済むのが嬉しい
* 買い物へ行く時間(1時間)で、料理の下ごしらえができてしまう(しかも6品24~36人前も)
* 最も大変な「仕込み」が簡素化されているので、「手づくり感」をラクして実現できる
* 包丁を使わないので、作業中におしゃべりを楽しめる
* いま風の様々なレシピが準備されており、料理の世界が広がって楽しい
* 一体、どの程度の時間短縮となるか、計り知れない

2. 既存HMRへの不満に対して
* わたしの「手づくり感」はしっかりと残る 
   夫や子供にも胸を張って出せる
* 味付けを調整できる、アレルギー素材を避けることができる
   夫や子供に安心して食べてもらえる

* 料理の1番楽しい部分を味わうことができ満足(表1の6と7)
* QSR価格(1人前・約3ドル)で手づくりディナーを実現できる

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主婦の立場から生まれた新ソリューション

  上記を整理すると、ミール・アッセンブリーが画期的なのは、(表1) のように、食事の準備を作業分解して
考え出された点にあるといえるだろう。
  料理全体のスキ・キライではなく、“どの部分がスキで・どの部分がキライなのか”という発想だ。

  そこで、料理の「地味で大変な部分(表1の1~5)」のみを代行することに。
また、「大変だが手づくり感に最も関わる部分(表4:仕込み)」を簡素化し、セッションという商品にした。
  そして、かっこよく目立てる部分(表1の6:調理、同7:食卓づくり)をあえて残してあげるかたちに仕上げた、
主婦業支援業態」といえるだろう。

  客側自身で食材や調味料を組み合わせるので、夫や子供のアレルギー対策が可能となる。
  同時に"自己流"にレシピを調整することが可能なので、主婦にとって守りたい『我が家の味』にすることができるし、
『私がつくった手づくり感』もしっかりと演出できる。

  また、スーパーへ食材の買出しをする時間(1 時間程度)を考えると、セッションに参加すれば同じ1 時間で
下ごしらえまでが完了してしまうし、しかも、1 人前3 ドル前後のクイックサービスレストラン並みの価格で手づくり
ディナーがつくれる。

  つまり、ミールアッセンブリーとは、既存HMR が捕捉しきれなかった「手づくり」「安全」
「我が家の味(嗜好への細やかな対応)」を、ラクして実現できるように設計された新ソリューションといえよう。

  以前、ミールアッセンブリーのパイオニア企業といわれている「ドリーム・ディナーズ」社CEOの
ステファニー・アレン氏に、インタビューをした際、彼女は何度も、店名の「ドリーム・ディナーズ」は、『「ドリーム・ママ」、
「ドリーム・ワイフ」の実現を意味している』という点を強調していた。
  まさしく「ドリーム・ディナーズ」という店名が、ミールアッセンブリー業態そのものだといえよう。
 

※ 本稿は、2006年7月31日発行のフードビズ22 号に掲載の
  「USA 発特別版話題店の肝『ドリーム・ディナーズ』」に寄稿した記事を一部
  転載、本テーマの構成に合わせて加筆したものです。
             http://f-biz.com/mag/?bkn=022

※米国進出(レストラン)をご計画の方、お知らせください。山本がお手伝します
             http://www.foodinfotech.us

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経営コラムニスト紹介

Food Information Technology フードビジネスコンサルタント 山本洋三氏

山本洋三氏
Food Information Technology
フードビジネス
コンサルタント

米国の成功法則を、どうすれば日本で横展開できるのか…。

独自の『業態ワンボイス(ひとこと集約)』論コンサルティングの応用で、
米国のビジネスモデルをアレンジ。無理のない方式で日本企業への導入に
成功している注目のコンサルタント。


常に“まず訪ねる、まず観る、まず触れる”の現場主義を貫きながら、
「業態論」と「ブランドマーケティング論」の理論的側面からの考察をも併せて、
成功要因とリスク回避の方策を分析。
食品メーカーや大手料飲サービスFCをクライアントに有し、社長直属の
“知恵袋”としての情報提供や、年2~3度の帰国に合わせた
「流行・定点観測セミナー」の開催など、日米をフィールドに活躍中。


1957年兵庫県生まれ。79年、京都外国語大学英米語学科卒業後、渡米。
ロサンゼルス地区にてレストランに勤務。
その間、ハリウッド(映画・音楽・テレビなど)の授与式や
オープニング式典等のケータリング・演出を数多く担当する。


97年、その手腕を請われて流通コーディネーターに転身。
00年、フードサービス専門コンサルタントとしてMDPアソシエーツ
(カリフォルニア州モントレーパーク)に参画・独立。
01年、『業態ワンボイス』論コンサルティングをさらに拡げるべく、
フード・インフォメーション・テクノロジー
(FIT社、アリゾナ州スコッツデール)を設立、現在に至る。

山本氏が代表を務めるFIT社は、フード・ビジネスを中心としたコンサルの他、
「日本経営合理化協会アメリカ視察団」等、一般公募視察の現地コーディネート、
また、企業ごとにカスタマイズするオーダーメイド現地研修、米国企業との
交渉・業務提携の仲介業務などを専門支援する。

『アメリカ社会と外食マーケット論考』
(柴田書店「月刊食堂」2004年9月号~2005年2月号)
MOOK『NYデリ・カフェ、LAファストカジュアル』
(柴田書店)の構成・執筆協力、 『フードビズ』(株式会社エフビー、 15号より連載)
他、専門レポート等の執筆多数。

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